第44話 文化祭
文化祭が近づいてきた。
僕らも文化祭の準備に入る。
この学校の文化祭では、クラスの出し物より部活動が優先される。
クラスのみんなには悪いと思ったけど、クラスの方は手伝わずに料理研究会の方で準備を進める。
今回料理系は、2年生の1クラスが焼きそばを出すのと、料理研究会だけなので、良い場所の空き教室を提供された。
そして嬉しいことに、松君と戸尾君、恵美理さんと理沙さんも協力してくれることになった。
松君たちには接客と会計をお願いした。
僕と花奈は調理に専念する。
料理は2種類。
焼きおにぎりとお団子である。
以前話した通り、焼きおにぎりは深めの皿型のカップに入れ、かつお節をふりかけ、最後にバターかチーズを選んでトッピングだ。
お団子は3色のホイップクリーム団子。
こちらは緑茶も一緒に提供をすることになった。
値段はわかりやすく両方500円。
これで会計の負担を減らせる。
一方作る側としてはお団子が作り置きが出来るのがありがたい。
焼きおにぎりと違って、出来立てを提供するわけではないので事前に大量に作り置きが出来る。
後は、花奈と一緒に打ち合わせをして当日を迎えた。
当日は大盛況であった。
予想通り、料理を出すのが2つなのもあって、廊下に待ちが出来ている。
僕たち6人はひっきりなしに応対した。
1日目が終わると、僕の予想よりも売れたことが分かった。
急いで花奈と明日の分の買い出しに行き、今日の1.5倍の量にした。
2日目。昼頃まで、昨日以上に混んでいる気がする。
量を増やして正解だと思ったのだが。
昼になると待ちが、行列に変わっていた。
ちょっとやばいと僕は思った。
接客をしている戸尾君が裏で作業している僕らのところにやってきて
「お客が言ってたけど、もう1つの焼きそばのクラス、食材が切れて終了したんだって」
今や、この学校で料理を提供しているのは料理研究会のみとなったのである。
それでこの行列になったのだ。
まだお昼である。
客足が途絶えない。
僕は焦りだす。
このままでは僕らも材料切れになる。
「しっかりしなさい久!まだ時間はある」と花奈が僕に言った。
「でも、このままじゃ……」
「考えるの、まだ少し材料はある。今、何が出来るか一緒に考えよう」
花奈の激励で僕は少し冷静になった。
米はまだある。
しかし団子粉は切れそうだ。
お団子は諦めよう。
仮に材料があってもトッピングに時間がかかるし。
客席から見知った声が聞こえる。
国際交流部の8人が食べに来ていたのだ。
僕は国際交流部の元に行き部長に事情を話す。
「お願いがあります。そこのスーパーで食材を買って来てくれないでしょうか」
僕の必死の頼みに、ただ事じゃないと思ったのか了承してくれた。
20分後に国際交流部の8人が材料を買って戻って来てくれた。
「花奈、お団子は諦めチャーハンに変更だ。米はまだあるんだから」
「わかった任せて」
メニューのボードにもお団子売り切れ、チャーハンに変更と書く。
炊飯器もフル稼働して、焼きおにぎりとチャーハンの2つで応対。
夕方、やっと落ち着くまでなんとか乗り切った。
「どうなるかと思った」と僕が言う。
「さすが久。卵割りまくって、片手で割れるようになっちゃった」と花奈が言う。
「いやーすごかった」と戸尾君。
「混みすぎでしょ」と恵美理さん。
「部活みたいに激しかった」と理沙さん。
「お疲れさん」と松君。
「みんなありがとう」と僕が言う。
その後花奈と2人で国際交流部にもお礼を言う。
「あのぐらい大したことないって。そうだ、ファラリス・アカデミーが今度料理作って欲しいって言ってたぞ。あとキュートガールにも会いたいって」
「キュートガール?」
「君の彼女だろ」
僕は顔が赤くなった気がした。
「別に彼女じゃないです」と僕が言う。
「なんかファラリス・アカデミーで人気だったぞ。キュートなビッグイーターだってさ」
「ビッグイーター?」
「大食いって意味」
「私、そんなに食べないです」と花奈が言う。
「シェパーズパイもどきを1人で食べてたじゃないか」
花奈の顔が赤くなる。
とにかくお礼を言って国際交流部を後にした。
空き教室に戻ると、最後にみんなで軽く打ち上げ。
米はほとんどなく、団子粉も、チャーハンの卵も無くなっていたので、部室から小麦粉を持ってきてどらやきの皮を作ってホイップクリームを挟んで提供した。
6つ分しか作れなかったけど、みんなで食べるどら焼きもどきは美味しかった。
大変だったけど充実した2日間であったのだ。




