第11話 中間試験③ 告白
須磨伊里高校中間試験の内容
・試験内容は学校生活、授業態度、小テストの成績などの内申点の総合で評価される。
・評価「1」が1つでもあれば補習対象となる。
・評価「2」が2つ以下、残りが評価「3」以上で合格とする。
・合格者は1週間の自由行動、豪遊が認められる「合宿」に参加できる。
――合宿について――
須磨伊里高校が提携するリゾート地への1週間の宿泊である。
費用は全て学校側が負担し、生徒は自由に無料で豪遊出来る。
補習対象となった生徒には、合宿への参加は認められない。
つまり中間試験とは、合宿に参加する生徒を見極める試験である。
中間試験終了まで残り8日
生徒会室で星明が吹雪を抑えているところを黒音が撮影し、星明は弱みを握られてしまう。
同時に、その一部始終を吹雪がこっそり録音していたため、星明は万事休すで黒音に再び立ち向かう。
星明は黒音に対し、吹雪が録音していたことを悟られないようにするため、黒音の言いなりになるしか無いと考えていた。
――1組の教室――
近藤は、黒音に恋している。
だが、星明が黒音に接近している事から、星明を恋敵として認識するようになってきた。
「星明の野郎……」
近藤は星明の事を信頼している。この学校の最初の友達だからだ。
だが一切興味を示さなかった黒音に星明が出てきたことにより、近藤は頭を抱えていた。
「近藤いるか!?」
星明が教室にやってきた。
「なんだ星明、今俺は……」
「ちょっとこい!!お前にしか頼めないことがあるんだ!!」
「お、おい!!」
星明は近藤を無理やり引っ張って中庭に連れていく。
「……。」
星明の姿を、黒音は見逃さなかった。
――中庭――
星明は辺りに誰もいないことを確認する。
「おい星明、一体どういうつもりだ。何の用だ!!」
「近藤……お前は黒音の事は好きか?」
「何言ってんだ、俺は最初から黒音一筋だ!!」
「そうか……その思い、大事にしろよ。」
星明は近藤の肩を叩き、去ろうとする。
「おい!それだけかよ。お前は黒音の事をどう思ってるんだ。」
星明は立ち止まり振り向く。
「黒音は……ライバルだ。
近藤、お前は気付いてないかもしれないが、俺と黒音はこの中間試験で争っているんだ。」
「はあ?争うってなんだよ!!筆記試験じゃねえんだぞ。内申点の落とし合いでもしてるって言うのか!!」
「そうだ!!ただどちらかが落ちて決着という訳では無い。黒音からの攻撃を俺が防ぎ切れればみんな仲良く合宿に行ける。」
「待て!意味がわからねえ!!なぜ争う必要がある!!」
「それは……言えない。」
黒音と争っている理由を、黒音の本性を話せば、俺は黒音に殺される。
だが、黒音をここで倒し引き入れることができれば、黒音の力は利用出来るかもしれない。
「だから近藤、お前が黒音を思う気持ちを強く持っていて欲しい。」
「……わーったよ。お前が黒音とバチバチなのはよーく分かった。せいぜい頑張りなよ。」
近藤は冷めたように、教室に戻っていく。
「近藤……。」
……よし、近藤のことはこれでいい。
おそらく今の一部始終も黒音はどこかで見ていただろう。
黒音には勝つ、勝ってみせる。
だが、黒音は中庭にはいなかった。――
――中間試験終了まで残り7日――
星明はこの日、何も仕掛けてこず、黒音も何もしてこなかった。
「星明君、あれから何もして来ない。本当に降伏したつもりかな……。」
弱みを握られているとはいえ、大人しくなるはずがないと見た黒音は星明を少し警戒する。
「勇気君を呼び出してからの何も起きない。けどこのままで終わった気がしない。」
黒音は、星明の所に向かった。
「星明君、ちょっといいかな?」
……黒音から誘ってきた。おそらく罠だろうが、こっちとしては関係無い。
「黒音……何か用か?」
「あれから星明君のメンタルが心配になってきちゃって、大丈夫??」
「心配するぐらいなら、動画を消してくれ。何しに来た。」
「動画はまだ消さないかなー。それよりも、星明君はまだここから逆転できる方法を考えているの?」
「逆転なんて出来ない、黒音に動画が残っている以上、俺はお前に歯向かうことなんてできない。」
「それにしては随分と、敵意剥き出しな目をしてるけど、動画をばら撒かれても戦うの?」
「それは……ダメだ。動画を拡散することは俺が許さない。」
星明は咄嗟に立ち上がり、必死な素振りを見せる。
「だったらもう怪しい行動なんてしない方が身のためだよ?合宿行きたいもんね!!」
「だったらもう終わりにしようぜ、黒音お前の勝ちだ。
これ以上俺を虐めてどうするつもりだってんだ。」
星明君の言葉と感情が矛盾している。
降伏しているように見えて、何かまだ隠してるように見える。
「星明君、さっきからずっと何か隠してるでしょ?弱みを握られていても、一向に完全降伏したようには思えないもん。」
……黒音がどれだけ探ろうたって無駄だ。
録音は吹雪会長が持っている。
「あー分かったよ。本当のことをお前に話す。」
星明は黒音の前で、土下座をした。
「黒音!!実は俺、お前のことが好きなんだ!!俺と付き合ってくれ!!」
突然の大声の告白、星明の声が1年のクラス全体に響いた。
周りが注目する、当然黒音もさすがに困惑する。
「え!?え!?ちょっと星明君、それは急すぎない!?」
星明は動揺する黒音に追い詰める。
「好きだ、黒音お前のことが。」
「ちょっとっ!!みんな見てるし、その……ごめんなさい!!」
黒音は星明の告白を振り、教室を出ていった。
周りがヒソヒソと話しているが、今後のことを考えれば安い代償だ。
「なあ星明、元気出せよ。この先いいことは沢山あるぜ?」
同じクラスの男子が慰めに来た。
「ああ、心配してくれてありがとう、でも本気では無いから大丈夫。」
「そ、そうか?その割には土下座で必死になってたぜ?」
本気の告白なら、俺は黒音を彼女にはしない。
好きな人なんてまだ……。




