第56話 全国お弁当コンクール終了
京都の学校と、北海道の高校のプレゼンテーションが終わる。
いよいよ僕たちの番だ。
僕と花奈が挨拶をする。
そして花奈が喋り出す。
「今回の私たちのテーマは親に食べてもらいたいお弁当です。私の家は母と二人暮らしです。母は毎日遅くまで働いています。そんな母に感謝の気持ちを込めて考えたお弁当です」
「こちらは疲労回復と栄養面を考えたお弁当になります」と僕が言う。
「皆様にも大切な人がいると思います。私たちは大切な人に食べてほしいと思い、このお弁当を作りました」
プレゼンテーションの時間は5分以内である。
主に自分たちのテーマを喋ることになっている。
僕たちのテーマを説明し、プレゼンテーションを終えた。
8校が終わると、審査員の試食に入る。
その間に出場校は控室で提供されたお弁当を食べることになっている。
控室では長崎の高校が神奈川の高校に再び謝っているが、神奈川の高校も私たちも出来ることをやれたのでと言っている。
そして両校が握手をしている。
その光景を見て、控室にいた各校の生徒や教師から拍手が起きる。
そして両校は花奈のところにやってきてお礼を言っている。
花奈は照れているようで、一言「みんなお疲れさまでした」と言った。
それに呼応するようにみんなで「お疲れさまでした」と言った。
その後は食事をしながら交流が始まった。
僕らのところにも青森の高校が来て、「どういうの作ったの?」と聞いてくる。
僕が答えると花奈が質問をする。
「何を作ったのですか?」
青森の高校は「貝焼きっていう青森の郷土料理を使ったりした」と言う。
「花奈がなんか美味しそう」と言い、僕に向かって「東京にはそういう郷土料理無いの?」と聞く。
「東京はこれってのがないね。東京だと、江戸前寿司やもんじゃ焼き、柳川鍋とか。でも、どれもお弁当向きじゃない」と僕が言う。
「えーそれってずるい」と花奈が言う。
「強いて言えば深川めしっていうあさりごはんぐらいかな」と僕が言う。
「青森も貝焼き味噌の他だと十和田バラ焼きって言う牛バラ肉と大量の玉ねぎを甘辛いタレで炒める料理ぐらいしかないよ。あとは汁物ばっかり」と青森の生徒。
「北海道や富山ならたくさんありそうだけどね」ともう1人の青森の生徒。
「なになに郷土料理の話?」と北海道の生徒。
「噂をすれば」と青森の生徒。
「でもうちだってジンギスカンとかだとお弁当には微妙だからなあ。石狩鍋やちゃんちゃん焼きもお弁当には使えないし」と北海道の生徒。
「でも両校とも候補があるだけ羨ましいよ。東京にもくさやっていう名物はあるけど、お弁当に入れるわけにはいかないし」と僕が言う。
「あれってほんとにやばいの」と青森の生徒。
「すごい匂いなんでしょ」と北海道の生徒。
「僕も食べたことないよ。でも、みんな匂いで近寄れないって聞くね」と僕が言う。
「私興味あるなあ。今度食べに行こう」と花奈が僕に言う。
「勘弁してよ」と僕が言うと笑いが起こる。
こうして昼食は各校の交流があり、楽しく終わった。
この後は結果発表だ。
先ほどまでと違い各校、みんな緊張している。
席に着いて皆結果発表を待っている。
司会者が「お待たせしました。お弁当コンクールの結果の発表です。まずは審査員特別賞から。審査員特別賞は青森○○高校です」
先ほど話をしていた、青森の生徒2人が壇上に行く。
そして一言を言って、賞状を受け取る。
「続きまして第3位の発表です。長崎○○高校です」
長崎の生徒が壇上に行く。
3位に入り嬉しいこととともに、調理中のアクシデントにも触れた。
改めて、料理では想定外のことも起こるのだと学び、アクシデントに謝罪をした。
僕はあれは、本当にアクシデントだっただけにかわいそうだったと思った。
「次は優秀賞の発表です。優秀賞は北海道○○高校です」
またもさきほど話していた北海道の高校の2人が壇上に行き、賞状を受け取る。
そして嬉しいことと後一歩で悔しいとも言った。
「最後になりました。最優秀賞の発表です。最優秀賞は富山の○○高校です」
富山の2人はガッツポーズで大喜びをしている。
壇上に上がり賞状などを受け取り、喜び全開と言った挨拶をした。
会場から拍手が起きる。
僕たちは、入賞には届かなかった。
これで表彰式は終わった――そう思った。
ところが司会者が「実は審査員のお1人から個人的に一言がありまして」
そういうと審査員席から1人の審査員が壇上に上がる。
「今回の大会では知っての通りアクシデントがありました。しかし1人の生徒の迅速かつ的確な行動により、事態はすぐに収まりました。もちろんアクシデントから立ち直った両校も素晴らしい。そしてその行動を取った東京の○○高校には私個人から特別賞をあげたいと思います」
僕たちが呼ばれて壇上に立った。
「これは大会規定の賞ではありません。しかし、今回の大会で私が最も心に残った行動として、審査員賞として特別に表彰させてください」と審査員が言う。
そして「みなさんも料理の過程でアクシデントに遭遇するかもしれない。その時は今回みたいに冷静に対処していただきたい」
審査員は僕らを見て「賞状もなくて申し訳ないが……商品はうちのお店に招待でどうかな?」と言う。
この人は有名料理店の料理長であるである。
花奈が「はい。是非お伺いします」と言う。
会場から拍手が起こった。
これでお弁当コンクールは終了となったのである。




