Day 26. ギラギラ
うちの狼、やっぱり狼だなとリズは思う。使い魔契約により意思疎通ができるので、忘れがちなのだが。
双子の兄とで借りている、〈木の塔〉の寮の一室。二人用の部屋の中で、リズたちは気まぐれに異世界からの狼たちを顕現させている。魔力を食う以外は食事や排泄の世話をする必要もなく、獣臭さもいので隣室に配慮する必要もなく……と、何とも都合のいい愛玩のようだが、時折こうして二人と二頭で過ごしていると、狼たちが目ギラギラさせながらこちらを見てくるので、たまに気になる。
正直、喰われるんじゃないかな、とたまに思う。
「…………………何?」
二段ベッドの下で読書していたのに気が逸れたリズが声をかければ、ハティはすいっとそっぽを向く。
リズは読んでいた本はそのまま、じっと黒狼を見つめた。人間なら気まずくなるほどに、瞬きも減らして、穴が開きそうなほど、じぃっと。
しかしハティは、吹いてもいないのにそよ風のほうが気になるとばかりに澄ました顔でそっぽを向き、しっぽを振って誤魔化そうとする。
「何よ。何をやましいこと考えているんだよ」
頑なに目を合わせない。
リズたちの様子に気づいたリグが、二段ベッドの上から自分の狼に同じことをし始めた。スコルもまた、何でもないような顔をしている。
「うまそう、とか考えたりしていて」
無反応だった。表面上は。だが、リズたちはきちんとその動揺を思じ取った。
ハティは月を。スコルは太陽を。そしてその神を喰らうと異世界では伝えられているらしい。神様を食べるくらいなら、人間だって食べたっておかしくはない。
リグもリズも、彼らに恨みを買っていてもおかしくはないし。
「そのときは――」
「そのときは?」
リグが頭を逆さにしてリズを覗く。
「しゃーねぇかな」
そういうものを呼び出したのだ。今更リスクの大きさを見て、嫌だとは言えないだろう。
ただ、痛いのは嫌なのでそこだけは配慮してほしい。
そう言うと、リグだけでなく狼二頭も何とも言えない眼でリズを見つめていた。




