第27話 打ち砕かれる
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
合宿2日目の夜、山岳エリアにて白咲は引導に連れ去られる。そのまま引導達は裏側へ行き、そこで白咲に尋問していた。
「本当に、何もしないんですね。今のこの状況であれば、強姦する事など容易いと思いますが。」
「アホ抜かせ、ここは金剛やレディースがチラホラおるんや。そんな状況下で見つかれば終いや。それを分かってるからお前は強気でおれるんや。」
「ご冗談を。これでも内心恐怖でいっぱいなんですよ?それに、手下達の方は盛っていて我慢ならないようですが。」
「アホかお前ら!!快楽に身を任せて金剛に殺されるダサいマネしたいんか!!」
「すいませんでしたあ!!でも引導さん、今がチャンスなんすよ??勘づかれたところで間に合いませんて。」
手下の言う通り、白咲を襲ってもバレるまで時間がある。だが引導がそれをしないのは、妙な胸騒ぎがしていたからだ。
「分かるで……俺の勘は大体当たるからな。」
「星明君の事、気になりますか??」
「ああ?どないしたんや急に。」
「随分と星明君に勝ち誇っていたような仕草をしてましたけど、あの程度で星明君に勝ったと誇るのは油断ですよ。」
「何を言うとるんや、あのアホはもう今頃死んでるやろ、絶望に殺された目しとったで。」
「本当に、そうでしょうか?私には、星明君は力の使い方が不器用だなと感じていましたけど。」
「何が言いたいんや。」
「まだ全力を出してはないってことです。」
その直後、複数のバイクの音が接近してくる。
「あ、あれは!!引導さんまずいですよ!!レディースの奴らです!!」
「ちっ、流石に早すぎたな。お前ら!!前みたいにチビって逃げたら後で俺が殺すで!!」
――レディース達が到着し、美咲と星明は前に出た。
「いいんだぞ?お前は後ろにいても。」
「何言ってるんですか、重傷だからって戦わない訳には行かないでしょ!!それに、見返してやりたいんです!!」
「なんや、星明も一緒やったんかい、負け犬のケツ拭きに使われるなんて格が落ちたのお。」
「引導、負け犬と言うのはお前のことか?」
「何やとこのアマ……」
「金剛には勝てないからと言って、白咲を攫って、レディースに接近される。しかも星明はこの通り、まだ倒れていないぞ。
それに……ケツ拭きなんかでは無いぞ?私達は姫を助けに来たんだ、姫に害が及ぶ奴らを駆除するためにうちらはいるんだよ!!」
「全く……女っちゅうもんはバカばっかりやなあ、お前ら俺らに勝てるとでも思っとんのか?あ"あ"ん!?」
続々と、体格のいい仲間が出てきて、数はレディースと同じ数になった。
「舐めとんじゃうぞゴラァ!!こっちもこっちで色々と抱えるもんがあるんじゃい!!泣いて謝っても許さへんで!?」
「知るかよ、喧嘩だろ!?楽しもーぜ、引導!!」
――リゾート地、山岳エリアの裏にて、レディースと引導グループの抗争が始まった。
互いがぶつかり合い、怒号や悲鳴が轟く。血が飛び交い、数を削りあっていく。
レディース側が劣勢かと思われたが、美咲や許斐の一騎当千ぶりの活躍で、兵力差を押し返していった。
「……星明、俺らがいる意味あるか!?相手は思ったより相当強えぞ!!」
「見た目に騙されるな!!相手の動きを見てりゃ対処出来る!!」
奮戦する星明の前に、引導が現れた。
「中々ようやってくれるの星明、これが終わった時、お前の目には残酷なもん見せたるで。」
「日和に手を出さなかったのは何故だ!?金剛を恐れているからなのか!?」
「アホか、あの女はそんな単純な奴やない。お前が思ってる以上に白咲は強い女やで。」
引導の言っていることに、偽りは無いだろう。そう確信したのは、日和本人が全く怯えている様子が無いからだ。
誰かに助けを求めているようにも見えない。
「あの女の度胸は相当なもんやで、まあその分、楽しみが増えるけどな。
ああいう強気な女が恐怖に染まりきった時の表情は、そこら辺の女襲うより気持ちええで?
せや!お前もそれを味あわせてやろか!?普通に生きてたら絶対に味わえへん気持ちよさを満たすことが出来るで!?」
「さっきから……何言ってんだ引導。」
引導の誘いを星明は断る。
「黙って聞いてりゃ、日和を狙ったのは金剛を倒す事でもなく、金の事でもなく!!ただ1人の女性の体を陵辱したい事だったのか!!」
「違うわアホ、白咲はただの女性やない。
お嬢様や。」
「黙れ!!お前の……お前の企みを阻止する!!お前は絶対に許さない!!引導!!」
星明は今まで使ったことない以上の力を拳に込める。握りしめすぎて手のひらから血が垂れてきている。
「お前の歪んでいる顔面を壊してやる!!」
星明は全身全霊で、引導に殴りかかった。だが、引導は軽く避けた。
「甘いわ、そんな見えきった分かりやすい攻撃、誰が当たんねん。お前はちょっと吠えすぎやから、大人しく寝とけや。」
引導はどこからか金属バットを取り出した。
「何!?」
「素手でお前を倒しても立ち上がってくるのは分かってんねん、2度と立てらんように心もろとも、お前の体を砕いたるで!!」
「卑怯な!!っっ……!?」
――ドサッ!!
星明は突然、力が入らなくなり、膝から崩れてしまった。
「どないしたんや星明!!頭への衝撃がまだ残ってたんか!?そのまま脳みそぶちまけたるわ!!」
引導が星明の頭を目掛けてフルスイングしたが、星明は無意識に両腕を前にして顔面を守り、吹き飛ばされた。
両腕は当然のように骨折し、動かすことは出来なかった。
「ま、まずい……意識が……もう!!」
「無駄な足掻きやったな、そのままもう1発食らわせたるわ!!」
引導がもう一度振りかぶった時に、美咲が間に飛び込み、蹴りでバットを止める。
「なっ!?なんやこいつ、蹴りで止めたやと!?」
「おい、随分と汚ねえじゃねえかよクソ野郎。」
美咲がバットを掴かみ、自分のところに引き寄せて、引導の腕をへし折った。
「ぐぁぁぁぁ!!なんやこいつ、なんでそんな力あるんや!!お前の体に、どこにそんな力あるんや!!」
「そんなもん、番張ってるからに決まってんだろうが。」
「おんどれ……タダじゃすまへんぞ、お前らレディースの事は今後必ず追い詰めるで……」
「ふっざけんな……その前に、俺が阻止してやる。」
星明はかろうじて立ち上がるも、フラフラな状態である。
「星明!!絶対に覚えとけよ!!美咲!!お前らレディースは絶対にタダじゃおかへんで!!」
引導の元に、1台のバイクがやってきた。
「引導さん!!行きましょう!!鬼道院の奴らが勘づいて金剛さんも連れてきています!!」
「チッあいつら早いねん全く!!行くぞお前ら!!さっさと抜けらなあいつらに捕まってまうぞ!!」
引導を乗せたバイクは、そのまま暗闇の中に消えていってしまった。
「……大将が逃亡かよ全く、抗争は終わりだ!!これ以上手を出すって言うんなら、私が相手してやる!!」
美咲の一言で、裏山の戦いは終わった。




