第28話 弱い
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
――目が覚めると、そこはホテルエリア内にある病院だった。一体なぜ、病室に寝ていたのか。
両腕にはギブスが装着されており、顔も包帯で巻かれていた。はっきり言って重傷だったのか、なぜ急に病院にいるのか、それは目覚めてから数分後にようやく思い出した。――
――山岳エリアの裏山で、暴走族グループ「レディース」と不良グループ「引導グループ」との抗争があった。
レディースの総長、美咲さんがリーダーの引導を退かせた事により、抗争は終わった。――
――俺を含めて、怪我人はかなり発生したが、どうやら途中で、俺は意識を失って病院に運ばれたらしい。
そんな俺を運んでくれたのは美咲さんだった。横で看取ってくれていたのだろうか、座って腕を組んだまま眠っている。
「……荒い人だけど、よく見れば本当に美しい女性だ。寝顔も刺さってしまう……」
「んっ……なんだ、目が覚めてたのか……」
「み、美咲さん……なんでずっとここに??」
「運んだ私がそのまま放置するかよ、目が覚めるまで待機していただけだ。
どうも、今回のお前は無茶しすぎだ。せっかくのリゾート地なのに、残りの日数全部治療に使わないといけないなんて、らしくねえな。」
合宿は3日目を迎えており、残り4日は治療に専念するしかないと言う。
「……自分の弱さを死ぬほど分からせられましたよ。俺は、男を誇れるほど強くはなかった。日和を助けたいという思いだけで動いた結果がこの有様だ。」
「不幸中の幸いは、白咲の奴が全く怪我をしていなかったことだ。あの引導相手に手を出される前に助けに行ったのは流石だ。
そして次の課題は、単純にお前の実力が弱すぎるんだ。肝心な時に守ることが出来ずに後悔しただろ?
弱さを認めることは良いが、強くなることを放棄したらダメなんだよ。」
美咲は星明の胸を叩いた。
「もっと自信を持てよ星明、音娘の男を見る目はそう外れやしねえんだ。」
美咲は星明を励まして、病室を出た。――
――数時間後、愛理先生の治療の元、星明の怪我はある程度自由が効くように回復した。
「いい?完全に治るまで本当に無茶したらダメよ?次やったら2年生まで動かせないことを体に刻んでおきなさい。」
リゾート地のおかげなのか分からないが、最新設備が整っている病院で、怪我の治りが異常に早くて助かった。
合宿の費用は全て学校側が負担してくれるのだが、その資金はどこから出てきているのか考えるのは止めよう。
「ありがとうございます。」
「全く、貴重な合宿を無駄にしちゃダメよ?あなた達が思っている以上にこの合宿は豪遊出来るんだから。」――
――治療を終えた星明の携帯に、一通の連絡が届いていた。誰からだろう?
星明は呼び出されたホテルへ向かった。
そこにいたのは金剛と白咲だった。
「こ、金剛……日和も、どうして俺を。」
「とぼけないでください、星明君は私を助けてくれたではありませんか。」
「と言ってもほとんど美咲のおかげだろう。お前が引導に良いように利用されたのは承知していたが、ここまでやられるとはな。」
「……それで、要件は何なんだ。」
「俺はお前が来るまで日和のそばにいただけだ、用があるのは日和だ。お前が来た以上俺がここにいる意味はねえ、じゃあな。」
星明は金剛を睨みつけるが、金剛はただ振り返って手を振って離れていった。
「……それで、日和の要件は何なんだ。」
「お忘れですか?私を護衛しきれば、報酬を差し上げますと。」
「ちょっと待て!!それは合宿が終わるまでだろう?まだあと4日も残っているんだぞ?」
「大丈夫です、引導グループはあれからこの島を出ていきました。今この島に脅威はありません。」
「そ、そうなのか??だけど報酬といったて俺はまだ怪我は完治してないんだ。無茶なことはできない。」
「それでも構いません。私は、どうやら星明君に完全に恋したようです♡助けに来てくれた星明君を見て、それだけでも私は星明君に恩返しをしたいのです。」
白咲は星明の手を握りしめて、上目遣いで頼んできた。
「ダメ……ですか??私の事が嫌ならそれで結構ですが、彼女を欲しい星明君にとってはまたとないチャンスですよ??」
「日和……それは……滅多に口にするもんじゃない。俺は、何にもしてないんだ。助けに行ったと言っても、美咲さんらレディースがほとんど活躍しただけであって、俺はお荷物にしかすぎなかったんだ。
とても、そんなお願いをすることはできないんだ。」
星明は顔を赤くしながらも、白咲の誘惑に首を横に振る。
「まあ、それはそれで立派な心をお持ちのようで。ですが一つだけ助言差し上げます。
女の子が頑張って勇気を出してお願いしているのを、あまり無下にしてはいけませんよ?」
「んな!?そ、そんな事は!!」
白咲は星明の口を指で抑える。
「しーっ、これ以上私に恥ずかしいことを言わせないでください。本当に、不器用な人ですね。」
「……日和、だったら合宿が終わってからでも、連絡をしてもいいか?合宿だけの関係で終わりたくないんだ。」
「はい、そのために連絡先交換したのですから、何時でも話してきてください。」
――ホテルの窓から海を見る星明と白咲。
2人はその景色を見ながら、互いに手を繋いだ。
まだキスをするには、星明からの思いが足りなかったようだ。




