第20話 天ぷら
「テスト明けに2人でどこか行かない?」この花奈の言葉が僕の脳内を駆け巡る。
これってデートのお誘いだろうか。
遊園地、水族館、映画館、まさか遠出の旅行、それとも2人きりでプールとか。
僕は花奈に聞いてみた「どこに?」
「いいとこ」
いいとこってどこだ?
「それで、行くの行かないの?」
「行きます」と僕は速攻で答えた。
「じゃあテスト明けに行こうね」
僕はどこに行くのか気になって仕方がなかった。
翌日も花奈が来た。
日曜だけど、父は昼前に出掛けて、母も午後に出掛けた。
今日の花奈はやや短めのスカートでやってきた。
昨日の発言があった後なので、勘ぐってしまう。
僕がボーっとしてたら「それで具材はどうするの?」と聞いてきた。
「どうしようか。しいたけしか決まっていないね」
「じゃあ食べたいのお互い1つずつ言っていくのはどう?」
「いいね」
「では私からね。鶏肉」
鶏肉の天ぷらは九州のどこかの郷土料理だった気がする。
いきなり花奈らしいボリュームがあるのが来たなと思った。
「イカ」と僕が言う。
確か冷凍イカがあったはずだ。
「エビ」
高いの来たな。
まあ許容範囲。
「ナス」と僕が言う。
ナスは定番でしょ。
「キス」
「ちょっとまったキスは手に入らない」
キスって天ぷら以外でほとんど見かけないけどなんでだろ?
「じゃあさつまいも」と花奈が変更した。
「アスパラガス」
これ美味しいんだよね。
「まだいいの?」
「あと1種類ぐらいかな」
「じゃあホタテ」
冷凍のがあるからそれを使おう。
「大葉」と最後に僕が言う。
イカとホタテとしいたけ以外を買いにスーパーへ出かけた。
「鶏肉はもも肉ね」と花奈が言う。
むね肉を掴んでいた僕は、高いもも肉に変更をした。
なるべく量が少ないのを探して。
さて、天ぷら粉を使ってもよかったのだけど、薄力粉から作ることにした。
卵と氷水を使って作る。
そして今回の1番の難敵はエビである。
背ワタを取り、切れ目を入れた。
真っすぐのまま油に入れる。
下味をつけるものにはつけて、切れ目を入れるものには入れていく。
どんどん揚がっていく。
花奈のテンションがあがるが、揚げ物なので慎重にと注意をした。
2人で天ぷら盛り合わせを食べていく。
「ねえ。ご飯はないの?」と花奈が言う。
「これだけあればいらないでしょ」
「いるよ!」
仕方がないのでパックご飯で我慢してもらった。
個人的には大葉が当たりだ。
サクサクして美味しい。
「次は何作るの?」と花奈はもう次の話をしている。
「どうしようかな。迷っているんだ。揚げ物はトンカツと天ぷらが出来れば後は応用だけだし」
「そうなんだ」
「強いて言えばコロッケかな」
「コロッケ!」
「それとも第四段階にしようかな」
「第四段階はなに?」
「デザート」
「決定。次はデザートね。何にするの?やっぱりケーキ?それともプリンとか?パンケーキやタルトやアップルパイもいいねえ。クレープやドーナツも有りか。ムースやパウンドケーキでもいいよ。それとも和菓子?お団子とか羊羹とか?」と花奈が一気にまくし立てる。
「あの花奈さん。落ち着いて」
「それで何にするの?」
「まだ何にも決めていないよ」
「そっかあ。たのしみだなあ。作れるようになったら恵美理と理沙も呼ぼうっと」
「その前にもうすぐ期末考査があるけどね」
「あああ。どうしよう」
僕はデザートやテストよりも期末考査後に出掛ける方が気になるんだけどな。




