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優しい彼女と変人だらけのシェアハウス  作者: 桐城シロウ
第四章 夏の終わりにあなたと
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29.彼女の圧倒的勝利

 


 何故か、俺は弟と義父にぎゅうぎゅうと挟まれて座っていた。このソファー、狭いな……。いや、義父の体格が飛びぬけて良いからかもしれん。とにかくも狭い。窮屈だ。向かいのソファーに座りたい。


「それで? アレン君は一体、俺の娘のどこを好きになったんだ……?」

(とうとうきたか、その質問が!!)


 大丈夫だ、朝からシュミレーションはしてきた! ヘンリーも惚気のようなことは言うなと心配して言ってきたし、ここはキレてる義父の神経を逆撫でしないためにも無難な答え一択!!


「そうですね……。しいて言えば、笑顔が可愛いところでしょうか」

「はあぁ~……」


 わざとらしく手を組んだまま、うつむいて長い溜め息を吐きやがった。なんだ? 何が不満なんだよ!? 今の答えの一体どこが! 青ざめながら隣の義父を見ていると、ぽんと、ウィルが俺の肩に手を置いてきた。


「しいて言えばって何? 義兄さん。しいて言えばって。他には無いんだ? それとも、姉さんのことはあんまり好きじゃないとか……?」

「何?」

「い、いや、言葉のあやで今のは……」


 緊張してるんだよ、こちとら! いちいち揚げ足を取ってきやがって! 俺がだらだらと冷や汗を掻いているとふーっと息を吐いた義父が乱暴に、ソファーへ座り直して腕を組んだ。


「つまらんなぁ、ありきたりな答えで……」

「ええっ!?」

「姉さんへの愛が感じられない。まさかお前、ちゃんと告白せずに付き合ったんじゃないだろうな? 一つ屋根の下で暮らしてた訳だし、無理に迫ったんじゃないのか……?」

「何? 殺すぞ」


 出た、本音が。てか、ウィルは知ってるだろうが!! きちんとプロポーズしたっての! それにまだ、キスとハグ以上のことはしたことねぇよ……。助けを求めてキッチンの方を見てみれば、楽しくお喋りをしながら、お茶の用意をしているメイベルと母親の姿が見えた。ああ、まだ無理そうだな……。一刻も早く帰りたい。青ざめながらも、拳を握り締める。


「落ち着いてください。無理に迫ったことなんて、一度も無いので……」

「本当だろうな? メイベルに突然、抱きついたりキスしたりしてないだろうな?」


 何を想像してるんだ、この義父は。だが、したことが無いと言い切れるか? これまでの日々がわっと蘇ってきた。していた……ような気もする。メイベルが出かける時と帰ってきた時にキスして欲しいって言うからしてたし、おやすみのハグをして欲しいって言われたからしてたし、膝枕も、何ならあーんも頼まれてしていた……。ぎこちなく硬直した俺を見て、義父が殺気立つ。


「ほう……? 表情を見るに、あるんだな? したことが! お前の今の表情は犯罪者のそれとそっくりだ。刑務所にぶち込むぞ、このクソガキが!!」

「い、いや、それはちょっと待ってください! 娘さんに頼まれてしていただけで、俺は何も悪くないんです……!!」

「犯罪者は得てしてそう言う。決まったな」

「何が決まったんですか!? 俺、結婚の挨拶しに来ただけなんですけど!?」

「逮捕しちゃって、父さん。こんなやつ、無期懲役が妥当」

「そうだな。法律が許せばそうしてた」


 娘さんをくださいと言うだけで犯罪なのかよ!? それで無期懲役食らってたらシャレにならねぇぞ、おい! でも、いかにメイベルが愛されているのかがこれでよく分かった。今のは俺が悪い。照れたりせずにもっともっとちゃんと、二人を安心させるために、メイベルへの愛を語るべきだったんだ……!!


