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スマイルヒカリ  作者: 真島とも
中間試験編

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第13話 中間試験⑤ 悪魔

須磨伊里高校中間試験の内容


・試験内容は学校生活、授業態度、小テストの成績などの内申点の総合で評価される。


・評価「1」が1つでもあれば補習対象となる。


・評価「2」が2つ以下、残りが評価「3」以上で合格とする。


・合格者は1週間の自由行動、豪遊が認められる「合宿」に参加できる。




――合宿について――


須磨伊里高校が提携するリゾート地への1週間の宿泊である。


費用は全て学校側が負担し、生徒は自由に無料で豪遊出来る。


補習対象となった生徒には、合宿への参加は認められない。




つまり中間試験とは、合宿に参加する生徒を見極める試験である。

中間試験終了まで後6日。


星明と近藤の内申点は黒音の手に影響されず減点されることは無かった。


だが、黒音の策略はまだ終わってはいない。


1週間を切ったが、星明はまだ油断出来なかった。



そんな時、俺は黒音に屋上に呼び出された。



――屋上――



周りには誰もいない、黒音1人だけだ。



「本当に来てくれたんだね星明君!普通は警戒して1人では来ないよ?」



黒音の表情は、相変わらず笑顔のままだ。


だがその笑顔の目には、「ぶち殺す」と言わんばかりの殺意が宿っている。



「黒音……もう終わらせよう。これ以上いたちごっこをしても無駄だ。」




「うーん、気になることがあるんだけど、星明君はどうしてまだ私に歯向かうの?


やっぱりこの動画がもう弱みを握ってることにはならないんだよね。」




「拡散するのか?」




「しないよ?もう切り取ったりとかしても、今の星明君は、無敵だから。


だからこの動画はもう消すね!」




黒音は動画を削除してる所、さらに機能のゴミ箱から削除する所を星明に見せた。




「何で唯一のアドバンテージを消したんだ?」




「だって、星明君が大声で告白とかするから周りの印象が変わっちゃったんだもん。


星明君がこんなことしてましたよ〜って言っても大した反応は得られないから。



あの時点で星明君の立場は既に逆転していたんだよ。」




これは黒音の敗北宣言なのか?……


だが、こうも彼女があっさりと引き下がるわけがない。



「黒音、まだ何か隠してることがあるのか?」

――




―――――――――――――――――――――




――

……時間が止まったかのように黒音は黙った。



ヒューっと冷たい風が少し強く吹く。



そして、黒音は語りかける。




「星明君……合宿って楽しみにしてる?」




「な、なんだよいきなり……俺は正直、楽しみにしている。」




「そっか、でも私は合宿には行けないかもしれない。」



黒音の表情が悲しく、暗くなっていく。



「黒音?なぜいきなりそんなことを……いやお前がやってきたことが返ってきただけだ。


自業自得ってやつだよ。けど黒音、お前が反省し、謝罪をすれば何事も無かったかのようにお前も合宿に行けるんだ。


なぜこんな事をした!俺や近藤の仲に亀裂を生じさせて!!吹雪会長と俺の動画も撮って脅したり!!


それで合宿に行けない!?当たり前だろう!!黒音!!お前は何がしたいんだ!!」




今までの事を全て黒音にぶつけた。


彼女がここから逆転する手立てはあるのだろうか?




俺はそれが気になる。

「俺はそれが気になる。」



と、黒音も同時に喋った。




「……えっ?」



「今、星明君はそう思ったでしょ。


そりゃそうだもん。星明君は人間、知りたいこと、気になることは知りたいという生き物だから。」




「何……言い出すんだ黒音?」




「人間というのは欲にまみれた生物、快楽に溺れた生物なの。


それは古来から人間が戦争してきた事が証明している。


なぜ人は戦いを繰り返すの?それは、自分の欲望を解消させたいからよ!!


そうやって人は欲望のために今まで戦ってきた。そして私が生まれた。


私は知りたいという欲にまみれた強欲な人間。その欲の対象が勇気君、そして星明君となった。


私の欲を解消させたいがために星明君と戦っている。


でも、もうそんな事では収まらない!!


