第21話 彼氏
巨大離島リゾートに合宿に来た星明達、そこで出会ったお嬢様学校「桜ノ宮高校」の生徒「白咲 日和」と出会う。
だが、リゾート地には須磨伊里高校の暴走族レディースが自警団で来ており、さらに、白咲は露苦出無子高校の筆頭「金剛 力」の彼女だった。
合宿を無事に終えるには、星明と白咲が鍵となるだろう。
目が覚めると、部屋に運ばれていた。
「頭がぼーっとする。」
覚えているのは、露天風呂で黒音がいた事ぐらいだ。
「あら、目が覚めたのね。」
「……愛理先生、ってことはここまで運ばれたんですね。」
「そうよ、黒音から連絡があって、来てみれば2人共大量に鼻血出して倒れてたんだから。本当に心配したのよ?」
「すみません……何があったのイマイチ覚えていなくて。」
「いいのよ、鼻血を出すなんて、えっちな事でも考えてたんでしょう。黒音ちゃんの裸とか♡」
「……覚えてないと言えない自分が情けない……!!」
露天風呂で黒音が裸を見せつけ、俺と近藤はその衝撃に耐えきれず、気絶してしまった。
黒音は愛理先生を呼んで、俺と近藤は部屋に運ばれた。服も運ばれている。
「星明、俺は何故ここにいる。」
近藤も目が覚めたようだった。
「近藤!!頭は大丈夫か??」
「ああ、悪口に聞こえなくもないが、あれは衝撃だった。」
「ひとまず良かったよ。愛理先生、俺たちはもう行ってもいいですか?」
「全く元気ね、どうせもう一度、温泉に入りたいんでしょ?いいわよ、今度こそのぼせたりしないようにね??」
「ありがとうございます!!」
星明達はもう一度、温泉に入っていった。
――温泉――
時刻は日が昇っている、午前4時だ。周りには誰もいない。
「なあ星明、黒音はやっぱりワンチャンあるよな?」
「は?何言ってんだ、裸を見せてもらったぐらいで結論がはええよ。」
「だがな星明、黒音は俺の相棒もガッツリ見てたんだぜ?」
「勘違いすんなバカ、それ以上はアウトだ。」
「んな事言ったってよ、俺にはどうもあいつに気があるとしか思えないんだ!!俺を道具としか見られてなくても、嫌われても、黒音は何で俺の事を切り捨てないんだ。」
「さあな……意外と黒音本人もあんたに惚れてたりしてな!!」
「んだと??こっちは真剣に考えているんだぞ。そんな冗談じみた回答は、求めていない!!」
近藤は星明にお湯をかける。
「ブァッ!!何しやがんだ。俺は真面目に答えたつもりだぞ。」
「とか言って、本当はお前も黒音が目当てなんだろ??んな事絶対に俺がさせねえ!!黒音は俺の彼女だ!!」
近藤は星明にそう宣言し、颯爽に風呂を上がって行った。
「たくっ……どこまで黒音好きすぎ人間なんだよ全く。」
……ま、俺も彼女作りたいってやつと同じか。小学校の時に、選択肢を間違えなかったらきっと。
「勇気君は本当に私一筋だね。」
「もう突然お前が現れることに慣れてきたぞ俺は。」
物陰から黒音が出てきた。
「それはそれでつまらないなあ、不意打ちで現れて、びっくりする星明君の反応が面白いのに。」
「勘弁してくれ、今度は何なんだ、あまりこの状況は近藤にバレたくないんだ。」
「そうだもんね、今は完全に2人だもんね♡もう一度裸を見る?」
「ずっと温泉にいるせいで頭のぼせてきたんじゃないのか?早めに上がった方がいいぞ。」
「そっか、2回目のチャンスを星明君は不意にするんだね。」
「あのなあ黒音、俺は別にお前の裸を見たところで、性欲より恐怖が勝つんだよ。絶対この後何かやばい事をされそうな気がしてしょうがないんだよ。」
「そんな酷いことはしないよ。これでも中間試験の時、申し訳なく思ってるんだよ?
むしろ、今は誰もいないし、身体で償ってもいいんだよ?」
「いい加減にしろ黒音、お前の誘惑には絶対に負けないからな。」
「ちっ、ご立派な精神を持っていること。まあいいわ、星明の秘密の写真は既に入手しているし、タイミングを見てばらまけるからね。」
「写真??何のだ?」
「昨日のロープウェイでの写真だよ。白髪のこの子、すごく可愛いじゃない。」
「なっ!!あの時いつの間に!!」
「大丈夫だよ、今は誰にも明かさない。こんな所で明かしても熱がまだ味方をしない。」
「……写真を消すにはどうすればいい。」
「条件は無い。私が気分でこの写真をどうするかを決める。」
「……スマホは防水の可能性が高いし、今ここで力づくで奪ったとしても、レディースに見られたら言い逃れができない……考えやがったな。」
黒音はスマホを閉じ、笑顔を見せて風呂から出ていった。
「……ちくしょう、初めて混浴した相手があの黒音だなんて、最悪な気分だ。」
星明もしばらくしてから、風呂を出た。――
――そして、部屋に戻り、再び就寝した。――
――合宿2日目――
星明は正午の時間帯に起床した。
「さて、今日も一日遊ぶとするか……ん?」
スマホに通知が1件来ている、白咲さんからだ。
「……何の用だ??」
星明は、すぐに彼女の元へ向かっていった。
――ビーチサイドエリア――
星明が駆けつけた先に、白咲はいた。
「一体何の用だ白咲さん。」
「星明君に、1つ頼みたいことがあります。合宿が終わるまでの間、私の彼氏役を演じて貰えませんか?」
「……は?どういう事だ。」
「昨夜、彼氏に別れを告げて来ました。私は今、星明君に恋をしているので、彼らは恐らく狙ってきます。」
「いやいやいやちょっと待て!!話が飛躍しすぎだ。別れたって……あの金剛だろ?狙われているのかよ。」
「いいえ、彼はそんな人ではありません。むしろ、彼の部下達が危険なのです。昨夜、彼の手下が何人か島に上陸するのを目撃しました。」
「……護衛役なら、レディースがいるんじゃないのか??」
「レディースは今、私を敵視しているはずです。金剛の彼女だと言うことは知っていると思いますので、守ってくれる保証はありません。」
「そんな……急にどう守れば。」
「大丈夫です、彼氏という肩書きさえ持っていれば、夜部屋まで付き添ってもらえれば大丈夫です。」
「そんな事より……俺の自由時間が無くなるだろう。」
「……本当にあるのでしょうか??露苦出無子の人らが来ていた時点で、もうこの合宿は終了したも同然です。それか……私を守るのは嫌ですか??」
断れない……そんな聞き方は卑怯だろう。だがせっかく出会った白咲さんを放っておけば、奴らに何されるかわからない。
「クソッ!!分かったよ、白咲さんの頼み、引き受けてやる。」
「頼もしいです。当然、報酬は終わってから差し上げますので、お金でも、私のことでも何でも欲しいものは仰ってください♡」
こうして、白咲さんを護衛する戦いが始まった。金剛から守るということより、その手下達から魔の手を阻止するという事だ。




