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信拠の扉

自分の家に帰ると、シャッターを開けて空気を入れ替えた。



「まさか…こんなことになってるなんて…」



しばらく呆然としていたあたしの隣にずっと座っていてくれたヒナタ。


その時、




……ピン…ポーン…。




えっ?


部屋に鳴り響いたインターホン。



ヒナタは、やだなんの音?って身を縮めていた。



「誰か…来た…」



「えっ?ちょっと待って‼︎危険よ‼︎あたいが行く」



ヒナタは、ふわっと片手に魔力をためると、玄関のドアをそっと開けた。



あたしもその後についていくと、



「陛下‼︎」



ヒナタはそう叫んで、ハッと口元を抑えてる。



「部屋の明かりがついてたから、うそだろ!って思って…」



「…蓮」



「カンナ…ほんとにカンナなのか?」



蓮は、玄関に入ると、あたしの体を勢いよく抱きしめる。



ヒナタは、何もかも察したように、

険しい表情で瞳を閉じて俯いた。



「どうなってるんだよ…。突然お前がいなくなって、おばあさんが殺されて、ユリまで…」



えっ?


そう口にした蓮から体を離すと、

彼を見上げた。



「今、なんて?ユリがどうかしたの?」



「…死んだんだ。10日前、交通事故で…」



もう…どうにかなってしまいそうだった。


何を考えればいいのかもわからない。


ユリが…死んだ?



ユリが…。



「10日前って…モアと同じ日…」



そう呟いたヒナタに、あたしはハッとした。


モアとユリが…同じ日に死んだの?


たまたま…同じ日に…。



まさか…それって…


同じ顔だから、


鏡の中と…リンク…してるんじゃ。


偶然かもしれないけど、なぜかそう思えて仕方ない。


えっ?


もしそうだとしたら、陛下が処刑されれば、


蓮も…‼︎



あたしは、思わず、まじまじと蓮を見上げた。



「カンナ…お前…今までどこに…」



「ごめん…蓮…。あたし、もう一緒にいられない…」



「えっ?何言ってんだよ‼︎お前がいなくなって俺がどんだけ心配したと思う?」



「ごめん…ほんとにごめんなさい」



「意味…わかんねーよ…」



ヒナタと視線が合うと、彼女は同情するような悲しい瞳で俯いていた。



「あたし…好きな人が…」



「は?…マジで言ってんの?」



「でも…蓮…お願い…。死なないで…。もうこれ以上、誰も死んでほしくない。特に…3日間くらいはどこにも出かけたりしない方がいいかも…」



あたしが真面目にそう話してるのに、蓮はポカーンとしてあたしを見下ろしてくる。



「お前…大丈夫か?」



「あの‼︎この子、1年でいろいろあって、精神的にちょっと頭がおかしいです。すいません‼︎今日はお引き取りください」



ヒナタは、蓮を無理やり玄関から追い出すと鍵を閉めた。




ユリまでいなくなるなんて…。


もう…どうしたらいいの?



「モアとユリって子が、同じ顔だから、同じ日に死んだなら、あの蓮って人も可哀想だけど…」



ヒナタは、暖かいお茶を入れてくれながら、そう呟く。


数日後に、蓮が死ぬってわかっても、あたしには何もできない。


どうすることも。




おばあちゃんの遺骨と遺影を持って、おばあちゃんの部屋に入ったあたし。


あぁ〜なんだか、おばあちゃんの匂いがする。


ヒナタは、大丈夫?って心配してくれながら、あたしのあとについてきた。



「ここ…おばあさんの部屋?」



「うん…」



ヒナタは、部屋に入ると眉間にシワを寄せる。



「おかしいな…なんだろうこの部屋。…結界が…」



「結界?」



「うん。ちょっと待ってね…どこだろう…」



ヒナタは、壁に手をかざしながら、

部屋の中を回ってる。



「あッ!ここだわ…」



そう言ってヒナタが魔力を解放すると、


ガラガラっと崩れた壁。



「ほらっ‼︎見て‼︎」



崩れた壁の中には、紫色の扉が見える。


なにこれ…。



「これ…信拠の扉だわ」



「信拠の…扉?」



何それ…。



「そう!魔族が使う扉のことよ。」



「えっ?魔族?」



「うん。大事な物をしまっておいたり、代々残しておきたいものとかを閉まっておくの。

信頼ある人にしか開けることのできない扉なのよ。


間違いない。これは、信拠の扉だわ」



どうしてそんなものが…


おばあちゃんの部屋に。


どういうこと?


ヒナタは、手を当てると扉を開こうとする。



「ダメだ…あたいじゃ開かない。カンナなら開けられるんじゃない?」



「えっ?魔族じゃないのに、開くかな?」



「信頼を得てる人なら大丈夫よ」



「でも、どうやって開けるの?」



「おばあさんのことを強く願いながら開けるのよ」



「わ、わかった…やってみる」



おばあちゃんを思いながら気持ちを

込めて、


“どうか開いて…”と願いながら、扉を開けると、


ガチャっ…。



「えっ?開いた…」



案外簡単に開いた扉。


その中には、一冊の太いノートが閉まってある。


ゆっくりノートを手に取ると

ページをめくった。



【カンナの成長記録】


そう書かれていた表紙。


始めの方をパラパラっとめくると、


小さいころからのあたしの成長が書いてある。


初めて、歩いたこと、


初めて、話しをしたこと



「おばあちゃん…」



おばあちゃんから大事にされていたことを実感して涙が溢れてきた。



「日記だったのね…」



ヒナタは横からのぞきながら、そう呟く。



えっ…でも、どうして、


おばあちゃんが、魔族の使う扉を…?


不審に思いながら、最後のページを開くと、


今まで簡潔に書いてあった文とは違う、長い文字がぎっしりと、そのページには書かれていた。





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