第24話 過ちの選択
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
星明の前に現れた柄の悪い男は、露苦出無子高校の生徒だった。星明はその男に、金剛とのやり取りを話してしまった。
――ホテルエリアの喫茶店――
「ほらよ、取引というのはコーヒーを差し出してから始めるもんや。」
「なぜコーヒー……しかもカフェオレだし。」
「分かるで分かるで??愛する人を守る為に強い人に手助けを頼むっちゅうのは人間として当然の摂理や!!間違ってるのはそのアホやな。
ましてや女に手を出すってのがそもそも論外。」
「お前も女に手を出してそうな見た目してるけどな。」
「ハッハッハ!!おもろいやないかわれ!!でもな、人は見た目で判断したらあかんで?
優しそうなやつが実は裏でとんでもない悪さをしてたりな、怖いやつが実は犬猫好きな優しいやつとかだったり、案外人は見かけによれへんで。」
「まあ……何人かいたし一理あるけど、お前の場合なんだよその刈り上げた水色の髪は、明らさまに俺悪い人ですよってアピールしてんじゃねえかよ。しかも刺青まで入ってんじゃねえか。」
「よう見とるなあ、まあ正味な話、お前の言う通り俺は1つの暴走族グループの頭や。
自己紹介が遅れたな。俺は引導 渉や。」
その名前を聞いた時、星明は白咲との会話を思い出した。――
「――引導は特に卑劣な手段で実力をつけてきたずる賢い人です。間違っても彼に捕まることだけは――」
――星明は、今その引導が目の前にいることに気づき、ゾッとするように立ち上がった。
「ごめんなさい!!俺用事を……」
逃げようとした星明を引導は掴む。
「まあ落ち着けや、その様子やとやっぱり大事な情報抱えてんな?安心せい、話せばお前にはなんも危害は加えへん。
それどころか、お前が気にかけてるその白い髪の女の事も、絶対に手は出せへんと誓うで?」
「ふざけんな……お前の言っていることがあからさますぎて信用出来るか。悪いが勝手にしてくれ。」
「ちょいちょい落ち着けや、お前飲んだやろ?コーヒーを。手につけたよなあ?それでトンズラするってのは無理がある。」
「分かった、金は払う。……あれ??」
星明はあらゆるポケットに手を突っ込むが、お金が無かった。
「探してんのは、これか??」
引導の手には星明の財布があった。
「おい!何勝手にとってんだ!!」
「話をシンプルにしようや、お前が話せば財布は返したるし、今後お前らには危害は加えへん。断れば、お前の財布はそのまま頂いて、お前の大切にしとるもん全部壊したる。
こんなん考えんでも分かるやろ?」
引導の鋭い目つきが星明の選択肢を狭める。既に星明の拒否権は握りつぶされていた。
そして、星明は引導の取引に応じてしまった。
「……財布は返せ。そしたら話してやる。」
「いいやあかん、お前の知ってることが正しいかどうか俺が確認せなあかんからな。
忘れとったわ!!俺が言うとる金髪の男と白い髪の女、誰のことか分かるやろ?名前をはっきり言うてみい。」
「……金剛と白咲だろ。」
「大正解や、で今その2人は何をしとるんや?」
「なんで!!……っっ!!金剛は、部屋でゲームをしている、鬼道院も一緒だ。
白咲も金剛の所にいる。」
「そうかい、よく出来ました。ほな返すわ。」
星明は財布を受け取った。
「本当に、お前を信じていいのか??」
「口説いやっちゃなあ、しつこい男は嫌われるで??まあ安心せえや。俺が狙っとるのは金剛だけや。
あいつはあかん、人の上に立つ器じゃない。」
「もう知りたいことは話しただろ。行っていいか?」
「おう!!ええで、せや!!1個伝えるの忘れとったわ。」
「なんだよ!!」
「金剛に彼女を置くのはとてもマズイで??あいつは裏でよう女に手を出しては口に言えんような事もやらかしてるからな。
白咲の事、大事なんやろ?今頃彼女はもっと傷ついてるでぇ?」
「ふざけんな!!金剛はそこまで手を出すような……!!」
星明はホテルで金剛が白咲へ平手打ちしていたのを思い出した。
その記憶の蘇りが、より引導の発言の信ぴょう性が高まってしまった。
「その反応やと、もう手遅れみたいやな。暴力振るわれたんやろ??可哀想になあ、今頃白咲はもっと酷いことされてると思うで?
ほら、彼女は処女なんやろ?」
「いい加減にしろ!!」
「お前より、俺の方が金剛とおった時間は長いからよーく知ってるで??あいつが女に手を出せへんところは見たことが無かったなあ。」
「……っっ!!分かった、分かったよ!!乗ってやるよ!!金剛の所に殴り込みに行ってやる!!」
「1人で行くんはちょっと無理あるで??俺が協力すれば、効率的に彼女を救うことが出来るで??
こういう時はなんて言うんやろうなあ。」
明らさまに引導は誘っている。これは罠だと、星明はもちろん分かっていた。だが、金剛の暴力、白咲への守りたいという思いが、引導の口車に乗るには十分な要素だった。
レディースも白咲を敵対視している、今使えるのはこの引導と言う危険な男しかいなかった。
星明は、逆に利用してやるぞという気持ちで引導に協力を申し出た。
「……おね、お願いします。」
「よう言うた!!そこまで言うなら全力で応えらなあかんな!!星明言うたか??俺がサポートしたるわい!!」
星明は、引導を利用するつもりで、協力関係を結んだが、これが最悪な結果になることを、星明は知る由もなかった。
合宿2日目の夕方、星明は山岳エリアにて、白咲を呼び込んでしまった。