「でも、安心してください! 俺は本当にメイベルのことが好きなんです。今まで二人に引かれるのが嫌で、きちんと語ってきませんでしたが、ご不安なら語ってみせましょう!」

「あ?」

(完璧マフィアだな……)


 だが、怯みはしない。散々嫌味や文句を言われるのは、覚悟の上で来たんだ。構わないさ。年に何回かの帰省だって、俺がメイベルについて行かなきゃいい話だからな……!! 俺が胸元に手を当て、真摯な表情を浮かべていると、胡散臭いものを見る目つきで見てきた。そりゃそうか、わざとらしかったか。でも、構わず口を開く。


「俺はメイベルの、見ていて不安になるぐらい、ピュアで天真爛漫なところが好きです。それから周囲に気を配りすぎて疲れてしまうところや、ちょっと猫舌気味で熱いグラタンやスープがすぐに食べれないところ、寝起きは声が掠れがちで、それを恥ずかしがって朝は長く喋ってくれないところや、おやすみのキスをしてくれないと眠れないと言ってくるところ、たまにエプロンが裏返しになっているのにも気付かずに過ごし、それを夕方になってから気付いて、恥ずかしがるところも好きです!」


 どうだ、伝わったか! 俺の愛が! でも、二人とも面食らった顔をしていた。こいつ、何を当たり前のことを言っているんだという顔に見える。くそ! 足りないのか? これだけじゃまだまだ! 仕方が無いので、ヘンリーが「頼むからもうやめてくれ……!!」と懇願してきた時の話をすることにした。


「それから、俺がカメラを向けると一瞬だけ恥ずかしがって、そのあと、はにかみながらもポーズを取ってくれるんです……。最近ではハートもしてくれるようになりました。あとメイベル自身もポーズを考案してくれて、そのポーズっていうのが胸元で手を組み、ちょっとだけ首を傾げてから、俺をじっと見て笑ったあと、急いでハートを作って、口パクでアレン大好きって言ってくれるやつなんです。ただ、メイベル的にはかなり恥ずかしいようで、シャッターを押す瞬間、そのポーズをやめてしまうんですよね……」

「何を言っているんだ、貴様は」

「アレン、姉さんのことで頭おかしくなりすぎだろ……」


 くそ! ウィルだけは理解してくれるかと思ったのに! こうなったらやけだ。ここから先、ヘンリーは聞いてくれなかった。まだまだ語り足りないので、俺が何を言っても「殺す!」と言いそうな義父に聞いて貰うことにした。


「それでメイベルいわく、人がいる中でハートを作って、写真を撮って貰うのは恥ずかしいから、俺に向けて一瞬だけハートを作ることにしたそうで……。ああ、胸元で手を組んで、じっと俺のことを見ながら、首を傾げるのはこれだけでアレン好きっていう意味らしいです。でも、そのあとハートを作ることによって、アレン大好きって意味に変化するみたいで……。可愛いでしょう? 俺、そんなところが好きなんです。娘さんの」


 思い出しただけで顔がにやける。メイベルが「これはアレンが大好きだって、伝えるためのポーズなの! どう?」とにこにこ可愛らしく言っていた時のことを思い出し、両目を閉じる。可愛い。メイベルは可愛い。誰の異論も認めない。しみじみ浸っていれば、メイベルがトレイを持ってやって来た。


「お待たせ~! どう? アレン。お父さんにいじめられてない?」

「メイベル。大丈夫だ。俺の話をちゃんと聞いてくれたし……」

「そう? 良かった! どんな話をしてたの?」


 メイベルからトレイを受け取って、葬式の参列客のような表情を浮かべている義父の前に、洋梨の絵付けがされたティーカップを置く。深紅にも見える紅茶が中で揺らいでいた。


「ほら、メイベルが考案したポーズの話をしていて……」

「えーっ!? は、恥ずかしいからして欲しくなかったのにしちゃったの?」

「可愛いから、あれまたやってみてくれ」

「も~、アレンってば!」

「あら、なぁに? 何の話? メイベル、ポーズって」

「ふふふふ、恥ずかしいから内緒~。あとでお父さんかウィルに聞いてみて? アレンが話しちゃったみたいだから~」


 秋の果物と花々が刺繍されたランナーがかけてあるテーブルへと、人数分のティーカップとポット、俺が持って来たフィナンシェやマドレーヌを並べる。でも「これはアレン君に」と言って、メイベルの母、ライラが手作りの瓶入りプリンとチョコフィナンシェを持って来てくれた。向かいのソファーへと座って、金色の華奢なスプーンを手に持っていれば、メイベルがすかさず腕に寄りかかってくる。


