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母の最期

「あぁ!!そうだ。リシル陛下を殺してくれたらしいな?一人片付ける手間が省けた。お前には礼を言わないとな」



殺した…。


あたしが…陛下を。



そうだ…あたしが…陛下を殺したんだ。



頭が混乱しすぎておかしくなりそう。



どうしてこの世界に蓮がいるのかも、


どうして若様を兄って呼ぶのかも

わからない。



「リシルと俺は双子なんだよ」



「えっ?」



「やっと会えたんだ。そんな怖い顔するなよ」



「蓮…でも瞳の色が…」



「あぁ〜これはカラコンだよ」



カラコン…。


2年間付き合って、


蓮がコンタクトをしていることにも気づかなかった。


あたしは、蓮の何を見ていたのだろう。



「向こうの世界のことは、玄武王にいろいろ教わった」



“気をつけろ…。お前をずっとそばで…監視してる奴がいる”



玄武王の言ってた監視してる奴って

蓮のことだったのね。



「カンナ…白虎玉はどこにある!!3年も付きまとったのに、結局、玉も鏡も見つけ出せなかった」



鏡のために…


玉のために…


故意にあたしに近づいたの?



“カンナ…好きだよ”



全部が嘘だったんだ。



「ずっと…騙してたのね…」



「騙してた…って、そんな言い方すんなよ。俺はお前に共感したんだ」



「共感?」



「お前が両親を恋しがっていたから…」



「えっ?」



「俺は、母親を知らずに育った。いや…お前とは違うな。俺は捨てられたんだ」



「捨てられた?」



「あぁ〜。でも昨日、ちゃんと復讐してきたよ」





蓮side



「島に流されたらしいぞ」



「へぇ〜。なら会いに行ってやらないとな」



マリ王妃が流された島へ、彼女を尋ねに行った。


船に乗り、潮風に当たりながら、

俺は幼い頃を思い出していた。


10歳まで小さな村で育ち、


親は病で死んだと聞かされてきた。


俺を育てた老夫婦は、



「蓮、お前に話さなければならないことがある。お前は私たちとはなんの関係もない。本当の親は、青龍王。お前はその嫡子だ」


10歳の俺にそう話す。


信じられなかった。


皇帝とは双子で、弟である俺は、

母親に捨てられたなんて…。



島につくと、母の側近は皆俺を見てひざまずく。


そんなに、似ているのか。


母が住んでいる小屋につくと、

俺の側近は、ドンドンっと扉を叩いた。


小汚い小屋から、スーッと現れた女。


一生こんな暮らしとは、哀れなものだ。


でもこれが、あなたが自分で招いた運命。



「リシル !!生きておったか‼︎」



初めて会った母は、


まるでついこないだまで一緒にいたかのように、


馴れ馴れしく俺を抱きしめる。


これが生まれて初めての抱擁だと言うのに。



「夢をみているようだ」



「夢ではないよ。お母さん」



そう言葉にした俺からスーッと体を離すと、ゆっくり俺を見上げた。



「そなたは…まさか…」



「思い出されましたか?」



「蓮…」



「お久しぶりです…と言ったほうがよろしのでしょうか」



「な、なぜ…ここへ…」



「聞きにきたんです。なぜ俺を捨てたのか」





マリside



「王妃様…おめでとうございます。双子の男子にございます」



「双子?」



「はい…」



おくるみに身を包み、同じ顔で眠る息子たちを見つめた。



「王妃さま…お一人を手放されたほうがよろしいかと…」



「何を申す!!どちらか手放すなどできるはずなかろう!!」



「同じ顔の人間はいずれ災いをもたらします。今日のうちならば誰にも知れることなく手配できますゆえに」



「わ、わかった…」



「ではどちらを…」



「弟を…」



「かしこまりました」



「待て…もう一度…抱かせてほしい…」



わが子よ…。



鬼の親に生まれたことをどうか許してほしい。



されど、これもすべて…兄リシルのためと思い…。


必ず、お前の兄を皇帝にしてみせる。


だから、許してくれ。



「名前は…なんとしますか?」



「蓮…ハスの蓮だ…」



「かしこまりました。小さな村に渡し手厚く育てますので、ご心配なさらぬよう…」





蓮side



「なぜ…俺を捨てたのですか?」



「仕方なかったのです。同じ顔の王は二人もいらない」



「でも俺は、あなたの子です」



「お前を手離してから、すまないと思ったことは…一度もない」




「腹を痛めて生んだ子を簡単に捨てた母など、もはや母でもなく人の心もない。死んでいただく」



俺をじっと見上げていた母は、

ゆっくりと瞳を閉じた。



「殺せ」



「はっ」




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