16・ピエロの親子
ある日、ぽーが空を飛んでいると、たくさんの子どもたちが大きなテントへ向って歩いていました。みんなニコニコしています。
「なんだろう?」
カラフルなテントに近づくと、象やライオンの大きな写真が貼ってありました。
そして、大きな赤い鼻のカラフルなピエロと、小さなピエロがいました。
「あ……っ、ピエロだ!」
ぽーは絵本で見たことがありました。
ピエロは子どもたちに囲まれて踊っています。
その隣では、小さなピエロが三個のボールをクルクル回していました。
「うわぁ、すごいねぇ」
「ねぇ、パパ、しゃしんとってよ」
「ピエロだ、ピエロだ!」
「まもなく、サーカスが始まります。テントの中へどうぞ」
「これがサーカスかぁ!」
ぽーがずっと来たかった場所です。
ワクワクしながら、テントの中へ入りました。
明かりが消えて、テントの中は真っ暗になりました。
ぽーはドキドキしながら待っていると、パッと明るくなりました。
自転車に乗ったピエロから始まり、金色の髪のお兄さんやお姉さん、象や猿が楽しそうに動きながら回りました。
「うわぁ♪ すごい!」
小さなピエロが、ボールをクルクル上げながら歩いてきます。
「うわぁ、じょうずだな、あの子!」
ぽっちゃりとした帽子のおじさんが、ステージの真ん中に出てきました。
「さあ、サーカスがはじまるよー!」
わーっ! わーっ!
やったー!
金色の髪のお兄さんとお姉さんが、大きなブランコに乗って飛んできました。
すると、ぽーもいつのまにか一緒に飛び始めました。
「やっほおー♪ わぁーい!」
象が鼻でボールを回したり、ライオンが立ち上がったりするたびに、子どもたちから楽しい声が聞こえてきました。
「さあ、最後はピエロだよ!」
ピエロが大きな玉に乗って広場を回りました。
小さなピエロは一輪車に乗って、かけっこを始めました。
「がんばれー!」
しかし……小さなピエロは、フラフラしはじめました。
「あっ、あぶない!」
ガシャン
ぽーは、小さなピエロが転ぶ前に、一輪車から降ろしました。
でも、小さなピエロは、しょんぼりと下を向いたままです。
……
……
会場がシーンと静かになりました。
すると、ピエロがすぐに小さなピエロを肩車して、楽しそうにダンスを始めました。
小さなピエロも、手を上げてニコッとしています。
「ピエロ、さいこぉ♪」
会場も大よろこびです。
「よかったねえ」
ぽーも、ホッとひと安心。
サーカスが終わると、ぽーはテントの裏へ行きました。
小さなピエロが泣いていました。
「ごめんね、パパ。しっぱいしちゃって」
「失敗したことはいいんだよ。でもな……失敗した後、下を向いてただろ?
それは、よくないよ」
「うん……」
「ピエロはね、お客さんを笑わせるのが仕事なんだ。
失敗したら、それを笑いにしなくちゃな」
「……うん、わかった。パパ」
男の子のパパは、ニッコリ笑って頭をやさしくポンポンッとしました。
その日の夕方……
サーカスのテントの外で、小さなピエロが子どもたちの前で二個のボールを上げていました。
ぽーはそれをながめていました。
すると、小さなピエロはボールが取れずに失敗してしまいました。
「あらあら、だいじょうぶかな?」
しかし小さなピエロは、口から舌をペロンと出して、足を左右に楽しそうにステップしました。
「あははっ、ボールをおとしたのに楽しそうにおどってるよ!」
見ていた子どもたちも、笑っています。
小さなピエロのパパは、やさしくうなずいていました。
「うん、よかったね。キミはすごくカッコいいよ」
ぽーは、うれしそうにほほえみました。
「なんだか、パパに会いたくなっちゃったな。森のお店に行ってみよっと♪」




