18・いつまでも友だちだよ
「あっはは、コロはやいなあ!」
「わん、わん♪」
「コロは大きくなったね。ぜんぜんおいつかないよ」
この日、ぽーはあすかが小学校へ行っている間、公園でコロと遊んでいました。
カラーン♪ コローン♪
カラーン♪ コローン♪
雲の上の教会から鐘の音が鳴り始めました。
「おやつの時間だ。あすかちゃんもそろそろかえってくるね。かえろっか」
「わん、わん」
「さいきんボクの声が聞こえにくいって? コロつかれてるの?」
「げんきだって。そっかぁ」
「なに? ほうこくがあるって?」
「こんどって……、今おしえてよー!」
「ひみつなのー? ズルだなぁ、コロは」
「わかったよ。こんどおしえてね。じゃあね、コロ」
しばらくして……
この日も、ぽーはコロのところへ向かっていました。
「ふ、ふ、ふぅーん♪ こないだのはなし、聞かなくちゃな」
「あっ、コロだ。あいかわらずヒマそうにしてるなあ」
コロは、大きなあくびをしていました。
「おーい、コロー。げんきかい?」
「……」
「ん? コロどうしたの?」
「…………」
「あれ……? おかしいな」
何回呼んでも、コロは気づいてくれません。
目の前で手をふっても、まるで見えていないようです。
「コロ、どうしたのかなあ……」
ぽーは、さびしい気持ちで家に帰りました。
その日の夜、ぽーはママに話しました。
「ねえ、ママ。コロがボクに気づいてくれなかったんだ」
「そっか……、とうとうきたのね」
「どういうこと?」
「動物の中には、たまにぽーとお話ができる子がいるの。
子どもだったコロは今まで話せたけれど……もうコロは大人になってしまったの」
「え……っ?」
「コロに『子どもの心』がなくなってしまうと、ぽーを感じることができないのよ」
「じゃあ、もうコロとおはなしできないの?」
「……そうね」
「そうなんだね。コロ……」
ぽーは、しょんぼりしてしまいました。
ママは、ぽーがかわいそうに思いましたが、どうすることもできません。
「さいごに、おわかれくらいはしたかったな」
「どうしたものかな……。あっ、そっか! ひとつだけ方法があるわ」
「なんか、ほうほうあるの?」
「ママの特別な力はね、風の音を言葉に変えて、相手に伝えることができるの。
ただ、すぐに小さくなってしまうから、たくさんはできないの」
「じゃあ、明日の朝、コロのところに行こっか」
「うん、わかった!」
ぽーは、少し元気になりました。
あくる日の朝、ぽーとママはコロの家へ飛んでいきました。
「今日はいい風がふいてるね。コロにもよく聞こえるわ」
「よかった♪」
コロはごろごろと退屈そうに寝ていました。
「よし、ぽー。準備はいい?」
「うん!」
「ヒュウ〜ヒュウ」
ママが、風の音を口ずさみました。
コロのまわりに、やさしい風が吹き始めました。
「コロ……」
「――わっ、わん! わん、わん♪」
コロは、ぽーの声が聞こえたので、よろこんで飛びはねました。
「わん?」
でも、コロがまわりを探しても、ぽーは見えません。
ヒュウ〜ヒュウ〜ヒュウ〜
「コロ、ごめんね。もう、キミにはボクが見えないし、声も聞こえないんだ」
「わん、わん!」
「ほんとうのことなんだよ」
「……わん」
コロは、ガッカリしました。
ヒュウ〜ヒュウ〜ヒュウ〜
「コロはもう大人になってしまったんだ。でも、ボクはずっと子どものまま」
「……くうーん」
「コロ、今まであそんでくれてありがとう。すごくたのしかったよ」
ヒュウ〜ヒュウ〜
「わん、わん」
「ん……? ほうこくって、なに? あ……っ、こないだ言ってたね!」
「わん、わ、わん」
「ええっ! コロ、子どもができたの?」
「わん」
「もうパパなんだね」
「わわぁん」
「えっ! あのときのメラちゃんがママなの?」
「わん」
「やるう、コロ!」
「わん♪」
ヒュウ〜ヒュウ〜ヒュウ〜
「そっか……もうパパなんだ。コロは、ほんとに大人になったんだね」
「わん、わん……、わん」
「うん、とうぜんだよ。コロとは、いつまでも友だちだからね!」
「わん、わん!」
「じゃあね、コロ。またね、バイバイ!」
そうして、ぽーは風にのって空に飛びたちました。
ぽーは、ずっと笑っていました……。




