19・雲の上からひびく鐘の音
カラーン♪ コローン♪
……ガラン ゴロンゴロン
ガラン ガランガ……
「あっ、かねの音が止まった! どうしたんだろう?」
ある日、ぽーが空を飛んでいると、雲の上の教会からおやつの時間を知らせる鐘の音が聞こえてきました。
でも、すぐに止まってしまいました。
家に帰ってくると、パパが前にいました。
「あれ……? どうしたの? パパ」
「ぽーに、ちょっと手伝って欲しいんだ」
「でも、森のお店はどうしたの?」
「教会の鐘の調子が悪いらしくてね。長老から見てくれって手紙がきたんだ」
「へえ……、でもなんでパパに?」
「あの鐘はな、パパが作ったんだよ」
「ええっ! パパがつくったの? すごい!」
ぽーは教会にはじめて行くので、ワクワクしています。
雲の上の教会は、わた菓子のようにフワフワした雲の上にありました。
白い建物の上に、大きな鐘がぶら下がっています。
長老と丸くて白い帽子のお兄さんがいました。
「すまんの」
「じゃあ、さっそく見てみます」
「この音がないと、おばけたちにとって大変じゃ」
大きな金色の鐘の下に来ました。
「ひゃあ、大きいね!」
ぽーは、ピカピカの鐘を見てビックリしています。
パパは、鐘の中をのぞきながら言いました。
「この鐘はね、中のオモリがゆれて鐘に当たって音を出すんだよ。
オモリをぶら下げている鈴ヒモが何本か切れてるね」
「鈴ヒモ?」
「うん、鐘に使うヒモのことをいうんだ。
これから新しいのにするから、ぽーは雲の下の森のお店へ取ってきてくれるかい?」
「うん、わかった!」
ぽーは森のお店にやってきました。
「おう、ぽー。どうした?」
「鈴ヒモがほしいの」
「やっぱり鐘の調子が悪いんだな。ちょっと待ってね」
おじさんが戻ってきました。
「困ったなぁ。鈴ヒモが今ここに無くてね。
鈴ヒモが入った道具箱を開けられる人が今いないんだ。どうしたものか……」
「おじさん、ボクが取りに行ってくるよ」
「え……っ? ぽーは下の世界の物に触れるの?」
「うん!」
「じゃあ頼むね。道具箱のある森は分かるけど、くわしい場所は分からないんだ。
どこかの岩で作られた置き場所らしいんだが」
「あっ! ここは大ブナの木のようせいさんや、クマさんたちのいる森だ。ボク知ってるよ!」
「おお! じゃあ頼むね」
ぽーは、大きな森に向かいました。
緑色の森には、小さな花があちこちに顔をだしています。
「まずは、大ブナの木のようせいさんにきいてみよっと」
森の奥にある大ブナの木にやってきました。
あの時小さかった小鳥たちも、大きくなって飛び回っていました。
「げんきにしてた?」
「チュン チュン!」
「飛べるようになったんだね、すごいね」
「おお、ぽー。どうしたんだい?」
「岩でつくられたほら穴をさがしてるの。そこに、だいじなどうぐが入った箱があるから」
「よし、じゃあ調べてあげよう」
あたりの木から、さわさわという音が鳴り始めました。
さわさわさわ
さわさわさわ
さわさわ
「分かったぞ、ぽー。この先にある川を上がっていったとこに、ほら穴があるそうだ」
「ありがとう、大ブナの木のようせいさん!」
キラキラした川を上がっていくと、ほら穴がありました。
大きくなった小鳥たちも、一緒についてきてくれました。
でも、ほら穴は大きな石でふさがれています。
「この石をどけないと取れないな」
ぽーは石に触りましたが、ピクリともしません。
「困ったな……。それと、中に木の箱あるのかな?」
「チュン、チュン」
小鳥たちが、岩のすき間からほら穴の中へ入っていきました。
しばらくして出てきました。
「木の箱があったんだね、ありがとう!」
ぽーが困っていると、森の中からクマの親子が歩いてきました。
「ママ、ボクお魚とるのうまくなったでしょ」
「うん、そうね」
「あっ、くまさんたちだ!」
「ん……? この声は……ぽーさんだ!」
ぽーの声を聞いて、子グマたちがよろこんでいます。
「げんきにしてた?」
「うん! ぽーさんのおかげでドングリたくさん食べて、いっぱいねれたよ」
「こんなに大きくなったんだよ!」
「すごいね、子グマさんたち!」
「ところで、なにしてるの? ぽーさん」
「このほら穴の前にある大きな石をどけたいんだ」
「そんなのかんたんだよ!」
ズリズリ ズリズリ
「ヨイショ ヨイショ」
ズリズリ ズリズリ
「ヨイショ ヨイショ」
クマの親子が力を合わせて、石を動かしました。
「やったー♪ ありがとう!」
「ドングリのおかえしだよ。こんどはゆっくり遊ぼうね!」
「またねー!」
ほら穴の中には、道具箱がありました。
「この箱でいいのかな」
ぽーは道具箱を開けました。
ガチャ
ギッ ギッ ギー
箱の中には、丈夫そうなヒモがありました。
「やったー♪」
教会にもどると、ぽーは鈴ヒモをパパに渡しました。
ママも心配して来ていました。
「がんばったな、ぽー」
パパは、ぽーの頭をなでました。
パパは大きな鐘の中に入っていきました。
「この鈴ヒモにオモリをつけて、ぶら下げてと……」
カラーン♪ コローン♪
カラーン♪ コローン♪
きれいな鐘の音が鳴り始めました。
「やったぁ、おわったぁ♪」
ぽーは、ぴょんぴょん飛んでうれしそうです。
「この鐘はね、特別な力をもった人たちが、ワポの実を食べるのを忘れないようにと作ったものなんだよ」
「そっか……。パパありがとう!」
長老がやってきて、うれしそうに言いました。
「今回は、ぽーが頑張ってくれました」
「ほぉ、それはだいかつやくじゃの」
「えっへへ」
「これで、おばけたちも守られるじゃろう。ありがとうな」
いつのまにか、雲に住むおばけたちが教会に集まってきました。
みんなニコニコして、とてもうれしそうです。
「ほらっ、ぽーが最後に鐘を鳴らしてみなさい」
「うん♪」
カラーン♪ コローン♪
カラーン♪ コローン♪
カラーン♪ コローン♪
おやつの時間だよ♪
おばけの仲間たち、早くワポの実を食べに家にかえりなよ。
ぽーのおかげで、やさしい鐘の音が、おばけの世界に戻ってきました。
おばけの男の子ぽーは、今でも雲の階段をおりて小さなぼうけんを続けています。
もし、あなたたちの近くでふしぎな事が起きたなら、ぽーが少しだけ手助けをしてくれたのかもしれませんね。
(おしまい)