「メイベル? お義父さんの前だし、それはちょっと……」

「え~? だって今日のアレン、すごくかっこいいから。それともだめ? こうやってくっついてるの」

「いや、全然だめじゃないけど。俺はな」


 まぁ、お義父さんとウィルはだめだろうな……。もはやぎりぎりと歯を食い縛りながらも、ティーカップ片手に俺のことを睨みつけてくる。そんな二人を押しのけ、ライラが「間に座らせて~」と言って強引に座った。すごいな、あの人。メイベルの母親って感じがする。


「それで? アレン君はメイベルのどこを好きになったの? 好きになったきっかけは?」


 口の中にあったプリンを慌てて飲み込む。王道のカスタードプリンといった感じで、カラメルもほろ苦くてうまかった。ライラが目を輝かせる横で、二人の目は死んでいる。


「あ、えっと、以前、風邪を引いた時に……看病したんですけど。俺。その時、すっぴんとか、まぁ、風呂にも入れてない状況だし、汚いから見ないで欲しい的なことを言われまして。娘さんに」


 本当はライ叔父さんが好きで、醜い自分が嫌だと言って泣いてたが、流石にそのまま伝える訳にもいかないので嘘を吐いた。気が引けるが仕方ない。メイベルが物言いたげにぎゅっと、俺の腕を握り締めてきたので、メイベルの手に手を重ねる。


「それで実際汚くなかったし、俺が綺麗だよ、大丈夫だよといった感じのことを伝えたら、メイベルがすごく喜んでくれて……」

「素敵~! ん? でも、それのどこで好きになったの? アレン君は」

「喜んでる顔を見てです。まぁ、最初から気になってはいたんですが、その時の笑顔が可愛かったので」

「へ~! ふふふ、素敵な理由で良かった! ありがとう」

「いえ……」


 義父の目はまだ死んでいた。さっきとは違って、暗くなっているのが怖い……。おののいていると、メイベルがさらにしがみついてきた。


「ねえ、お父さん。許してくれるよね?」

「あ、ああ、うん。だがなぁ、ちょっと早いんじゃないか? お前はまだ二十五歳なんだし」

「ふふふ、娘の年齢も忘れちゃったの? アレンだったら絶対に忘れたりしないのに。私、もう二十六だよ?」


 ぴしりと空気が凍る。メイベルの何が何でも父親を黙らせるという圧がすげえ……。何も言えず、もそもそとプリンを食べていると、義父が大きく咳払いをした。夫を助ける気は無いらしく、ライラは「あら、このフィナンシェ美味し~」と言いながら呑気に食ってた。


「あ、ああ、でも、二十六歳なんだし……」

「ちょうどいいとは思わない? 早すぎるってことは無いと思うんだけど? お父さん」

「だが、まともに働いてるようにも見えないし……」

(ひでぇな、俺の第一印象!)


 ピシッとスーツで決めてきた意味がねぇな、これ。まぁ、いちゃもんをつけたいんだろうが……。ここで下手に何かを言うと、メイベルの邪魔をしてしまう気がして、ひたすら黙ってプリンを食う。そんな俺をウィルが、歯軋りしかねない勢いで睨みつけていた。


「アレンは国家魔術師で、小さい子供に魔術を教えてるの。ちゃんと働いてるから大丈夫だよ」

「あら! そうなの? 魔術師さんなの? へ~、見えなかったわ! すごいわねぇ」

「ど、どうも……」


 なんっで全員、俺が国家魔術師やってるとは思わないんだよ……!! 友達全員、大体「飲食店勤務かと思った」って口揃えて言いやがるし、どうせ俺はクリーンなイメージが無い男だよ! 苛立ってきた。でも、メイベルの次の言葉で一気に肝が冷える。


