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転生幼女くんは文章が上手くなりたい  作者: 果実夢想
五筆【戦友女子さんは訪れた平穏を嗜む】
39/50

遊園地に行ってみたい

「クティちゃん、クティちゃん! どこか行きたいとこある?」


 僕たちの仲間に、突然クティノスという老婆のような口調の少女が加わったあと。

 みんなで家の中へ入り、リビングの椅子に腰かけた瞬間フーリーがそんなことを言い出した。


「特にはないが、おぬしらが行きたいところがあるなら、わしもついて行くぞ」


「ほんとにっ? じゃあさ、じゃあさ。あたしはまだ行ったことないんだけど、『ソーロウネグ』っていう遊園地に行ってみたいの。しかもちょうど、今日の夜には祭りもあるみたいなんだよ!」


 遊園地、か。この世界にも、そういうのがあるらしい。

 でも、神社とかでなく遊園地で祭りが行われるとは珍しい。それとも、この世界ではそういうものなのだろうか。


「遊園地ー? 何があるんだー?」


「そりゃもちろん、色々あるよ。アトラクションだけじゃなくて、レストランとかお店とかも多いみたいだし。せっかくだから、みんなで行ってみようよ!」


 僕としては、別に反論はない。

 ただ、高所からの絶叫マシーンだけは絶対に乗りたくないが……まあ、それ以外ならせっかくだし行ってみたいというのはある。


「あ、あの、遊園地って怖いイメージがあるんですけど、大丈夫ですか……?」


「だいじょーぶだよー。わたしだって、そんなに無理矢理乗らせようとはしないから! 可愛い子は嘘をつかないのだ!」


 おっ、これは信用できない。

 ただ絶叫系以外の、あまり怖くないアトラクションだっていっぱいあるのが遊園地だし、そういうことをククルに説明すると安堵したようにほっと胸を撫で下ろした。


「じゃあ、決まりってことでいいかな?」


「……いいじゃろう。わしも初めてじゃからな、楽しみじゃ」


 ということは、一応ここにいる全員が初めてということになるのか。

 僕がいた世界と同じような感じなのか、それとも全く違うのか。

 それすら分からず、期待と興奮、そして僅かな不安を胸中に抱く。


 全員、一通りの準備を済ませて。

 僕たちは、その遊園地とやらに向かった。



     §



 そこは老若男女、様々な人々でとても賑わっていた。

 今はもう昼近くで、今日一日だけでは絶対に回りきれないくらい広い。

 しかし、みんなで話し合った結果、今日は一泊することにしたため明日もあると考えるとある程度は大丈夫だろう。


「それじゃあ、まず何から乗る? それとも昼ご飯先にする?」


「あ、あの、あんまり激しくないのからがいいです……」


 フーリーの問いに、ククルが控えめな挙手とともに答えた。

 そもそも、僕たちはこの遊園地に来たのが初めてで、ククルやシールに至っては遊園地そのものに来たことすらないみたいだから、何があるのかなんてあまり知らないだろう。


「激しくないの? んー、だったら、お化け屋敷とかどうかな」


 首を傾げ、考えながらフーリーはそう言った。

 お化け屋敷か。確かに基本は歩くだけだろうし、激しいとは言えないかもしれないが。

 他にも様々なアトラクションがある中で、真っ先にお化け屋敷から行くとは。まあ、お化け屋敷くらいなら別に怖くないし僕はいいけど。


「僕はそれでもいいよ。みんなは?」


「ご主人がいいなら、わたしもいいぞー」


「あ、は、はい。えっと、怖いですけど、リオンさんたちが一緒にいるなら、はい、大丈夫です、たぶん」


 シールとは違い、ククルは何とも曖昧な返事だった。

 絶叫マシーンに限らず、そういうホラー系も苦手そうだし無理もないか。


「本当に大丈夫? 怖いなら、やめといてもいいと思うけど」


「い、いえ! 私も一緒に楽しみたいですから!」


「そう? 怖くなったら、僕の手とか繋いでもいいよ?」


「あ、ありがとうございます……!」


 僕の申し出に、ククルは深々と頭を下げた。

 その程度で怖さが和らいでくれたらいいけど。


「ああっ、ずるいぞー! わたしも、ご主人と手を繋ぎたいぞー!」


「……シールは大丈夫でしょ」


「そんなことないぞー! ご主人と手を繋げないなんて、怖さで泣けてきたぞー!」


「それ怖さじゃなくない!?」


 相変わらず、僕への愛情がストレートである。

 もちろん嬉しいんだけど、やっぱりまだ照れ臭くてしょうがない。


 と。クティが僕たちの会話に参加せず、何やら浮かない顔をしていることに気づいた。

 ほんの少しだけ顔が青ざめ、何か危惧していることがあるのか、不安そうに俯いている。


「……クティ、どうかした?」


「べ、別に、何でもないわ」


「もしかして、お化け屋敷が怖い?」


「な……っ!? 何を言っておるのじゃ!? そそ、そんなわけがあるわけないわけじゃろうが!」


 露骨なまでの慌てっぷり。

 顔が少し赤くなっているし、まあきっとそういうことなのだろう。


「そんな無理しなくてもいいと思うけど」


「む、無理じゃとっ!? そ、そんなもんしとらんわっ! いいじゃろう、そんなに疑うならお化け屋敷でも何でも連れて行けばよかろう。ふ、ふふ……微塵も怖がってなどいない、それどころか毅然とした態度を見せてやるわ」


 何やら早口でまくし立てているが、既に怖がっているのが丸分かりだというのに、本当に大丈夫なのだろうか。

 まあ本人がここまで言っているのだから、止めるのも野暮というものか。


「よし、それじゃあ行こっか」


 フーリーの宣言で、僕たちは歩き出す。

 お化け屋敷は、入り口から結構近いところにあるらしい。

 もちろん他のアトラクションにも行くつもりだが、まずはお化け屋敷へと向かった。


 クティの顔がずっと青ざめているままだったけど、行く前から怖がりすぎてはなかろうか。

 何だか本人より僕が不安になってきた。

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