第53話 第3回料理教室
3学期が始まって少し経つと舞留先生に呼ばれた。
「以前話していましたが、また料理教室をやりますか?」
「やりましょう」と僕が言う。
「2回目の時は記入式がいいとの意見もありましたが」
「そうですね。記入式で僕たち2人で選ぶのにしましょう」
「ただ、それだと希望する料理がばらばらになりますよ」
「それで構わないと思っています。作りたい料理を覚える。それが一番大切だと思います。もちろん全員分の意見は聞けないのはわかっていますが」
「わかりました。ではお願いします。そうそう、日にちはこの日かこの日で」
それから花奈と一緒に資料を書いて、掲示板に貼っていった。
家庭科室のアンケート回収ボックスにはたくさんの意見が投函された。
・揚げ物がいいです。トンカツやフライもので。
・ケーキとかがいいです。
・映えるもの。見た目が派手なのがいい。
・ハンバーグを覚えたい。
・ティータイム用にスコーンやクッキー。
花奈が「これなんかどう?」と言う。
見ると
・牛丼。ガッツリ食べたい。
・からあげ。ご飯が進みそうなので。
いかにも花奈らしいが女性の参加者が多いこともあり、この2つは今回は見送ることにした。
そんな中、こんな意見を見つけた。
・2年生はもうすぐ本格的に受験が始まるので、夜食に食べられるもの。
「花奈これがいいと思うんだけど」と僕が言うと
「いいんじゃないかな。受験生頑張れ的な意味も込めて」と花奈が言う。
「夜食って何がいいんだろう。お茶漬けや、おにぎりだと簡単すぎるし、鍋焼きうどんだと春になっていくので、違う気がするんだ」
「う~ん。サンドイッチ?」
「悪くはないけど。う~ん」
「じゃあおかゆ」
「病人や朝食じゃないんだから」
「じゃあ雑炊」
「それならいいかも」
「でも一品だけだと少し寂しいね。じゃあサンドイッチも付けよう」
「その2つ合わないような」
「別に一緒に食べる訳じゃないし、一般人は。でさ、サンドイッチだけど、フランスパンがいい」
「なら夜食として、2つ提案ということで。サンドイッチは具材も作ってもらおう。BLTにタマゴサンドにツナサンドと」
「いいねえ。決定」
こうしてメニューが決まった。
今回の料理教室では、受験生向けの夜食を2品紹介します。
・雑炊。たまごのみのシンプルな雑炊ですが、具材でアレンジ可能です。
・サンドイッチ。今回はフランスパンのサンドイッチです。具材も何種類か作っていただきます。
これで、いつもみたいに募集をした。
男性15人、女性17人と、ほぼ同じ人数になった。
理由は夜食と銘打ったことだろう。
ダイエットを気にする女性がやや減り、受験を意識した男性が増えたといったところか。
料理教室当日。
僕はまず挨拶をした。
「みなさんこんにちは。今回受験に向けての夜食を希望ということで、夜食を2つ提案します」
「提案するのは雑炊と、サンドイッチです。両方ともアレンジ可能なので楽しめると思います」と花奈が言う。
「では、ご飯が炊き上がるまでサンドイッチを作ります」
「挟み方はいくつかあると思うのですが、今回は斜めに切って切り込みを入れます」
「挟む両面にバター又はマーガリンを塗ります。これは野菜などの水分を、パンに水分が染み込まないようにするためです」
「今のがパンのベースです。マスタードを塗るのも美味しいですが、これは好みで。今回は3種類の具を挟んでみましょう」
まずはベーコンを焼き、トマトをスライスしてレタスを入れて挟むBLT。
ゆで卵を潰し、マヨーネーズで和えて、レタスと一緒に挟むタマゴサンド。
ツナをマヨネーズで和えて、レタスと一緒に挟むツナサンド。
これら3つを作っていった。
「トマト切るの難しい」
「キュウリや玉ねぎも入れたい」
「ベーコン焼きすぎた」
そうこうしてると、ご飯が炊けたので雑炊を。
鍋にご飯とだしを入れて温め、醤油で味を調え、最後に溶き卵を流し入れる。
味を整えて完成。
女性の何人かがサンドイッチをスマホで撮る。
見てみると、彩りが良く、写真映えする仕上がりになっていた。
その後はみんなで試食。
女性陣にはサンドイッチを夜食ではなく、お弁当にという意見が多い。
それはそれでありだと思う。
「後は各自、好みでアレンジして下さい。例えば雑炊にはお肉を入れたり、きのこを入れたりとかです。サンドイッチには他に、アボカドやチーズなども良いと思います」と僕が言う。
みんなが食べ終わったころに「希望者がいればこの後、おにぎりの握り方も解説します。よかったら見ていって下さい。最後に受験生のみなさんは頑張って下さい。料理研究会は応援しています」と僕が言って一応締めた。
この後はおにぎりの握り方講座を開いた。
こうして第3回の料理教室は終わったのである。
ちなみに握ったおにぎりは全て花奈が食べました。




