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闇の中の人生

「カンナ!!」



えっ?



「キト…‼︎」



「よくやった」



ちょっと待って…キト‼︎



見渡すと、いつの間にか、あたしと陛下の周りは、何十人もの組織の人たちに囲まれてる。



「陛下…あたし…」



囲まれてる兵を見回したあと、


陛下は、ゆっくりとあたしに視線を戻した。


そして、穏やかに微笑む。



「皇帝陛下…わたくしは、カイリ殿下第一側近キトと申します。宮殿は落ちました…終幕でございます」



その真ん中で凛とたたづんでる陛下。



一人の兵は黒い布を陛下の腕に巻いた。



「母上は、どうなされた」



「捕らわれておりますが、ご無事です」



「そうか…」



陛下はあたしの方へ視線を送ると、



「これでよい」



そう小さく呟いた。



その言葉に、涙があふれてきて止まらない。



「リシル陛下をお連れしろ!!」



「はっ…」




陛下が連れて行かれたあと、


その場にペタンと腰が抜けたように座り込んだあたし。



「カンナ…」



「キト…あたし…」



キトは、あたしの肩にポンと手を置く。



「さっき陛下としていた話は聞かなかったことにしてやる」



その鋭い眼差しが、じっとあたしを見据える。



“逃げてください…”



思わず口にしていた。



若様だけじゃない。


ずっと孤独を感じていた人間が、

ここに、もう一人いた…。



だから、何一つ望むこともできないまま、その生涯を終える人生なんて、あまりに哀れすぎると思ったんだ。


陛下が好きだと言った自然の中で、生き続けてほしかった。



「失言したとはいえ、国王を捕らえれたのだから手柄だ。若様もお喜びになるだろう。お前はこのまま元の世界に帰れ」



「わかった…」



“弟の記憶はほとんどない。もし、共に生きていたら、一緒に酒を飲み交わしたりしたかったものだ”



そんな弟を殺さなければいけないなんて、


若様だって、心病んでいるはず。


屋敷に戻ると、組織の人たちからは、今まで見たことないほどの笑顔で溢れていた。



「まだ、夢をみているようだ」


「あぁ〜これで白虎の無念も晴らすことができたな」


「カイリ様万歳‼︎」




荷物を整理して、宮殿へ移動する準備をしてる人たち。


若様たちは、まだ宮殿なのかな。


20時を回った時計を見て、


いざよいが過ぎるまでは、


きっと、ここには帰ってこない…



そう感じる。



あと、4時間しかない。


あたしも、元の世界に帰らなきゃ。



「ヒナタ…あたし、行くね」



「うん…」



最後まで見送ってくれるというヒナタと一緒に、鏡が置いてある部屋へ入ったあたしたち。



「待ってカンナ‼︎ 本当に…帰るの?どうしても?」



「うん…」



「若様に…会えなくなるんだよ?」



「うん…。わかってる。でも、これが一番いい方法。ううん、これしかないの。若様もあたしも、出会わなかったと思ってゼロに戻す」



「でも…好きなんでしょ?」



コクリと小さく頷いたあたしを見て、ヒナタの瞳からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちていた。



「そばにいることも…許してもらえなかった…」



そう呟いたあたしの体を抱きしめてくれたヒナタ。



「ヒナタ…本当にありがと…元気でね」



「うん。カンナも…元気で…」



さよなら…若様…。


さよなら、みんな…。


おばあちゃんのところへ…


ユリのところへ…帰ろう。



鳳凰の鏡を目の前に置くと、ゆっくりと指先を近づけた。


あっ…。


鏡面が虹色に輝いてる。


いざよいの日に扉が開く。


やっぱり、神話は間違ってなかったんだ。


そう確信する。


チラッと振り返るとボロボロと涙を流して泣いてるヒナタ。


そんなヒナタに笑顔を見せて、


バイバイって手を振ると、鏡の中に体を入れた。


その瞬間、強い光に包まれる。


来たときと同じ…。


帰れるかもしれない。


徐々に徐々に…光を感じなくなって、


ゆっくりと瞳を開けてみる…。






あぁ…ここは…。





あたしの…部屋だ。







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