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第33話 花奈の家

久の家は、月曜から土曜までは父親が仕事でいない。


母も午後から出かけていて家にいない。


なのでいつも午後に花奈が来ていた。


しかし日曜は2人ともいる。


久は親に会わせるのが照れくさくて日曜は呼んでいないのだ。


そこで、日曜日は花奈の家に行くことにした。


もっともそれはそれで、花奈の母親に会うことになるのだが。


「久ちゃんお久しぶりね。ずいぶん大きくなったわね」と花奈の母親。


「お久しぶりです」と僕は言う。


「じゃあ私は出かけるから後はよろしくね」と母親が言い、出かけていった。


「とりあえず私の部屋で」と花奈が僕を自分の部屋へ案内する。


僕は緊張していた。


数年ぶりの花奈の部屋だ。


「久、麦茶でいい?」と花奈が言う。


「うん」


「じゃあ持ってくるね」と冷蔵庫へ向かう。


僕は花奈の部屋で待つことに。


花奈の部屋を見回す。


シンプルながら綺麗な部屋だ。


部屋の中央にはピンク色の絨毯が敷かれている。


机の奥に、料理入門と料理の基礎という2冊の本があった。


僕はそれを見て嬉しく思った。


「今日は何作るの?」と麦茶を持ってきてくれた花奈が聞く。


「肉じゃがはどうかな?」


「やったあ」


「材料は持ってきてあるんだ。台所借りるね」


「うん。一緒に作ろう」


豚肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。


「じゃあ野菜を切ろうか」と僕は言う。


でも包丁は1つしかなかった。


「じゃあ、花奈お願い」


「わかった」


花奈の包丁さばきもだいぶ安定してきた。


最初は見ているこっちがドキドキしたものだ。


鍋に油を入れ豚肉を炒め、その後に野菜を入れる。


そして水や調味料を入れて煮込む。


「アルミホイルある?」と僕が聞く。


「はい」と言って花奈が渡してくれた。


「何に使うの?」


「落とし蓋」


「落とし蓋?」


アルミホイルを円状にして鍋に入れる。


「落とし蓋をすることで、少ない煮汁で味をしみ込ませることができるんだよ」と僕が言う。


じゃがいもがやわらかくなったあたりで完成。


炊き上がったご飯と一緒に2人で食べる。


「美味しい」と言って花奈が食べる。


僕は花奈のお母さんの分もと多めに作ったのだが、花奈が全て食べてしまった。


「おばさんの分もと思って多めに作ったのに」と僕が言うと、


「だってぇ。後で私が作るから」と花奈が言う。


まあ、それならいいかと思い後片付け。


その後は花奈の部屋に。


「ゲームやる?」と花奈。


「いやいい」


しばらく沈黙が続く。


「あの……」と僕が沈黙を破る。


「はい」


「今度花奈とどこか行きたいって話なんだけど、ここどうかな」と僕はスマホでサイトを見せる。


そこは、ここから電車で2時間ぐらいの場所にある、丘陵地に建つ、日帰りでも楽しめる温泉テーマパーク。


花奈が一瞬驚くも、僕のスマホをジッと見る。


花奈さん、近いです。


「うん。ここいいね。いつ行くの?」


「お盆の前か後」


「後にしよう。前は花火とかあるし」と花奈。


「わかった」


「じゃあさあ、私が予約取るよ」


「うん」


「夏休みの〆にいいね。楽しみだよ」


「よかった。ありがとう」


「こちらこそ」


その後は2人で取り留めのない話をした。


お盆明けが楽しみだ。

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