私は全ての生徒の秘密を知り、その秘密を明かすかどうかは私次第!!


つまり生徒の未来は私が握っている!!


私はこの学校の、行く未来を全て牛耳っている!!私1人の証言で生徒の未来を変えられる!!この学校の未来を変えられる!!


全ての結末を私は知りたい!!だからここまで生徒の秘密を知ってきた!!時に話を聞いたり、時には慰めたり!!


そうやって私は、中(・)学(・)の(・)時(・)か(・)ら(・)たくさんの秘密を抱えてきた!!


主導権は全て私にある!!


だから、私の邪魔をしないでくれる?」




黒音の柔らかな笑顔が消え、憎悪の表情で睨みつける。



「黒音……それが、お前の本性なのか?


今のお前を、近藤が見たら悲しむぞ。」




「どうかしら、勇気君はおそらく私の犬にでもなる男子だから、あんたの期待には答えないと思うよ?」




「それでいいのかよ黒音……お前はクラスの人気者だろう!!


誰にでも愛想良く、困っている人がいたら助ける、優しい人だから近藤はお前一筋なんだよ!!」




星明の必死の説得も、黒音には響かない。




「優しいね、星明君も勇気君も、けどこれが私なの。


浦原黒音という1人の欲望にまみれた物語。


星明君に私の欲は止められない。」



黒音はスマホを取り出し、星明にある画面を見せた。




「これは……この学校の生徒!?」



その画面は、他の女子が中年の男性と腕を組んで歩いている写真だった。


他にも、他クラスの男子をいじめている動画や、喧嘩などの問題行動の記録がスマホに残っていた。



「ねえ星明君、私がこれをバラしたら、皆どうなるのかな?」



「どうなるって……それは、間違いなくクラスが崩壊するだろ。」



「でも、これをバラそうともみ消そうと、全ては私の手中にある。もう手遅れなんだよ?」



依然、状況は黒音が有利だったというわけか。俺の弱みがどうとかそれ以前に、黒音はこの学校自体の弱みを握っている。


それが本当なら、俺は黒音に最初から勝ち目などない。


「黒音……俺はもう詰んでいるのか?俺はもう負けていたのか?」


「それは星明君次第なんじゃない?星明君は絶体絶命だった状況を覆してきた。今回も星明君はまだ何か策は残っているでしょ?」


「……残っていない、俺はもう出せる手は尽くした。」


星明が言っていることは間違いない。だがそれを黒音に証明することはできない。



「黒音……ひとつ聞かせてくれ。お前は学校を壊したいのか?それとも、誰かを救いたいのか?」


黒音の考え方は理解した。だが、黒音の本当の目的が何なのか分からない。


「……少し、考え方が変わったなあ。」



「は?」



「星明君の事は、どうでも良くなったと思ったけど、私の欲望を止めようとする星明君を見て思ったんだ。


全ての秘密が明かされたこの学校は地獄に落ちるだろう、けど星明君がその状況でどのように立ち回るのか気になって。


でも星明君にはそんな正義は無いよね?全てが崩壊したあとじゃ星明君はおそらく学校を辞めるだろうから。」



「……黒音はそれで満足なのかよ。それだけ崩壊させた学校で、1人残っても寂しいだけだろ。


俺は、他の生徒の秘密とかは、一(・)部(・)を(・)除(・)い(・)て(・)そこまで興味は無いが、学校生活を脅かされる訳には行かない。


黒音!!お前の欲望は全て阻止してやる!!」




「どうやって?全ての記録は私の手中にある。スマホ1つ奪ってもSDカード、USBメモリ、他にも備えているかもしれないよ?


それら全てを私から奪えるの?」



「止めてみせる!!何がなんでも、お前の闇を晴らしてみせる!!」



――中間試験終了まであと5日――


星明が黒音に勝つ条件は、黒音が抱えている生徒の秘密を全て奪うこと。


黒音の勝利条件は、生徒の秘密を全て暴露すること。


だが彼女がそれをすぐにしないのはなぜなのか。


星明は思考を巡らせる中、答えに辿り着いた。

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