第17話 宿泊研修2日目
館内放送が流れる。
起床の時間だ。
時計を見ると6時ぴったり。
もう少し寝ていたい。
続けざまに「6時30分に全員外へ集合」と放送が流れる。
顔を洗い目を覚ます。
さすがの松君も朝はテンションが低い。
点呼の後はラジオ体操。
小学生ぶりだ。
なんとなくしか覚えていない。
この後は朝食である。
ご飯に、焼き鮭、生卵に味付け海苔。
味噌汁とひじき。
まさに日本の朝食という感じだ。
しかし毎回僕は思う。
焼き鮭はおかず。
生卵は醤油をかけてごはんにかける。
海苔もごはんのお供。
どう見てもご飯に対してお供が多く、バランスが悪いと思うのだが。
その後は部屋に戻り片付け。
そしてアドベンチャーゲームというものをやることに。
その内容は。
丸太渡りに、ロープ渡り、みんなで橋を渡り、最後に大縄跳び。
その後は植物観察をして午前は終了。
そして昼食である。
もちろん飯盒炊飯とカレー。
僕らの班は、僕が調理の段取りを仕切ることになった。
飯盒でご飯を炊き、野菜を切るのは2人に任せた。
ここではピーラーがあるので簡単に皮をむける。
カレーは水の量さえ間違わなければ基本失敗はしない。
水の量だけ僕が見て後は2人でカレーを作ってもらった。
僕の班は上手くいった。
しかし周りをみると飯盒炊飯が失敗だらけ。
「カレーだけでいいや」なんて言う生徒も結構いた。
花奈は大丈夫だろうか。
◆◆◆
花奈は気合を入れていた。
今日の為に久と練習をしたのだから。
恵美理と理沙さんは料理は期待出きない。
私が頑張らないと。
しかしIHと火を起こしてでは火力が全く違う。
ブロックの上に飯盒を乗せるが火加減が強すぎる。
これでは強火よりも火が強い。
焦る私を察したのか「どうすればいい?」と理沙さんが言う。
「火力を弱めたい」と私が言う。
「任せて」と理沙さん。
運動部なのか度胸がある。
薪を減らして火力を落とす。
これで安心だ。
「ありがとう理沙さん」
「どういたしまして。火加減は言ってくれれば調節するから」
「お願いするね」
「その代わり」
「その代わり?」
「カレー作って」
「任せて」
野菜をピーラーでむき、煮込んでいく。
スパイスの良い香りがする。
カレーもご飯も上手くいった。
周りをみると失敗だらけ。
「私ダイエット中だからカレーだけでいいや」なんて声も聞かれる。
やったよ久。
カレー作り成功したよ。
「カレー作り大成功だね」恵美理さんが言う。
「うん」
「次は"かれ"作りだね」
私は苦笑いをした。
◆◆◆
午後は木製キーホルダー作りから始まった。
好みの木片を選び、紙やすりで削る。
ざらざらしているところをツルツルになるまでやすりをかける。
その後はオイルを塗り、金具とチェーンをつけて完成。
僕のはシンプルな木片のキーホルダーが出来た。
松君はなんかおしゃれな感じで、戸尾君はワイルドな感じだ。
ずるい。
その後は目的地まで行き折り返すハイキング。
3人でのんびり歩いていると「そっちは昼食食べられたかい?」と声がする。
振り返ると恵美理さんが声をかけてきた。
「うちらは料理研究会の会長様がいるからね」と松君。
「美味かったよ」と戸尾君も言う。
僕は花奈を見る。
花奈は親指を立てる。
どうやら上手くいったみたいで嬉しい。
僕と恵美理さん。
花奈と戸尾君。
松君と理沙さん。
この組み合わせで歩く。
「料理の王子様は私と一緒でいいの?」と恵美理さん。
「別に、その」
「男ならはっきりしなさい。まったく2人ともなにやってんだか」
「僕はまだよくわからないんだ」
「まあ、考えなさい。考えて考えて取られちゃうかもだけど」
僕は何も言えなかった。
少し会話が止まる。
「私甘いもの好きなんだよね。いつ作るの?」と恵美理さん。
「デザートは当分先。花奈にはまだ早い」
「早くしてよね。デザートになったら食べに行くから」
「う~ん夏休み前ぐらいまでに出来るといいな」
「ではその時は理沙と伺いますので」
そう話していると、宿舎が見えてきた。
「じゃあ、いろいろとがんばりなね」と言って恵美理さんが花奈と理沙さんと去って行く。
「花奈ちゃんかわいい~」と戸尾君が言う。
花奈の気持ちはどうなんだろう。
僕はそれが気になって仕方がなかった。
その後は入浴と夕食。
夕食はハンバーグにコーンスープなどであった。
ご飯をおかわりする人が続出。
昼に飯盒炊飯を失敗した人たちであろう。
その後は外で火を付けてキャンプファイヤーとなった。
音楽が流れダンスをするが自由参加なので、僕は火を見つめていた。
後ろから小突かれる。
「なに感傷に浸っているの」と花奈が言う。
「ちょっと考え事」
「そっかあ」
「いろいろとね」
「わたし戸尾君に告白されちゃった」
僕は驚いて花奈を見る。
「でもお断りしちゃった。まずは友達からって言った」
「……」
「どう思う?」と花奈が聞く。
僕が考えていると「バカップル発見」と恵美理さんがやってきた。
松君も一緒だ。
「なにしっぽりいちゃついてんだ」と恵美理さん。
「「いちゃついていない」」
「息ぴったりだな」と松君。
僕と花奈は黙ってしまう。
沈黙を破ったのは松君だ。
「夏休みさあ。みんなでどこか行かない?」
「いいねえ」と恵美理さん。
「海」「山」
と2人の意見が割れる。
「久と織美亜さんは?」と松君。
「プール」と花奈が言う。
僕は「バーベキューがいいな」
「全員バラバラじゃねーか」と松君。
「理沙と戸尾君にも聞いてみよう」と恵美理さん。
そして部屋に戻った。
部屋には戸尾君がいる。
正直落ち込んでいるかなと思ったけど、思ったよりも明るかった。
寝る前に僕に向けて「まだまだこれからっしょ」と言ってきた。
諦めてないぞと言うことか。
とりあえず花奈と戸尾君が付き合わないでホッとした。
ホッとした?
僕が?




