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15年前の真実

あの日から、


懲りずに毎日口説いてくる若様の誘惑に耐え続けてきたあたし。



もうやめて!と思う気持ちと、


もし、この世界に残れば


この人から、こんなにも愛される日が続くんだ!って思ってしまう気持ちが混ざって、負けそうになる。


たとえ、正妃になれなくても、


側室でもいいから、若様のそばにいれるなら幸せなのかもしれない。


そこまで考えてしまった自分に困惑する。


何度も好きだって言って、抱きしめてくれる若様。



そんな若様の背中に、今日、初めて腕を回してしまった。


あたしの気持ちに応えてくれるかのように、ギュっと強く抱きしめてくれた若様。


この幸せな日々が無くなってしまうのは辛い。


帰ったら今まで通り暮らせるのかな。


会いたくなったら、どうしよう。


若様と離れたくない。



ほんとに、わからないよ。


ねぇ…若様?



あたし…


帰らなくても…いいの?




カイリside



はぁ…。


女一人を手に入れるのにここまで苦労するとは…。


もはや、王位を手に入れるより難しいのではないかと苦悩する。



「カイリさま…アギにございます」



コンコンとノックすると同時に呼ぶ声。


こんな夜更けに何事だと思いながら扉を開けると、


アギは、ヨタヨタ杖をつきながら部屋に入ってくる。



「カンナが気に入りましたかな?」



唐突にそう呟きながら椅子へ腰掛けたアギ。



「なんの話しだ」



「いえ、最近、随分目をかけているように見えたもので…」



「老人の説教なら聞きたくはないぞ…」



わかっている。


カンナは元の世界に帰ることを望んでいる。


あいつが帰ると言えばそれまで。


私がどんなに好いても、手放すときがくる。


何を今さら…。


手放すことは初めからわかっていたことだ。


出会ったころは、そばに置く気であいつを屋敷に入れたつもりではなかったが、


今は、愛しくて仕方ない。




「それにしても、不思議な縁もありますな」



「不思議な縁?」



「はい…。15年前、あなた様とべリカ様に見方し、あなた様方が逃亡したあと、謀反の罪で滅ぼされた王家がおります」




「白虎の王家のことを言ってるのか?」




「そうです。あなた様に忠誠を誓っていた者たちです」



白虎王のことを考えると胸が痛い。



最後まで白虎は、私の見方だった。



そして、白虎城も王も家臣も、


私の見方をしたばかりに、


すべてを失ってしまった。



「で、不思議な縁とはなんだ」



「はい…白虎の王には娘がおりましてね」



「なんだと?…シュンに…妹がいるのか?」



「はい…皇女様はまだ赤子でしたが、若様もお会いになられたことがございます。もし生きていたなら、あなた様のご正妃になられていたことでしょう。その娘も“カンナ”という名でした」



「そうか…。で、その“カンナ”も殺されてしまったのか…」



「はい。…ですが、確かではございません」



「どういうことだ」




「15年前のあの日…。すべてを灰に変えた白虎の城。ですが、カンナ皇女様と、側近の老婆“キネ”という者だけの遺体が、確認されなかったのです」






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