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絶体絶命

キトside




「仲間はみな死んだ。残りはお前だけだぞ。…言え!!なぜ鏡を盗んだ。なぜ我々が鏡を持っていることを知っている」



息の根を止める前にそのことだけは吐いてもらう。



だがシムズとかいう頭領は薄笑いを浮かべたまま口を開かない。




「答えれば命だけは助けてやる。鏡を盗んだのはリシル陛下のためか?」



「誰があんな王に鏡を渡すか!!」



「なら誰のためだ!!」



「ふっ…。そう余裕でいられるのも時間の問題だ。我らの主にお目にかかったら、お前ら度肝をぬくぞ」



「主とは…一体誰だ」




最後に醜い笑みを浮かべたシムズの口からは、赤いものが流れてくる。



「くそっ!!舌をかんだのか!!」






カンナside




「若様…中に残っている頭領からすべて始末いたしました」



「なぜ鏡を盗んだのだ」



「問い詰めたのですが、それはわかりませんでした…ただ最期にリシル陛下のためではないと…」




皇帝陛下のためじゃない?



なら…誰のために…。




「若様…鏡はこちらに」



シュンの手にしっかりと握られていた鏡。


あぁ…よかった‼


鳳凰の鏡…やっと戻ってきた。




「ひとまず屋敷に戻るぞ」



若様のあとについて振り返った、



その時、



「お前たち…こんな時間にそんなところで何をしている」



突然、10人くらいの兵士があたしたちの前に現れた。



瞳の色が若様と同じ…青色の兵士。




「王の兵だ…」



小声でそうつぶやいたキト。



リシル皇帝の兵…?


「やけに高貴な身なりをしてるな。どこのものだ」



「……」




最悪。どうしてこんな時間に、


こんなところで王の兵なんかと鉢合わせちゃったんだろう。


運が悪いとしかいいようがない。



あたしたちはなんとでも言い逃れができるけど、


もし若様が捕まったら…


それに鏡もここにあるのに…。


鏡も王に渡ってしまう。



なんとしても若様と鏡だけは守らなきゃ。



でも…どうやって…。



「おい‼なぜ答えない」



「……」



「怪しいものと見受ける」



一人の兵士がそう言うと、

あたしたちに一歩迫ってきた兵士たち。



その兵士の手には黒い布…。



あれは魔封じの布。



10人ほどだった兵は、あっという間に50人くらいに増えていて。



ちょっと…ど、どうしよう…。


こんなにたくさんの兵に囲まれたら、


若様、それにキトとシュンが三人でかかっても間違いなくあたしたちに勝ち目はない。



「全員、荷物をその場に置け!!」



兵士に命令されて、あたしたちは、言われるがままに手荷物を地面へと置いた。



だけど、手に持っていた鳳凰の鏡を最後まで離さなかったシュン。



「そこのお前!!持っているものを置くんだ!!」



シュン…。



「くそったれ…」



シュンは仕方なしに鏡を地面に置いた。



隣に立つ若様を見上げたら、若様はギュッと強く下唇を噛みしめていた。



ダメよ。ここで捕まるわけにはいかない。



なんとしても逃げなきゃ。


どこか隙がないかと、辺りを見回しながら逃げ道を探した。



でも、円を描くように周囲すべてを囲まれてるあたしたち。


これは7人全員が逃げるのは不可能だ。



だったら…誰かがオトリになろうか。



なら…



「シュン…あたしたちがおとりに…」



そうシュンに耳打ちすると、



「駄目だ。お前たちだけ捕まれば、拷問され命はないぞ?」



「えっ?」



そっか。きっと吐くまで若様たちのことを聞かれる…。



そんな…じゃぁどうすればいいの?



覚悟を決めて、ここはおとなしく、全員捕まってしまえば、命だけは助かるの?



でも若様は、正体がばれれば…

きっと殺される。




「絶対絶命だな…」



そうつぶやいた若様の前に、

キトとシュンが、サーッと立ちはだかった。



どうしよう…。



50人vs7人なんて、絶対無理。



このままじゃ…本当に捕まってしまう。



どうしたらいいの?



「全員、奉行所に連れていけ‼」



「はっ‼」




もう…ダメだ…。


覚悟を決めグッと握りしめた拳。


あたしたちに近づいてくる兵士が怖くて思わず目をつぶったその時、




「やめてください‼これ以上私たちに近づかないで‼」



突然ルリは、若様の前に出ると声を張り上げた。



ルリ…?




そんなルリを見て、兵士たちは顔を見合わせている。




「なぜ私たちが捕らわれないといけないのですか?容疑があるなら今ここで言ってください。もし連行したのち、我々に何も被疑がなければ、あなたたちの力量が問われます」



「女…グダグダうるさい‼おとなしくしてれば、痛い思いはしない」



そう言ってルリの腕を掴んだ兵士。



「私に触らないで‼」



ルリは、兵の手を振り払うと、

胸元に手を入れた。



そして、その手をつたい、スーッと胸から出てきたペンダント。


目の前でペンダントを見た兵士の瞳は、パァっと大きく開いた。



ペンダントとルリを交互に見ながら、

ズズッと足を滑らせ後退する。



周りの兵士たちも、ルリの手の中にあるペンダントをのぞきこんでいた。




「あ、あれは…朱雀王の紋章では…」



一人の兵士が放った言葉に、あたしたちを囲っていた円は、ひと周り大きく広がる。



「私は朱雀王第一皇女、ルリよ…。無礼は許さない。下がりなさい!!」



そう言い放ったルリの言葉に、50人ほどの兵は一斉に地面へとひざまずいた。



「お、皇女さまがなぜこのようなところに…わたくしどもは盗賊を探索してる途中でして…」



「そのような者は知りません。私たちは帰路の途中です。道を開けてください。何か問題があれば父上に…」



「も、申し訳ございません!!…大変ご無礼致しました。おい!!道を開けろ!!」




中心にいた兵士がそう言うとササッと左右に開いた道。



若様は、鋭い視線で朱雀の皇女と名乗ったルリを見たあと、



「屋敷に戻るぞ」



そう口を開いた。





助かった…とりあえずここは助かった。


でも…ルリが…


朱雀の皇女様?



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