第50話 パン
放課後、花奈が紙をジッと見ている。
「花奈、何見てるの?」
「パン屋のアンケート用紙」
覗いてみると、5つの項目が書かれていた。
1. パンを購入する頻度を教えてください。
□ 毎日
□ 週に2~3回
□ 週に1回程度
□ ほとんど買わない
2. よく購入するパンを教えてください。(複数回答可)
□ 菓子パン
□ 総菜パン
□ サンドイッチ
□ 甘いパン
□ その他( )
3. パンの種類は十分だと思いますか。
□ とても満足
□ 満足
□ 普通
□ やや不満
□ 不満
4. 販売時間についてどう思いますか。
□ 今のままでよい
□ もっと早い時間に販売してほしい
□ もっと長く販売してほしい
5. 販売してほしいパンがあれば書いてください。(記入式)
花奈がアンケートに書き込んでいく。
1は週に2~3回。
2は菓子パン、総菜パン、サンドイッチ、甘いパンに一通りチェックを入れた。
3はやや不満。
4はもっと長く販売してほしい。
5の記入式には、フランスパン1本と食パン1斤。
「アンケート出してくる」
花奈がそう言って部室を出る。
フランスパン1本と食パン1斤って、食べる時にマーガリンやジャムはどうするんだろう。
持参するのかな。
でも、それだと冷蔵庫がないとダメだよね。
花奈が戻ってくると、「なんだかパンが食べたくなってきた」と僕が言う。
「作ろう作ろう。パンって初めてだよね」
「そうだね。じゃあ簡単なのから作ろうか」
「うん」
スーパーへベーキングパウダーとヨーグルトを買いに行った。
「なんのパンを作るの?」
「ソーダブレッド」
「聞いたことない」
「アイルランドのパン。発酵させないから早く出来るんだ」
「へえ」
「発酵するパンだと何時間もかかったりするものもあるしね」
ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖、塩を入れて混ぜる。
無糖ヨーグルトを加えゴムベラで混ぜる。
クッキングシートを敷いた天板にのせ、丸形に成形し、薄力粉を振る。
180℃のオーブンで30分焼いて完成。
バターやジャムを塗って食べることにした。
「なにこれ、簡単で美味しい」と花奈。
「ソーダブレッドみたいに、発酵させずにベーキングパウダーで作るものをクイックブレッドって言うんだ」
「パンっていいねえ。これからも作っていこう」
「そうだね。時間があれば発酵させるパンもね」
「そういえば、ケーキってパンに近いよね」
「そうだね」
「クリスマス一緒にケーキ作ろうか」
「うん」
花奈の言葉に僕は頷いた。
そういえばクリスマスはどうするんだろう。
花奈と一緒にケーキを作って食べて過ごすのだろうか。
その後2人とも口数が少なくなってしまった。




