第16話 宿泊研修1日目
時刻は朝7時30分。
僕は学校の校庭にいる。
これからバスで山梨県に向かう。
2泊3日の宿泊研修が始まるのだ。
各クラスごとに集まり点呼が始まる。
全員揃ったところで、注意事項の説明が行われた。
そして今回の宿泊研修の目的について説明を受ける。
・クラス内と学年内の交流を通して人間関係を深める。
・他者への感謝と思いやりの心を育む。
・集団行動を通して規律のある行動を習得する。
・協力と協働することの大切さを学ぶ。
説明が終わると、荷物を持ってそれぞれのバスに乗る。
僕の隣は松君だ。
彼は朝からみんなと話して社交的だ。
一通り話が終わると、僕の方を向き「今日から3日間よろしくね」と言う。
「こちらこそよろしくだよ」と僕が答える。
松君は隣のバスを見て「あれ、織美亜さんじゃない」と言う。
僕も隣のバスを見てみる。
花奈と恵美理さんが喋っている。
こちらには気づいていない。
「織美亜さんて恵美理と仲がいいんだ」と松君。
「恵美理さんを知ってるの?」
「同じ中学校だよ」
そう話しているうちにバスが出発をした。
バスが発車すると、松君は前後左とさまざまな人と話す。
僕が隣でよかったんだろうかと思う。
途中サービスエリアでトイレ休憩を挟み、目的地へ向かう。
「先の話になるけど料理研って文化祭どうすんの?」と松君が聞いてきた。
「まだ何も考えていない。そもそも2人じゃ何も出来ないでしょ」
「作り置きで販売とかは出来るんじゃない」
「なるほど。それなら出来そうだけど、でも参加するかどうかは。花奈は参加したいって言うだろうけど」
「それなら、僕も手伝えたら協力するよ」
「それは悪いよ」
「まだ先だから確約は出来ないけどね」
そんな話をしてると、いつの間にかバスは山間部へ。
そして目的地に着いたのである。
着くとまずは入所式と施設の説明が行われた。
その後は昼食。
ご飯に味噌汁。
メインは鶏の照り焼きだった。
昼食後はオリエンテーリング。
オリエンテーリングとは何かと思ったら、班で協力して地図を見ながら決められたポイントを回ると書いてある。
松君と戸尾君との3人で地図を見ながらチェックポイントを目指す。
僕は地図と地形を見比べ目星をつける。
松君と戸尾君は喋りながら僕について来る。
2人とも地図を見る気はあまりなさそうだった。
僕が頑張るしかない。
とはいえ、そこら中同じ学校の人たちばかり。
そして目指す方向はだいたい一緒。
僕も会話に参加することにした。
そこへ「賢治じゃない」と声がする。
松君が振り向くと、恵美理さんが手をあげている。
「恵美理か。それに花奈さんも」と松君。
「あれ?賢治、織美亜さん知ってるの?」
「こちらの久、経由でね」と松君が僕を見る。
こうして、僕、松君、戸尾君と花奈、恵美理さん、理沙さんの6人でオリエンテーリングを回ることになった。
お互い初めましての人は自己紹介を。
僕は花奈と喋る。
すると戸尾君が僕を小突く。
「俺、織美亜さんと喋りたい」と小声で言う。
仕方ないので戸尾君と場所を変わった。
花奈は戸尾君と喋っている。
なんだかもやもやした気持ちになった。
その様子を恵美理さんが見て「どうしたバカップル」と言う。
「だからカップルじゃないです」
「じゃあ花奈がそこの男の人に取られちゃうよ。いいの~?」と笑いながら言う。
「別にどうでもいいです」
「素直じゃないねえ」と恵美理さん。
「それなら僕もチャンス有るのかな」と松君が言う。
これに理沙さんも加わり、3人が僕をいじる。
そうしてオリエンテーリングは終わった。
その後は花奈たちと別れて、別のイベントに。
森林を見ながらインストラクターが解説をしていく。
それをみんなで聞くという内容だった。
「織美亜さん、いい子だなあ」と戸尾君が言う。
僕はなんて言えばいいかわからなかった。
その後は入浴時間となり、夕食まで余った時間は自由時間。
僕は終始もやもやした気分でいた。
夕食は昼よりも豪華だった。
しかし僕はあまり覚えていない。
花奈と戸尾君のことが気になっているからだ。
その後部屋に戻ろうとすると
「何暗い顔してるの」と声をかけられた。
振り向くと花奈だった。
花奈が料理の感想を言う。
僕は黙って花奈の話を聞いた。
そして夕食の料理について聞いてくる。
僕は、聞かれた料理の解説と簡単な作り方を言う。
「じゃあ、私今度作りたい」
「いいんじゃない。帰ったら作ろうか」と僕が答える。
花奈と話して楽しい気分になってきた。
そこへ恵美理さんが通り「はいはいご馳走様です」と言い去っていく。
僕と花奈は否定をした。
その後班長が呼ばれたので花奈が大広間に向かう。
ちなみに僕の班の班長は松君だ。
部屋に行くと、戸尾君がいないので、1人でボーっと考える。
花奈のことを。
その後松君と戸尾君もやってきた。
そしてみんなで外に行く。
〇×のクイズ大会が開かれる。
学校は創立○○年である。
〇か×かでみんなで移動する。
正解したものだけが次の問題に進む。
学校関連や山梨関連の問題が出る。
10人ぐらい残ったところで終了。
残った人たちの多いクラスが優勝となる。
ちなみに僕は1問目ではずした。
その後は部屋に戻り就寝準備だけど、こんなに早く寝れるはずもなく……
「久と織美亜さんは付き合っているの付き合っていないの?」と松君が聞く。
戸尾君が驚く。
「付き合っていないよ」と僕が言う。
「じゃあ俺チャンスあるかな」と戸尾君。
「それはわからないよ」と僕が答える。
戸尾君が「2人はどういう関係?」と聞くので、僕が説明する。
「毎日部室で2人きりかよ」と戸尾君が言う。
「別にやましいことはしていない。ただ料理を作っているだけだ」
「羨ましすぎるだろ」と戸尾君。
「松君はどうなのさ。例えば恵美理さんと」と僕が話題を逸らす。
「恵美理と?ないない。彼女は友達だよ」と松君。
そんな話をして、そろそろ寝るかということになった。
僕は正直助かったと思った。
そして自分に問いかける。
僕は花奈のことどう思っているんだろう。