「お父さん? 色々と難癖をつけて反対するようなら一生、私のウェディングドレス姿見せないから。死ぬまで」

「はっ、はあっ!?」

「ねえ、お母さん? お母さんだけ結婚式に呼ぶね~。それで、お父さんとウィルに写真、絶対に見せないでくれる?」

「いいわよ~。じゃあ、それで」

「ら、ライラ!?」

「ま、待って待って、姉さん!? なんで俺まで入ってるの!?」


 慌ててウィルが立ち上がった。さ、流石にその仕打ちは酷すぎるだろ……。焦って振り返ると、目がキレてた。それなのに口元は笑ってる。すまん、ウィル。メイベルを止められなかった、許せ。


「だって、アレンに余計なこと色々吹き込んでたんでしょう? 私、ウィルのことを可愛い弟だって、そう思ってたのがバカらしくなってきちゃった」

「え、ええっ!? 過去形!?」


 もしも、メイベルに同じことを言われたらどうしよう……。怒りの矛先はウィルに向いているのに、あまりの鋭さに嫌な想像をしてしまった。メイベルは俺に怒ってなんかいないのに、つい脳内で「私、アレンのことを好きだって、そう思ってたのがバカらしくなってきちゃった」という台詞を再生してしまった。怖いな、本当。普段は優しいんだが。


「アレンに沢山嘘を吹き込んだ挙句、今もこうやって結婚に反対してるでしょ? そんな弟、可愛いとは思えない。私、何か間違ってる?」

「う、ううん……。も、もう反対しないから。ごめん、姉さん。本当に」

「やり直し」

「えっ?」

「心の底から悪いって思ってないでしょ? 理解しないと、また同じことの繰り返しだろうし……。きちんと私の目を見て、何がどう悪かったか説明して? はい」

「え、えっと、その……」


 怖いな、ガチで! ハリーもこうやって詰められたのか? 俺がこわごわと見下ろしていると、急に恥ずかしそうな笑顔を浮かべ、ふふっと笑った。すごく可愛い笑顔だった。


「ごめんね? アレン。私、ちょっとウィルと二人きりで話してくるね?」

「あ、ああ。うん。行ってらっしゃい……」

「姉さん」

「ほら、上に行こう? 私、まだまだウィルと話したいことがいっぱいあるの。ね?」

「はい……」


 メイベルが気さくに笑いかけ、落ち込むウィルの背中に手を添えつつ、リビングから出て行った。ライラは気楽に「あはは、怒らせちゃったわね~」と言っている。メイベルは母親に似たんだなぁ……。喉がカラカラに乾いていたので、カップを手に取り、紅茶を飲んだ。


「いや、でも、本当……メイベルって怒ると怖いですよね」

「そうねえ。昔から怒り方が私そっくりって言われるの! 滅多に怒らないんだけどね~。ふふふ、どうするの? ラルフ」

「……」


 そうか、ラルフって名前なのか。さっき、名乗ってくれなかったからな……。目線を合わせないようにして紅茶を飲んでいると、ふいに大きく溜め息を吐いた。


「まぁ、あれで気が強くて無茶もする。……手を焼くぞ? メイベルは」

「大丈夫です。そんなところも含めて好きになったので」


 メイベルは分かりやすい。考えていることがすぐに顔に出るし、ああしたい、こうしたいとちゃんと意思表示してくれる。変に拗ねることもないし、怒ってはいるが、ありゃあ怒らせたウィルが悪い。ようやく、まともに話を聞いてくれる気になったみたいなので、ソーサーへカップを置き、真っ直ぐ見つめる。今度は睨み返してくることもなく、じっと、ただ静かに見つめてきた。ライ叔父さんの青い瞳と重なる。兄弟なだけあって、どこか面影があった。


