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第38話 温泉テーマパーク

緊張して眠れない。


さっきから横になって何度目を閉じたことだろう。


寝ようとしてからどれぐらい経っただろうか。


明日は朝早いんだ。


なんとしても眠らなければ。


明日……


考えると、また眠れない気がする。


ああ、僕はどうしたらいいんだ。


それから意識がなくなったのは、しばらく経ってからだった。



目覚ましが鳴っているのがわかる。


起きなければ。


ふらつきながらも洗面台まで行き、顔を洗う。


そしてコーヒーを飲んで、ようやく目が覚めてきた。


「あんた今日プールなんでしょ」と母が言う。


母親にはみんなとプールと言ってある。


まさか、花奈と2人で温泉テーマパークだと知れたらどんな顔をするだろう。


パンを食べ終えると、僕は家を出た。


駅に着くと、すでに花奈がいた。


「おはよう」と笑顔で挨拶をしてくる。


「おはよう」と僕も返す。


僕の顔を見て「まさか緊張して眠れなかったとか」と花奈が茶化す。


「う・うん」


否定されると思っていたのだろう。


僕が肯定したので、花奈も照れてるようだ。


「じゃあ行こうか」と僕は急いで言った。


花奈と一緒に温泉テーマパークへの日帰り旅行の始まりだ。


電車で2時間の旅。


花奈が「眠かったら着くまで寝ててもいいよ」と言う。


「それは悪いから」


「でも温泉で倒れられても困ります」


「そうだね。ちょっと寝させてもらうよ」



体をゆすられる。


「もうすぐ着くよ」と花奈が言う。


僕は軽く伸びをして、眠気を覚ます。


花奈も駅弁を片付けている。


電車が到着をした。


今回チケットの手配から何から何まで花奈がやってくれた。


入場口に行き、すんなりと館内に入る。


「じゃあここで待ち合わせ」と言って地図を指さす。


僕は更衣室で水着に着替える。


そして待ち合わせの場所に向かった。


しばらくして花奈がやって来た。


ラッシュガードの水着で。


僕は少し期待していた。


まあ水着なんて何着も持つものではないだろうし、と自分を納得させた。


ここは比較的新しい施設で、7つの温泉と、屋内プール、屋外プールとサウナがあり、全て水着で入れる。


まずは僕たちが待ち合わせた目の前の天界のお風呂から入ることにした。


お風呂の周りにたくさんの彫像がおかれ、ミストがたかれているお風呂だ。


2人でお風呂に入り、くつろぐ。


次はジェットバスだ。


泡の噴出が体に当たって気持ちがいい。


クセになりそうである。


その次は大展望風呂。


外一面を見ながらの入浴である。


見晴らしが良い中でのお風呂とはこんなにも気持ちが良いものなのだろうかと思った。


次は水風呂。


今の時期ではとても気持ちがいい。


ただ冬はどうしているんだろうと気になった。


逆で熱湯風呂とかになってるのだろうか。


次は少し離れたところにある天然風呂。


その名の通り天然温泉だ。


色々な病気に効用があるらしい。


美肌効果もあるので花奈は喜んでいる。


次は花の湯。


花びらが浮かんでいるお風呂である。


日によって花が違うみたいだ。


いい香りがする。


この匂いも日によって違うのだろう。


最後は深紅の湯。


赤いお風呂である。


理由はわからない。


中二病が好きそうなお風呂だ。


こうして7つのお風呂を全て制覇した。


ここでお昼を食べることにした。


フードショップのようなところと、お店タイプがある。


どちらも、もちろん水着のままで大丈夫だ。


2人で見比べた結果、フードショップの方を選んだ。


僕は、冷やし中華とジュースを頼んだ。


花奈はからあげ入り焼きそばと、チャーシュー丼を。


そういえば冷やし中華って地域によって微妙に違うのを最近知った。


マヨネーズやからしなどを入れる地域もあるらしい。


今度試してみたい。


食べたあとはプールに入った。


屋外では低いながらもウォータースライダーもある。


サウナ以外、一通り入ったところで


「じゃあ次に行こうか」と花奈が言う。


「次?サウナ?」


「ううん。別のとこ。ちょっと荷物持ってくる」と言って花奈が行ってしまった。


少し経つと花奈が荷物を持ってやって来た。


僕は花奈の後をついて歩く。


結構歩く。


外へ出るんじゃないかと思った。


すると小さな家みたいのがたくさん見えてきた。


「着いたよ」


「休憩所?」と僕が聞く。


「残念はずれ」


花奈が家の番号を見ながら、目的の家に鍵を使って中に入った。


「久も早く」


僕は言われた通り中に入った。


そこは小さいながら部屋と温泉が。


貸し切り温泉だ。


「ちょっと着替えるね」と言って扉を開けて、狭い部屋に入って行った。


しばらくすると扉が開く。


ピンクのビキニに着替えた花奈が。


透き通るような白い肌に、細い腰。


きれいな足と僕は目のやり場に困った。


「時間が無いから早く入ろう」と花奈が言う。


僕はどうしていいかわからなかった。


花奈を見たい。


でもずっと見ていると、軽蔑されるのではないかとも思ってしまう。


そしてお互い無口になってしまった。


「なにか言ってよ」と花奈が言う。


「時間が無いっていつまで」


「1時間だけ。てかそういうことじゃない」


「水着似合っている」


「もっと褒められないの?」


「かわいい」


「よし。まあ合格としましょう」


そのあとは僕はまたとんちんかんなことを言ったらしい。


その度に花奈が呆れるように答えてきた。


時間が来ると花奈は再びラッシュガードに着替えて、帰る為に更衣室に向かう。


僕の為なのか水着を着替えてくれたことが嬉しかった。


着替えをして、受付を済ませて電車に乗っている。


「今日は楽しかったね」と花奈が言う。


「そうだね」と僕が答える。


「夏休み中にもう1か所ぐらいどこかへ行きたかった」


「あと10日しかないよ」


「そうだけどさあ。別にこういうところじゃなくてもいいから」


「花奈だから食べ物系の場所?」


「失礼な。私が食べてばかりのようじゃない」


「違うの?」


「違います。まあ好きだけどさ」


「そういえば、花奈って宿題終わったの」


「……久助けて」


「どのぐらいあるの?」


「半分ぐらい……」


「ダメじゃん。明日からやらないと」


「急に現実に戻さないで~」


電車はそろそろ駅に着く。


明日からは花奈の宿題もみなくてはと思った。


でも、まっいいか。


今日はとっても楽しかったんだから。

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