15・コロの初恋
ぽーはこの日も、あすかの家でコロと楽しく話していました。
「へえ……、コロはお肉よりお魚が好きなんだねぇ」
「うんうん、焼いたほうがいいんだね」
「わん♪ わ……」
「ん……?」
すると、コロはとつぜん話さなくなりました。
じっと何かを見ています。
ぽーが見ると、小さくて毛がフサフサした、かわいらしい犬がいました。
あすかのママと、その犬の飼い主のおばさんが話しています。
「やっぱポメラニアンはかわいいわねえ」
「ポメラニアンって気が強いのよ。小さいくせに、大きな犬でも吠えちゃうの」
「それはそうと、あすかちゃんマラソン大会一位だったんだって? すごいわねぇ」
「たまたまよ……」
コロは、その犬をずっと見つめています。
まるでぽーのことを忘れてしまったかのようです。
「おーい、コロやぁい! ボクはここにいるぞ!」
でも、コロはボーっとしたまま。
「ちぇっ、つまんないの。じゃあ、コロ。きょうはもう行くから、またねー」
しばらくして……
(そういえば、こないだのコロ、なにかおかしかったな)
ぽーはコロのことが気になって、行ってみることにしました。
「わん、わん」
「いいよ、あやまらなくて。ぜんぜん気にしてないからさ」
「そうだんがあるって? どうしたの?」
「わん、わわん、わん」
「そういうことか! あのポメラニアンのメラちゃんが好きなんだね」
「わぉーん♪」
「それで、ボクはなにをすればいいの?」
コロは、自分の家から小さな木の棒を持ってきました。
「これをメラちゃんに持っていけばいいんだね」
ぽーが木の棒を受け取ると、コロはうれしそうに尻尾を振りました。
あくる日の朝、おばさんがメラを連れて大きな家の中に入っていくのをぽーは見ました。
ぽーも家の中へ入って、木の棒をメラの近くにそっと置きました。
(コロのきもちが、メラちゃんにとどきますように)
その日の夕方、ちょうどメラとおばさんが歩いてきました。
コロは下を向いてしまいました。
「だめだよ、コロ。ほらっ、がんばって!」
コロはメラに向かって「わん、わん」と言いました。
メラも「わん、わん」とかわいい声で言うと、そのまま去っていきました。
コロは、しばらくメラを見つめていましたが、やがてガックリと下を向いてしまいました。
ぽーも、コロに何と言えばいいか分かりませんでした。
……しばらくして、コロは小さな声で言いました。
「わん」
「ん……? なに? コロ」
コロは顔を上げて「わん!」と大きな声で言いました。
「なにをがんばるの?」
ぽーは、コロが元気になったのでうれしくなりました。
「つよい犬が好きだって言われたんだね」
「そっか、それでつよくなりたいんだね!」
「今から公園で練習するから、つきあってほしいって?」
「うんいいよ、まかせといて。でも、ボクはきびしいよ」
「がんばるって? よし、行こう!」
こうして、ぽーとコロは公園までダッシュしました。
がんばれ! コロ!




