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第4話 しょうが焼き

英語の授業中に何気なく校庭を見た。


窓際の席なので校庭が見えるのだ。


見ると花奈のクラスが体育の授業をしている。


2人で組んでストレッチをやるのだが、花奈は相手がまだ見つかっていない。


花奈は中学時代に引っ越して別の場所にいたので、中学時代の友達がいないのも関係しているんだろう。


最後の方でようやく相手が見つかったみたいだ。


なんだかホッとした気持ちになった。


「江利。そんなに体育の授業が好きか?」と英語の教師に言われた。


僕が授業そっちのけで、校庭を見ていたのがバレたみたいだ。


「すいません」と僕が謝る。


「ちゃんと授業に集中しろよ」と先生に言われた。


最近、つい花奈のことが気になってしまう。


もっとしっかりしなきゃと僕は思った。



放課後、部室に行くと花奈がすでに来ていた。


「久、今日は何作るの?」


「そうだなあ」と言って僕は考え込む。


「から揚げかトンカツが良い」と花奈が言う。


「揚げ物はまだ無理だ。油を多く使うから危険だし、正直花奈にはまだ早い」とはっきりと言った。


「そっかあ。残念」


「そんなに肉が食べたいの?」と僕が聞くと、


「うん。お肉大好き」


「じゃあしょうが焼きはどうだ?」


「なにそれ、何の肉?」


「しょうが焼きを知らないだと……豚肉だよ」僕は軽い衝撃を受けた。


そういえば料理は父親が作っていたと言っていた。


父親も働いていただろうから、料理に(かたよ)りがあるのだろう。


そういうところも含めて少しずつ、教えていければと思った。


「豚肉にしょうがとタレで炒める。ごはんが進むぞ」と僕が言うと、


「はい決定。買い出しに行くよ」と花奈が早速部室を出る準備をする。


「ちょっと待ってよ」と僕も急いで準備をした。


ちょうどいい機会なので調味料一式と豚肉とチューブ生姜を買ってきた。


生姜を買ってすりおろしてもよかったけど、こっちの方が手軽だし安いしね。


花奈が肉に切り込みを入れて反り返らないようにし、片栗粉やしょうゆなどのタレに生姜を染み込ませて焼く。


今回は包丁はあまり使わなかったので、ちょっと安心だ。


「ねえ、これって焼き加減は?」と花奈が聞いてくる。


「豚肉だからじっくりと火を通す」と僕が言う。


「なにこれ、めっちゃいい匂い」


その間に僕がご飯を炊いておいたので、しょうが焼きと付け合わせの昨日のキャベツを千切りもどきにしたのを添えて完成。


「あのう。僕が肉2枚で、花奈が5枚はなんでなんですかね?」と僕が聞くと、


「細かいこと気にする男ってモテないよ」と花奈が言う。


まあいいかと思い2人で食べる。


花奈はご飯のおかわりをねだってきた。


作っていないと言うと文句を言ってきた。


「食べすぎると太るよ」と僕も言い返す。


「うっ」と声を漏らしたと思ったら僕を(にら)む。


「女の子に対して言うセリフ?」


「何ごとも加減が大事ってことだよ」と言ってはぐらかす。


その後は花奈がしょうが焼きについて質問攻め。


よほど気に入ったのだろう。


「じゃあ、洗い物するね」と花奈が言う。


「手伝おうか」と聞くと、これは私の仕事だから」と花奈が言う。


また花奈の後ろ姿を見入ってしまう。


「ねえ。またこういうの教えてよ」


「こういうのって?」


「ごはんのおかずになるの」


「うんわかった。でも肉ばかりじゃなあ」


「お肉いいじゃん。魚ってただ焼くだけでしょ?それなら出来そうだし」


「基本はそうだけど、じゃあ次は魚料理だね」


「肉じゃないのか。まあいっかあ。レパートリー増やしたいし」


その日はこれでお開きになった。



その夜、花奈は母親にしょうが焼きを作ってあげた。


「お母さん、一緒に食べよう。美味しいよ」

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