第25話 負け犬の遠吠え
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
合宿2日目の夕方、引導の協力により山岳エリアにて、白咲を誘い出した。
――山岳エリア――
何も事情を聞かされてない白咲は、単身で山岳エリアに来ていた。そんな彼女を、星明は発見する。
「日和!!さっきはすまない。」
「星明君、こんな所に呼び出して、どうしたのですか?」
「……金剛とかは一緒じゃないのか?」
「はい。彼は今、鬼道院さん達とゲームに夢中の様なので。
あ、金剛さんから受けた暴行はもう大丈夫です。というより、あれは暴力に値しません。」
笑顔を見せる彼女にどうやら嘘はついてないようだ。だが知っている、平手打ちされた時に見せた涙を、俺は忘れることは無い。
ましてや、許されるはずがない。
「それで、私をここに呼び出したのは、何かあるのですか?」
「あ、ああ実は……っ!!」
「どうしました??」
星明の口から、声が出なかった。それは、昼に白咲の発言を思い出したからだ。
白咲の言っていることが本当であれば、この山岳エリアに1人で来させたのは、とても危険なはずだ。
そんな真似をさせた事自体、非常にまずいんじゃないのか!?
「逃げろ日和!!ここは危な……」
「どこに行く気や?白咲ぃ。」
茂みの中から、引導が出てきた。後に続いて、引導の仲間も次々と出てきて、星明と白咲は囲まれてしまった。
「まあ……これは中々手が込んでますね。」
「褒めたってなんも無いで?お前が白咲か。金剛がお世話になってるのう、あっちの世話も大変やろ?」
「何の事でしょう?私は金剛さんにお世話になったことはほとんど無いですし、そういう事もしておりません。」
「それはそれで別の楽しみが増えてええわい。星明!!お前の手柄や、ようやってくれたわ。」
「どういうことだよ引導……話が違うだろ。お前は1人でここに来るんじゃなかったのか!?なんだこの仲間は!!大勢連れて何が目的だ!!」
「うるせぇよこの雑魚が!!」
引導の仲間が星明を痛めつける。
「……!!星明君に何を!!」
「白咲ぃ、俺はチャンスを伺ってたんや。どうすれば金剛を追い越すことが出来るかをな。」
「あなたの力は金剛さんにはまだ程遠いですよ?これぐらいで勝てると思っているのなら止めた方が安全です。」
「さすが金剛の女なだけあって、強い心持ってるわ。おいてめぇら!!そんなヘボいやつの事なんかほっといて彼女連れて行け!!存分に楽しませたるわい。」
星明を立てないほどに痛めつけたあと、白咲の方を狙った。
「やめ……や……め……ろ。日和に……手を出すな……!!」
「引導さん……こいつは縛っておきますか??」
「好きにせえや、こいつはもう戦う力は無い。諦めて逃げたクソ雑魚やからの。」
「ふっざけんな……!!お前らなんか……お前なんか……!!」
引導は縛り付けた星明の頭を掴む。
「負け犬の遠吠えとはまさにこの事やな。お前は彼女1人守られへんし、協力する男もおれへん。為す術無しやな。」
引導は星明の顔面を地面に叩きつける。何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も何度も叩きつけた。
「い、引導さん……流石に死んでしまいますぜ。」
星明の顔面は血だらけになっていた。その彼を見た白咲は、咄嗟に間に入った。
「もうやめてください、これ以上痛めつけて、なんのメリットがあるのですか。」
「ひよ……り……」
「白咲、お前を傷付けるつもりは無いで??お前のことは金剛を倒してからじっくり相手したるわ。」
「心配しなくても、あなた達は金剛さんには勝てませんよ。そもそもの実力が天と地ほど開いているのですから。」
「ええ度胸しとるのう、その強気な態度がいつまで耐えれるか見物やな。」
引導は白咲を連れて山岳エリアの人目のつかない所に連れて行こうとする。
「引導さん!!この男はどうしますか!!」
「ほっとけ、もうそいつはただのゴミや、戦われへんクズやからのう。」――
――引導達は白咲を連れて行ってしまい、星明はただ1人、芋虫のように地面に転がっていた。
星明の目に、戦う炎は宿っておらず、金剛を頼れず、引導には裏切られ、心強い人がいない今の状況をただただ、絶望に浸っていた。
その状況に似合うかのように、雨が降ってくる。
それは過去にも、似たような事が起こっていた。星明が中学生の頃に惚れていた女子がいた。
だがその女子は星明に対して好意を持っておらず、不良達と接していた。
ある日、星明が不良と絡んでいる女子を見て助けに動いたが、返り討ちにあってしまった。
さらにその女子から見捨てられ、絶交されてしまった。
以来、星明は自主的にトレーニングを始め、人並みに強くなることに成功したが、今まさに似たような状況であり、星明の努力は無駄だったと感じてしまった。
「……分かっている、俺が強くないことぐらい。情けねえよなあ、女1人守ることが出来ないなんて、情けねえ。笑えてくるぜ。
クソォォォォォ!!!!死ね!!死ねよ!!俺なんか死んでしまえ!!日和から危険な男だと伝えてくれたのに!!わかっていたはずなのに!!日和を危険に晒してしまった自分なんかくたばれ!!」
星明は地面に向かって何度も頭突きした。もはや誰も助けに来ない。雨の音が星明の声をかき消す。
山岳エリアは灯りが少なく、夜は暗闇に覆われる。人の気配も感じない。誰にも気付かれずにここで死んでしまうならそれでいいと、星明は考えるようになってきてしまっていた。




