おばあちゃん
「カンナ…」
えっ…?
自分の部屋に帰れたことよりも、
なによりも驚いたあたしを呼んだその声。
「ちょっ!!ヒナタ?」
「ごめん…ついてきちゃった…」
「うそ…でしょ?」
「あたい…カンナと離れたくないんだ。あんなに一年中一緒にいて、もう家族みたいなもんじゃん。自分でもびっくりだよ!!気づいたら消えていく光の中に飛び込んでた」
そう言ってクスクス笑ってるヒナタ。
何も言葉がでなくて、でも、涙が勝手にこぼれおちてくる。
「ヒナタ…」
あたしは、思いっきりヒナタに抱きついていた。
「ほらッ!おばあちゃん心配してるわよ‼︎会いに行こ‼︎」
「うん」
部屋を出るとリビングへ向かったあたしたち。
おばあちゃん、どんな反応するかな。
びっくりして、腰を抜かしちゃうかも。
あたし…帰ってきたよ‼︎
あれ?
もう、寝てるの?
下に降りると、部屋中、真っ暗。
おばあちゃんの部屋にもその姿が見えなくて。
「おばあちゃんがいない!!」
「どっかでかけてるんじゃないの?」
「まさかぁこんな時間に?えっ?もしかして…あたしのこと探し回ってるのかも…」
「それより、なんか部屋が湿ってない?カビ臭いわ…」
「うん。ずっと閉めっぱなしなのかな…」
おばあちゃん…まさか1年中、あたしを探してるんじゃ…。
「とりあえず近所の人に聞いてみようよ」
「うん…」
あたしたちは、家を飛び出すと、
隣の人の家を、訪ねに行った。
「夜分遅くにすみません」
「嘘!!カンナちゃん!?カンナちゃんじゃない‼︎」
「こんばんは。お久しぶりです。おばさん。おばあちゃん知らない?」
「あんた今まで一体どこに行ってたのよ!!みんなどんなに心配したか」
「ごめんなさい。ちょっといろいろあって…で、おばあちゃんの姿が見えないんですけど…」
「“いろいろあって”じゃないわよ!!
とにかく中に入って!!」
そう言って、部屋へ促してくるおばさん。
「お邪魔します…」
部屋に入ると、
リビングを抜けて、和室に通されたあたしたち。
そして、目の前にあった仏壇には…。
えっ?
どうして?
どういう…こと?
遺影と骨壷が置かれた仏壇。
「おばあ…ちゃん…?」
そんな…
こ、こんなことって…。
ガクンと力が抜けて、その場に崩れた体。
「カンナちゃんがいなくなってすぐ、あなたの家に強盗が入ってね…」
「…ご、強盗?」
「うん…部屋をぐちゃぐちゃに荒らされていたらしいわ。でも金銭は一円も取られてなくて…」
うそ…でしょ…。
じゃぁ、おばあちゃんは、その強盗に殺されたっていうの?
「犯人は、まだ捕まってないわ…」
「……」
「でもおばあちゃん、おかしな亡くなり方だったのよ…。首を絞められたわけでもないのに窒息死だったって。病院に運ばれたときは、まだ息があったみたいで、あなたの名前を仕切りに呼んでたらしいわ。先生も凄い生命力だっておっしゃってたそうよ」
「そう…ですか…」
「カンナ…大丈夫?しっかりして‼︎」
くらっとめまいがしてヒナタの体に、もたれかかったあたし。
おばあちゃん…。
もし、あたしがあの日、
あっちの世界に行かなければ、
おばあちゃんは死なずにすんだの?
それとも、あたしも一緒に逝けた?
「おばさん…本当にありがとうございました」
葬儀から部屋の片付けまでしてくれたおばさんには感謝しても足りない。
「いいのよ…元気…出してね?」
深々と頭を下げると、おばあちゃんの遺骨と遺影を持って家を出たあたしたち。




