第31話 6人で遊園地
待ち合わせ場所で、僕たち男3人は待っていた。
「遅いなあ」と戸尾君。
「女の子は準備に時間がかかるものだよ」と松君。
「そういうものなの?」と戸尾君。
「僕らのように着替えて終わりじゃないんだ。メイクをしたり、日焼け対策をしたりする子もいるからね」と詳しい松君。
しばらくすると「お待たせ」と恵美理さんの声とともに女の子3人がやって来た。
「じゃあさっそく行こうか」と戸尾君。
まずは室内コースターに乗る。
僕と松君と恵美理さんの3人と花奈と理沙さんと戸尾君の3人に分かれて乗る。
室内のみのコースターなんて初めてだ。
暗めのコースを、ライトに照らされながら進んでいく。
絶叫って感じではないけど、先が見えない怖さがあるといった感じだ。
そしてたまに回転して驚く。
松君と恵美理さんが横並びで、僕が対角に座っているけど、恵美理さんが松君に「怖い」と言って松君の手を掴む。
あれ?恵美理さんてこんなキャラだっけと思ったけど、ひょっとしてと思った。
次は王道のコースター。
僕の隣は理沙さん。
「久はこういうの得意?」
「普通かな。理沙さんは?」
「私は運動部よ。こういうのは得意」
丸太を模した車両に乗り、動き出すとゆっくりと坂を登って行く。
結構登るなあ。
そして、落下、上昇、カーブの繰り返し。
もちろんスピードが出ていた。
「キャーキャー」と言って僕の腕を握る。
理沙さん、痛いです。
スタート地点に戻ってくると「まあまあだったね」と理沙さん。
ツッコんだ方がいいのか迷う。
得意とはなんだったんだろう。
その後も落下系のものや別のコースターを乗った。
5人は楽しそうに話す。
僕も加わっているが、話を合わせているだけだ。
5人は楽しんでいるが、僕だけが違う。
僕も5人に加わりたい。
そう思った時に体が勝手に動いた。
「久どこに行くの?」と花奈が声をかけるが僕は走る。
気づくと僕は階段を登り、ロープを体に巻かれていた。
係員から説明を受ける。
僕は頷き、前へ歩く。
「3・2・1」とカウントが聞こえる。
僕は迷わず飛んだ。
視界が真っ白になる。
その後逆さの状態に。
僕はバンジージャンプをしたのだ。
5人が僕を見ている。
そして賞賛が聞こえた。
僕は何かが吹っ切れた気がした。
今日初めて、楽しいと心から思えた。
観覧車に乗る。
夕暮れが近づき、いい雰囲気だ。
松君が「久、さっきはすごかったな。見直したよ」と言う。
「僕も自分でびっくりした」と僕が言う。
松君は窓の外を見ながら「綺麗な景色だな。今日は来て良かったな。久もそう思うだろ」
「ああ。本当にそう思う」と僕が言う。
「なに2人で語ってるんだよ。おかしいだろ、観覧車に男3人て」と戸尾君。
「だって4人乗りだから仕方ないじゃん」と松君。
「普通男女2人組で乗るものでしょ」
「まあいいじゃないか」
「そうだよ戸尾君。野暮なことは言いっこなしだ」と僕が言う。
「久も、おかしいだろ」
観覧車が1周を終わり、僕たちは合流した。
最後に花奈がみんなでスマホで写真を撮った。
こうして帰ることになったのである。
家に着くと花奈から画像が送られてきた。
「こんな笑顔の久、初めて見たかも」と添えられて。




