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神も人も〜人に砕かれた神の核を巡る、現代妖異譚〜  作者: 佐藤 潮


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閑話 哀の白依様日誌

私は今日、自分が生まれてきた意味と意義を知った。

私の前に、神が降り立った。


その神の名は、白依様というらしい。

その御姿は、まさに名は体を表すと言わんばかりに、白く神々しかった。

月明かりに照らされた髪は淡く煌めき、白く透き通った肌は、まるで陶器のように美しい。

長い白いまつ毛の奥には、艶やかに私を見つめる赤い瞳があった。


白依様の足元には、私を日々虐げてきた者たちの死体が転がっていた。


この方が。

白依様が、私を救いに来てくださった。


そう思った。


私は頼み込んだ。

どうか、お仕えすることを許してほしいと。


そして、なんと――私と狛犬の焔羅は、白依様にお仕えすることを許された。


切実に嬉しい。


私、黒羽哀は――これからここに、白依様との記録を綴っていこうと思う。


――○月✕日

なんと、白依様と一緒に入浴しました。

こんなことがあっていいのでしょうか。


白依様は、初めて見る電気の明かりや、シャワーから出るお湯に大変驚かれておりました。


こう言っては不敬かもしれませんが――とても愛らしかったです。


 白依様と共に湯船に浸かり、少しだけ言葉を交わしました。


 その後、白依様の髪を乾かしている際に――私、黒羽哀、白依様の地雷を踏み抜いてしまったようです。


 話を聞くと、白依様のいた時代――平安の世で、白依様はその御姿ゆえに村から迫害され、両親を亡くされたそうです。


 その後、ある一柱の神様と共に過ごしておられたとのこと。


 しかし、そこへ陰陽師が現れました。

 今の御三家の祖先にあたる者たちが、その神様を砕き、白依様を封印したのです。


 その話を聞いて、私の感情はぐちゃぐちゃになりました。


 私に関わりのある者たちが、白依様にそのようなことをしでかした。

 そして今なお、その血は私にも流れている。


 気づけば私は、額を地につけ謝ることしかできませんでした。


 けれど白依様は、そんな私だと知ってなお、お仕えすることを許してくださいました。


――○月△日

白依様と共に、海沿いの街へやって来ました。


ホテルに泊まり、朝、目が覚めると――隣のベッドで、白依様はまだお眠りになっている様子でした。


初めて見る白依様の寝顔を、ついつい凝視してしまいました。


 ふと、足元から視線を感じました。


 そちらへ目を向けると、焔羅が怪訝な顔で私を見ていました。


 何故でしょう?


 とにかく、白依様が目覚める前に朝食を買いに行こうと思います。


白依様に、そもそも食事が必要なのかは分かりませんでした。


 ですが、必要だった時に何も用意できていなければ申し訳ありません。

 なので、色々と買ってみることにしました。


 おにぎり、パスタ、ラーメン、カツ丼、ホットスナック。


 ……ついつい買いすぎてしまいました。


白依様が手に取ったのは、おにぎりでした。


 やはり、馴染みがあるのでしょうか。


 包装を上手く開けられた時、一瞬だけ綻んだ御顔。

 私でなければ、見逃していたことでしょう。


 動画……せめて写真が撮りたかったです……。


 ちなみに、白依様が召し上がった具は、鮭とおかかでした。


 これからも、白依様の食の好みを少しずつ知っていきたいと思います。


――○月□日

色々あり、間が空いてしまいました。


相坂トンネルの件、実家の件に続き、萬屋――BAR《夜桜》で紹介された事故物件の解決と、慌ただしい日々を過ごしておりました。


そして今、私は白依様と焔羅と共に、岐阜県の杣木邸で療養しています。


 大まかに今までのことを書くと、相坂トンネルでは白依様たちの足を引っ張ってしまいました。


 その後、私の実家では白依様が私の父を処し、私は刳斬舞を手に入れました。


 そして、杣木邸の怪異を消し、私たちは拠点を移すことになりました。


 その際、私も戦うことはできましたが――負傷してしまい、今に至ります。


 相坂トンネルでは、焔羅が私を守ってくれました。


 そして杣木邸でも、私に力を貸してくれました。


 そのおかげで、焔羅とはかなり打ち解けることができたと思います。


 白依様とも、少しですが、確かに変わったことがあります。


 それは、私の白依様に対する気持ち。

 もちろん、さらに白依様を崇拝するようになった、という意味で。


 そして白依様も、私に対して少し柔らかくなったと言いますか――

 いえ、これ以上は自惚れですね。


――○月〇日

今日は、白依様に私の手料理を振る舞いました。


忌々しいことではありますが、掃除や料理など、家事全般は神社へ行かされる前に嫌というほど叩き込まれています。


ですので、そこには少し自信があります。


 今日は、オムライスを作ってみました。


 これは一度やってみたかったことなのですが――恐れながら、白依様の分にはケチャップでハートを描かせていただきました。


 まあ、特に何の反応もなく、スプーンで一刀両断されたのですが。


分かっていました。はい。


 お味について、白依様は何もおっしゃいませんでした。


 ですが、しっかりと完食してくださいました。


 こうして、私の作ったものが白依様を構築していくのだと思うと――何か、滾るものがあります。


これからも、なるべく白依様が口にされるものは、私の手で作りたいと思います。

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