第9話 予定と料理
今日はタラの西京漬けを作った。
「今回はタラを使ったけど、さわらや鮭などでもいいよ。他に豚肉や鶏肉でも美味しいよ」と僕が言う。
「西京漬け万能すぎ」と花奈。
花奈はメモを取りながら、細かいことを聞いてくる。
「実はフライパンで作る場合はクッキングシートを敷くと、焦げつきや身崩れを防ぎやすくなるんだ」
「なるほど」
花奈が僕を見る。
「うん?他になにか?」
「実は……」
「うん」
「明後日出かけなくちゃいけなくなっちゃったの」
「そうなんだ」
「調布の親戚の家に荷物届けるだけなんだけどね。宅急便じゃなくて、大事なものだから持っていくことになっちゃって」
「わかった。明後日はお休みだね」
「せっかく授業が10時ごろ終わるからたくさん料理が出来ると思ったのに」
「仕方ないさ。家の用事なんだから」
「もしよかったら」
「なに?」
「一緒に行かない?」
「僕も?別にいいけど」
「調布でご飯食べに行こう。なんかいいとこないかな」
「調布と言えば深大寺が近いね」
「深大寺?」
「東京の有名な蕎麦の店がたくさんあるんだ」
「知らなかった」
「駅からちょっと歩くからね。僕も行ったことないけど」
「じゃあお蕎麦食べに行こう」
「後は……ちょっと調べてみる」と僕は言い、スマホで調べものをした。
「他にどこか行くの?」
「まあね。当日のお楽しみ」
「教えてよ」
「だ~め」
次の日はきんぴらごぼうを作った。
「まさに和食って感じ」と花奈が言う。
「付け合わせにも優秀だよ」
花奈の料理スキルは目に見えて上達してきた。
そろそろ次の段階に行ってもいいかなと思い始めた。
すると、花奈が「それで明日はどこ行くの?」と言う。
「どこって調布の親戚の家と深大寺でしょ?」と僕が答える。
「その他!」
「ああ。内緒」
「ケチ」
「だから当日のお楽しみだって」
すると、僕はまた視線を感じた。
ドアの方を見ると、花奈の友達の恵美理さんがこちらを見ていた。
花奈も恵美理さんに気付いたみたいだ。
恵美理さんが一言、言った「バカップル」
「「カップルじゃない」」
僕は思った。
ドアにカギをつけたい。




