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これが現実?

小鳥がさえずる声。


肌寒い空気。


半分だけ開いた重たい瞳で窓へ視線を移すと、薄明るい光を感じてきっと6時くらいだろうと思う。



ずっと夢と現実をさまよっていた気がして、一睡もできなかった。


昨夜、寝る前にヒナタが

用意してくれた、服を広げてみるものの


これをどう着ていいのかわからず、結局、Tシャツのような下着だけを借りて、


上から自分の服を羽織った。



「おはよう…ございます」



「カンナ!!おはよう!!ほらっ朝食できてるから食べよう!!」



テーブルには、ご飯とお味噌汁と漬物が

3つずつ用意されている。



ヒナタ…

あたしの分も作ってくれたんだ…。



見ず知らずのあたしに

こんなにも良くしてくれるなんて、


ヒナタは本当に優しい。



「ありがと…いただきます」



席についてご飯を食べ始めてたあたしたち。


だけどあたしは、ずっとヒナタの視線を横から感じていた。


きっと、あたしがもの珍しいのかもしれない。


箸を止めて上から下に、なめるように見てくる。



「記憶喪失…か…」


「えっ?」



そう呟いたヒナタに、


あぁそうだ、


そう言えばあたし、記憶喪失なんだったと改めて実感する。


ヒナタは、あたしの服を指先でちょこんと摘みながらまじまじと生地を凝視していた。


あたし自身も、今となっては、自分の着ているパジャマのようなスウェットが、一体なんなのかよくわからない。


どうしてあたしは、

ヒナタと違う形の服を着ているのだろうか。



そして、


なぜ…なんのために、


ここにいるのだろうか…。



昨夜は、布団の中でいろんなことを考えて、


だけど、考えれば考えるほど、何がなんだかわからなくなってきて、


どうして記憶喪失になってしまったのかもわからない。



最後には、今、あたしは


なんのために生きているのだろうか…と考えるようになったら、


そんなことを疑問に思う自分が、怖いとさえ思えてきた。



「おじいちゃん!!ご飯冷めちゃうよ!!」



ヒナタがおじいさんの背中にそう問いかけると、


こちらに背を向けて、あぐらを組みながら、さっきからじっと座り込んでるおじいさんは、コクリと深くうなずいた。



っていうか…


えっ?


うそでしょ?


まさか、そんな…。



「ヒナタのおじいさん…浮いてない?」



座ってるおじいさんが、微妙に床から離れてる気がするのは目の錯覚?


素朴な疑問をヒナタになげかけると、



「そうなのよ。最近、歳のせいか魔力が弱ってきてるんだって。だから、あぁやって毎朝10分は鍛えてるのよ」



ヒナタは、クスクス笑いながら、おじいさんを指さして笑ってる。



「へ、へぇ」



魔力が弱ってる?


真顔で答えてくれた彼女に相づちを打つほか無い。


そうだよ。


だ、大丈夫よ…しっかりしなきゃ。


あたしは記憶喪失なんだから、少しびっくりする出来事が起きたくらい、

たいしたことないわ。


心の中で、一生懸命、

自分で自分を説得した。


そうだ。


この際だから、疑問に思ったことはなんでも聞こう。


そうしたら、少しでも何か思いだせるかもしれない。


「あの…みんな…飛べたりするの?」



「もちろん、あたいもおじいちゃんも朱雀族だから飛べるわよ」



そう言って、椅子から腰を上げた彼女は、暖炉らしきところにスタスタ歩いていくと、そこへ向かってスッと右手をかざした。


その瞬間、手の平からはボワッと光の玉が出て、暖炉に火がつく。



なっ!!


今の火…手から出したの!?


も、もう…何を見ても、

全く驚かないわよ。


なんでも来い!!


火が付いたことを確認した彼女はまた椅子に腰を下ろした。



「あとは青龍族も飛べるわよ」



青龍族も飛べる?


それって、四神の青龍?


やっぱり、白虎もいれば


玄武とかも存在するのかな…?


青龍は確か…龍。


朱雀は…鳥?


あぁ、龍と鳥だから


飛べるってこと?


そんな単純な理解でいいのだろうか…。


「その代わり白虎の足の速さには叶わないけどね」



もしかして…

白虎は、虎だからですか?


ヒナタの言葉に自問自答していたら、



「じゃぁ問題ね…」



っていつの間にか

クイズ方式になっていて…


あたしは、ゴクリとつばを飲んでヒナタの言葉を待った。



「玄武の特技はなんでしょーか!?」



玄武?


玄武は…えっと…亀だから…あぁもしかして



「泳ぐのが…得意…とか?」



「わかってるじゃない!! そう、水を操るのよ!!」


信じられない、感で言ってみたら当りだったんだ…。



「朱雀は火を操るんでしょ?」



さっき暖炉へ火を放ったヒナタを思い出してそう言ってみた。



「そうよ。少しは記憶があるみたいね。ちなみに青龍は風、白虎は大地(土)を操るわ」



つい昨日まで、蓮に借りてやってたRPGのゲームがこんなところで役に立つなんて…。


えっ?


ちょっと待って…。


昨日までやってたRPGのゲーム?



“もう17歳になるのかね?”


ふと浮かんできたのは

おばあちゃんの声。


やっぱり、


何かが…おかしい。


チラッと視線を移すと、じっと目をつぶったまま宙に浮いてるおじいさん。


それに、暖炉に火を放ち不思議な力が使えるヒナタ。


白森という村に…四神。


ここまで、ヒナタの話を聞いてて思う。



本当にあたしは


記憶喪失なんだろうかと…。



だって、ゲームをやってた記憶、

それにおばあちゃんと話してたことが

こんなにも鮮明に残ってるっていうのに。


でももし、あたしの記憶が確かなら、一体ここはどこなんだろう…っていう疑問に結局たどり着く。



昨夜、鏡の汚れをふこうとしたら鏡面の中に手が入ったのははっきりと覚えてる。



そのあと、急に光の中へ包まれた。


だから、もしあたしが正気だとしたなら、考えられることは一つしかない。



あの鏡だ…。


あたしはきっと、あの時、光と一緒に


鏡の中に入ってしまったのかもしれない。



冷静になって考えれば考えるほど、


やっぱり、それ以外には、


ありえない気がした。



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