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権力のある女性

キトside



「キト…どうした?顔色が悪いぞ?」



「あぁ…シュンか…」



「なんかあったのか?」



「我々は、若様が即位される日を夢みて、ここまでお守りしてきた」



「何を今更そんなこと」



「若様のお気持ちが揺らいでる」



「えっ?」



「女一人のために若様を石にするわけにはいかない」



「それはどういう…」



“キト…カンナにもっと優しくしてよ。あの子はあたいの命の恩人なんだよ?どうして若様から引き離そうとするのよ”



“身分が違いすぎる”



“なぜかあたいはあの子の役に立ちたいって思えてしかたないの。若様の王妃にはカンナが一番いいのに”



だから怖いのだ。



若様があいつにおぼれて、


やり遂げなければならないことも簡単に捨ててしまわれるのではないかと思うと、怖くてしかたない。



「いざよいの日、カンナには必ず元の世界に帰ってもらう。朱雀皇女と対談を…」



カンナside




「カンナ?」



「ん?」



「ルリがカンナに会いたいらしいわよ。応接間で待ってるって…」



ルリが?


部屋に戻ってきたヒナタは、不思議そうな顔で、廊下を指さしながら、そう伝えてくる。




「なんであたし?若様じゃなくて?」



まぁ〜待ってるなら行くしかないかと応接間に向かうと、


部屋にいたルリは、ほんとにあたしを待っていたかのように立ち上がった。


「カンナ…久しぶりね」



「久しぶり。元気だった?」


「うん。元気よ。それより聞いたわ‼︎」


とりあえず座って…と、ジェスチャーで促すと、ルリは、ゆっくりとソファーへ腰を下ろした。



「何を…聞いたの?」



「どこか違う世界から来たんだってね…」



何の話をしに来たかと思ったら、


予想していた以上の発言にびっくりしすぎて言葉が見つからなかったあたし。



「そ、そんなこと…誰に…聞いたの?」



「風の噂よ。で、その世界に戻るんでしょ?」



「えっ?」



「それともカイリ殿下のことが心配?」



ちょっと、何?何?


次から次に浴びせられる質問に、


何の答えも用意してないあたしの顔はきっと動揺を隠せてないだろう。



「別の世界から来たって言うのはほんと。でも若様のことは…あたしが心配する必要もないよ」



がんばって平然を装いながら言葉にすると、



「なら、帰るんだよね?」



ルリは、念を押すように言ってくる。



「うん…もちろん…帰れる日がくれば、帰るよ?」



あたしの答えを聞いて、ルリは穏やかに微笑むと、安堵にも見えるため息を吐いた。



「私ね…殿下を…お慕いしてるの」


えっ?


若様を…慕ってる?


何それ…。


そんなことあたしに言って

何が言いたいんだろう。



「だから…カンナがちゃんと元の世界に帰るのか気になって…」



まさか、わざわざここに来たのは、あたしが邪魔とでも言いにきたのだろうか。


でも、あたしだって、半年以上も若様とこの屋敷で暮らしてきて、もうすでに半分以上の心を若様に持ってかれてる。



だから、もし元の世界のあたしなら、


“何が言いたいのよ‼︎あたしが若様を好きになったらダメってこと?”



そんなことだって口にできたと思う。


でもこの世界にいる限り、そんなこと言えない。


身分がすべてを決めてしまう世の中だから、朱雀の皇女であるルリにはとてもじゃないけど言える言葉じゃないし、通用もしないだろう。



「カンナはこの世界の人間じゃないんでしょ?なら、この空間に生きること自体、間違いなんだと思うわ。あなたの存在自体が“無”なんじゃない?」


あたしの存在自体が…無。


そう…だよね。


ここで生きれるはずなんてないもの。


帰ろうとか、帰らないとか、その選択で迷うこと自体、間違ってる。


ルリの言ってることは正しい。



「わかってるよルリ。心配しないで。あたしは帰るから…」



若様が正妃をもらうときが来る日を見ないだけ、まだ傷心する心も軽くて済む気がする。




「ルリ様…もうお帰りですか?」



「キト…ちゃんと“帰る”ように約束させましたわ。それとこの通行手形を殿下に渡してください」



「……」



「私がいくら渡しても受け取ってもらえないので…。ですが、私もあの方のお役に立ちたいのです」



「わかった…渡しておこう」



「カイリ殿下が即位なされた日には、私を正妃にしてくださるのですか?」



「それを俺が決める権限などない。お決めになるのは若様だ。だが、そなたを薦めることはしよう」




※※※※※※※※※※※※※※※



リシルSide


“陛下も顔も見せないで終わりだなんてあんまりだと思います”


おかしな娘だった。


“あたしたちは、ここに来るのに5時間もかかりました”


誰も“来てくれ”と頼んではないぞ。


なぜ私は、あんなに上から目線で言われたのだ。


それに、せっかく対面したと言うのに、

ポカーンとマヌケな顔で私を見たあと、なんの言葉もなくさっさと帰るとは…。


あまりにも滑稽すぎる娘の態度に今更、笑えてくる。



「陛下‼︎申し上げます‼︎」



いつも穏やかな側近のライキは、

珍しく息を切らしながら、私の前に膝まづいた。



「どうした。そんなに慌てて」



「みょ、妙なことを…耳にしました。白虎にある、金融の組織のことなのですが…」




また、白虎か…。


最近、白虎の名を聞くと、いいことが一つもない。


村が崩壊するだの、


企業の経済危機だの…。



「今度はなんだ…倒産か?」



「いえ…。組織の頭取のことなのですが、20代の若者らしく…名がカイリと…言うそうです」



「カイリ…だと?それは誠か?」



「はい。しかもその組織は、先日宮殿に来た、あのおかしな女3人がいる金融です」



カイリ…。



まさか、そのカイリとは…。


兄上なのか…。


兄上が…生きておられるかもしれない。



兄上が…。



もしも、ほんとに兄上ならば、



もしかすると、あの女たちは、


始めから宮殿を視察するのが目的…。




「このこと母上は…」



「ご存知ありません」



「ならば、母上には絶対に知られぬよう」



「承知いたしました」



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