第6話 花奈と母
「お母さん今日も料理作るね」
「最近どうしたの?料理作ってくれるのはすごく嬉しいけど」と母が言う。
「私、料理研究会に入ったの。そこで料理を作っているの」
「花奈が?すごいね。私料理全く出来ないダメな母親だから」
「お母さんはダメなんかじゃない。仕事もしっかり働いているし、私の面倒も見てくれている」
「ありがとう。なんか迷惑ばかりかけてる気がするけど」
「だからそんなことないって。今日はね、お魚料理」
「それは楽しみだね」
「待っててね。今作るから」
花奈は久から教わった、ぶりの照り焼きを作った。
ぶりに小麦粉をまぶして、味付けをして焼くのである。
「うん。美味しい」と母が言う。
「でしょでしょ。魚って刺身か、ただ焼くだけだと思ってた」
「うん、ごはんがすすむね」
「たくさん食べてね。私も食べるけどね」
「ところで花奈。好きな人でも出来た?」
「なによ突然」
「最近明るくなったし、そうなのかなと思って」
「いないいない。男の人なんて」
「もし出来たら、お母さん応援するから」
「だからいないって。そうだ、お母さん何食べたい?」
「私はなんでもいいよ。ふりかけだけでも贅沢言わない」
「でも栄養考えないと」
「そこはお弁当とかあるし会社ではお店に行ったりもするから。それより私は花奈の方が心配だよ。私がちゃんとした料理作れないせいで」
「だから大丈夫。これからは家では私が作るから。まだバリエーション少ないけど、もっとたくさん覚えるから」
「花奈。ありがとうね」
「うん。任せてお母さん」
◆◆◆
翌日の放課後、僕は部室に向かった。
「遅いぞ」と花奈が言う。
「どうしたのやる気満々って感じで」
「やる気満々だよ。今日は何作るの?」
「何にしようかな」
「栄養があって体にやさしいのがいい」
「難しい注文だね。花奈、疲れてる?」
「それはもうお疲れです」
「そうは見えないけどなあ」
「疲れてるんです。いい案でた?」
「炊き込みごはんはどう?ひじきとか大豆入れれば栄養高いしね。どうかな」
「じゃあそれで。お願いします」
炊飯器に米を入れ、そこにひじきと大豆とにんじんを入れて、出汁を入れてスイッチを押すだけ。
「出汁が入るから水加減に気をつければ簡単だよ。後は待つだけ」と僕が言う。
花奈は真剣な顔でメモを取り、分からないところがあるたびに質問してきた。
そうしていると炊き上がりお茶碗に盛って完成だ。
「美味しいし、栄養もあるんでしょ?」と花奈が言う。
「うん。大豆は栄養豊富だし、ひじきから鉄分も摂れる」
「明日は何作るの?」
「えっ?明日学校休みじゃない」
「忘れてた……残念」
「また来週だね」
「ねえ久。明日久の家に行っていい?」




