第26話 ヒカリ
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
気がつけば、雨はやんでいた。通り雨だったのだろうか、時間はまだそんなに経っていない。
誰かの声が聞こえてくる。
「……!!……っっ!!……おいっ……!!」
気のせいではない、聞き覚えのある声だった。はっきりと覚えている。このバカの声を。
星明の元に来たのは近藤だった。
「おい星明!!大丈夫かよ!!生きてるか!?酷え……誰がこんなことを!!今解いてやるからな!!」
「近……藤、なぜここに……」
「一日中、お前の姿が無かったから心配だったんだよ、白咲さんと何かあったんじゃないのかと心配になって探してみればこの有様だ。」
近藤は星明の縄を完全に解いた。だが、星明に立つ気力は無い。
「悪い近藤……今は1人にしてくれ。今は何も、したくないんだ。」
「はあ?何言ってるんだ。そんな様子じゃ1人に出来ねえよ。何があった!!」
「頼むから!!もう今は構わないでくれ!!お願いだ……これ以上、希望なんて……」
頭をあげない星明に、近藤は1発殴りを入れた。
「バカ野郎が!!らしくねえじゃねえか星明!!何でそんなに打ちのめされてんだよ!!誰にやられた!?言ってみろ!!俺がぶちのめしてやる!!」
「やめろ無駄だ!!俺より弱いお前に、勝てるわけが無い!!」
「うるせえ!!今のお前は、おそらく俺より弱い!!だがな、そんな弱いお前を見捨てることなんか出来ねえんだよ!!」
「なんでだよ……なんで俺の事を助けに来たんだ!!」
「そんなの、答えは1つしかねえだろう!!
"友達'' だからだよ。」
その一言で、星明は大事な何かを思い出し、星明の目に再び光が宿った。
「友達が困っていたら助ける!!そんな事は当たり前だ!!力不足かもしれないが、俺は少なくとも、前よりは強くなっているぞ!!」
「……いいのか??お前を頼って。」
「当たり前だ!!そのためにここにいるんだ、話してみろ。」
肩を掴む近藤、星明は少し涙を流した。
「悪い近藤……俺は情けねえ!!勝手に1人で動いて、1人で解決させようとしてしまった!!自分の力を使えないまま、逃げようとしただけだった!!
その結果がこれだ!!露苦出無子の引導に騙されて、日和が連れ去られてしまった!!俺は女1人守ることも出来なかった、クソ野郎だ!!」
「大丈夫だ、お前が強い事を俺は知っている。露苦出無子の奴らが攻めて来た時、お前が何人か蹴散らしてるのを俺は知ってるんだ。
それに、お前こっそりトレーニングしてるだろ??以前より身体ガッチリしてるぜ。
悔しかったんだろ!?美咲さんに喝を入れられて、悔しいと思ったから鍛えたんだろ!?今ここでその努力を無駄にしていいのか!!」
元気付けようとする近藤、だが星明には闘志は宿らなかった。
それは、星明の過去が枷になっているからだ。
「近藤、俺は昔、好きだった女子がいた。その女子は不良達と戯れてて、俺は絡まれていると勘違いして助けに行ったんだ。
結果は返り討ちにされて、その女子から絶交された。それからトレーニングを開始したんだ。誰にも負けないぐらい、強くなろうって。
そして、露苦出無子にやられて、美咲に言われてトレーニングを再開して、結果がこの有様だよ。」
「無駄だったと、そう言いてえのか??だがな星明、今と過去とじゃあ全く違うぜ!!何が違うかって!?俺がここにいるんだ!!
力不足だと思うが、お前は今まで1人だった!!だが今回は俺がいる!!付き合ってやるぜ、白咲を取り戻すんだろ!?大ピンチじゃねえか。
だが俺は、それを大チャンスと考えるぜ?これで上手く行けば、お前は白咲を手にすることが出来るぜ!!」
近藤は手を伸ばす。
「立ち上がれ星明!!汚名返上のチャンスだ!!もう一度、男を見せてやれ!!」
「近藤……!!俺は……情けない、弱い負け犬だ。だが!!日和を守ると言った以上はもう逃げない!!絶対に救い出してやる!!」
星明は近藤の手を受け取り、立ち上がる。
「ありがとう近藤。お前がいなかったら、俺は男として死んでいた。」
「いいって事よ、盗撮の件もあったしな。」
星明と近藤の所に、1台のバイクの光が接近してくる。
「あのバイクは……まさか!!」
バイクが止まり、ヘルメットを外したのは許斐だった。
「星明!!随分と酷いやられようじゃねえかよ!?何があったんだ!?」
「許斐さん!?」
「俺が協力をお願いしたんだ。星明を捜してくれってな。」
「その様子だと相当な事があったようだな、聞かせてくれるか?」
――星明は、金剛との出会い、白咲の護衛役、引導の企みも全て話した。
「酷え奴だな、厄介なのは引導だな。」
「許斐さん……日和を危険に晒したのは俺の落ち度です。だけど、このまま引き下がっていいわけがない!!彼女にキズがつく前に助ける!!乗せていって貰えませんか!!」
「おう、いいぜ!!ただし条件がある。」
「な、なんですか…… 」
許斐はタスキを縛り、拳を合わせた。
「その喧嘩、レディースも混ぜろ!!」
許斐は携帯を取り出し、美咲に連絡した。
「美咲さん?祭りが始まりますよ!!参加しますよね!!おっけーでーす!!」
「ほ、本当にいいんですか……戦う必要なんか。」
「バーカ、お前ら2人乗り込んだところであいつらには勝てねえよ。それに、私の見込んだ男を痛めつけた野郎はフルボッコだ!!」
許斐の後ろから、続々と複数のバイクの光が走ってくる。それは星明の絶望の闇を晴らすかのように、眩しかった。
「星明、そんな状態で殴り込みに行くのか?」
「み、美咲さん!!この傷は……」
美咲は降りて、星明のキズに包帯を巻いた。
「せめて傷を隠せ、お前が1番やられているんだ、そんな奴が特攻しても周りの士気を下げるだけだ。」
「良かったな星明、お前に心強い味方はまだいるぜ。」
「さっきまでの俺なら、見捨てられていただろうな。」
――そして、星明と近藤は美咲と許斐の後ろに乗る。
「そういえば、相手の場所って分かるんですか?」
「うちがどれだけ自警団やってんだと思ってんだ。この島で人目の付かない場所といやあこの山岳エリアの裏側しかねえんだ。」
「引導の考えてる事なんかお見通しだ、そこにいる可能性は高いだろう。行くぞ!!」
こうして、星明、近藤を乗せたレディースは引導の所へ向かって走る。
「でもいいんですか!?結果的に日和……白咲を助けることになりますよ!?」
「勘違いするな!!それでも桜ノ宮の生徒なんだ!!姫は全員、美咲が救けるんだよ!!」
これで目的は一致した。白咲を助けるため、レディースは全速力で向かっていった。