「娘さんが我慢して溜め込まないよう、色々と気を回して一緒に生きていきたいと思っています。……許して貰えませんかね? お義父さん」

「付き合う前、べたべたしていたというのは本当か……?」

「えーっと、非常に言いにくいんですがその、メイベルの方から積極的にハグして欲しいだとか色々と、」

「まぁ! あの子ったら、そんなことしてたの? 大胆ね~」

「何故、それをする前にさっさと付き合わなかったんだ!? いまいち信用がならん!!」

「す、すみませんでした! なにせ母親扱いされてたもんで……」

「「母親扱い?」」


 これまでのことを出来るだけ、包み隠さずに話してみると、とたんに気の毒そうな表情になった。どうやら思い当たる節があったらしく、しみじみと「そうか……。ライラ譲りだな」と呟いていた。でも、当の本人は自覚が無いらしく、マドレーヌを食べながら不思議そうな顔をしている。


「まぁ、じゃあ、認めてやらんこともないが……」

「ごめんなさいね~。この人、素直じゃないの! でも、こう見えてアレン君のこと、嫌ってる訳じゃないから。メイベルが連れてくる人はたとえ、どこかの国の王子様だったとしても髪型にケチつけるわよ。ようするにそういう人だから、ぜんぜん気にしないで~?」

「あ、はい。分かりました……」

「ライラ……」


 そうこうしている内に、ウィルとメイベルが戻ってきた。振り返ってみると、ウィルが思い詰めた顔をしながら「もう二度と結婚に反対しません、妙な嘘を吹き込みません、二人の仲を永遠に祝福します……」とぶつぶつ言っていて怖かった。こってり絞られたな……。引きながらメイベルを見てみると、目が合った瞬間、ぱっと嬉しそうな笑顔を浮かべる。すぐに立ち上がれば、嬉しそうに駆け寄って飛び込んできた。


「アレンー! お待たせっ」

「あ、ああ。ほら、ええっと、お義父さんはちゃんと認めてくれたから……」

「ええっ? そうなの? 私からきっちり言おうかと思ったんだけど、必要無かった?」

「あっ、うん。もう大丈夫だからな? 勘弁してやってくれ」

「うん! アレンは嫌な思いしてない? 大丈夫?」

「俺は別に。大丈夫だから」


 甘えてくるメイベルの頭を撫でながら振り返ってみれば、気に食わなさそうな顔で紅茶を飲んでいた。まぁ、殺気立ってないし大丈夫か。


「あっ、そうだ! アレン君、うちでお昼ご飯食べてかない? まだなんでしょう?」

「えっ!? でも、ご迷惑なんじゃ……」

「お母さん? 私、アレンとこれからデートだから大丈夫! ありがとう~」

「そう? 残念ねえ。せっかくラルフもアレン君と仲良く出来そうだったのに」


 冗談じゃねぇよ、かろうじて殺気が消えただけの状態でしょうが。まぁ、当然そんなことも言える訳がなく、愛想笑いを浮かべるだけに留めておいた。帰り道、すっかり高くなった太陽を見上げながら、ふとメイベルが呟く。


「私……。ウィルが邪魔しなかったら、もっと早くにアレンと付き合えてたのかな?」

「あ~、その可能性はあるな。でも、俺がもっと早くに告白すればいいだけの話だったんだし、あんまウィルを責めないでやってくれ。余計なことしたのは事実だけど」

「うん……。でも、私、アレンともっともっと早く手を繋ぎたかったし、こうやって一緒に過ごしたかったのにな」


 可愛い。付き合い出すようになってから、メイベルが激可愛いことを言うようになった。黙って肩を抱き寄せ、こてんと頭を傾けると、嬉しそうにくすくすと笑い出す。


「まあ、これから沢山色々すればいいだけの話だろ?」

「そうだね! これから何食べに行く?」

「今日はこってりしたのが食いたい気分。メイベルは?」

「私もー! お肉が食べたいかも! せっかくだから、ステーキとか食べに行きたいな~」









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