表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/109

弾幕 is パワー!!




荒れ果てた荒野を、九尾は勢いよく駆け抜ける。

彼女に追従していた炎狐は空中を自在に跳ねて先行すると、ガパッとその火炎渦巻く口を開いてミューラに噛み付かんとした。

しかし、狂気的な笑みを浮かべたミューラは一切臆することなく、眼前まで迫った炎狐の口に左腕を突っ込んだ。

そして、そのまま真横に薙ぎ払う。

炎狐は無惨にも左側の頬を引きちぎられ、制御を失いただの炎の塊へと戻ってしまった。

波打つ灼熱の炎を全身に浴びながらも、ミューラはピクリとも表情を動かさない。

むしろ歪んだ口角をさらに吊り上げて、拳を引き絞った九尾を見つめている。

九尾の前足が間合いに入り込んだ瞬間。

ミューラもまた、地面を砕くほどの踏み込みで飛び出していた。

勢いよく振り下ろした血の鎌と炎を纏った拳が衝突し、火花を撒き散らしながら互いに弾かれる。

ギィインッ……!!と耳障りな金属音。

二人はさらに深く踏み込み、壮絶なラッシュを繰り広げる。



「ぬおっ!?」



僅かな隙をついたミューラが鎌のカーブした刃で九尾を捉え、思いっきり上空に弾き飛ばした。

同時に、蝙蝠(こうもり)のような漆黒の翼を大きく広げて後を追う。

派手に空中に投げ出された九尾であったが、刃が触れたはずの脇腹は着物が裂けただけで、生身の肌には傷一つ付いていなかった。

さすがの頑丈さである。

構えた左腕にボッ!と紫の炎が宿る。

ところが攻撃を放つ直前、何かを察知したらしい九尾が咄嗟に体を捻った。

(またた)くは純白の煌めき。

まるで流星のごとき軌跡を引き連れた、目にも止まらぬ神速の連続刺突が一瞬にして叩き込まれた。

ガガガッ!!と激しい衝撃に見舞われ、九尾は思いっきり弾き飛ばされる。



「ちっ……邪魔をするでないわっ!!」

「はて、虫ケラが何か喋っているようですが……申し訳ございません。お恥ずかしながら、人語しか対応していないもので♡」



純白のエネルギーを凝縮した細身の光線を立て続けに放ち、落下途中の九尾を追撃。

命中して白煙が立ち昇る光景を横目に、エルムは片手剣を構えてミューラを迎え撃つ。




────ガギィイインッ!!




衝突した鎌と片手剣が甲高い金属音を奏でて、どちらも引かぬ渾身の鍔迫り合いに。

カタカタと押し付け合った両者の武器が震える。

超至近距離で交差した黄金と血の瞳。

歪な光で軌跡を描く。



「わははっ!!」

「うふふっ!!」



ギンッ!!と火花を散らして互いの武器が弾かれる。

ミューラが大振りに振り下ろした血鎌を巧妙に受け流し、弾き上げてガラ空きの胴体に素早い刺突。

しかしミューラは鎌の柄をぶつける事で切っ先を逸らした。

クルクルと回転する鎌をピンポイントでキャッチ。

刃を返し、思いっきり振り上げる。

だが期待した手応えは感じられず、あるのはただ空気を切った虚しい感触のみだ。



「ハズレ、でございますね♪」



声が聞こえてきたのは背後だった。

視線を向けるとほぼ同時に、純白の閃光が爆ぜる。

九尾にも放っていた光線が至近距離で命中したのだ。

ミューラが後退を強いられる中、エルムはその無様な光景を逆さの世界で眺めていた。

腰から生えた銀翼を重心に、体を倒して背後の光景を流し見ている。

そんなエルムの脳天をかち割る勢いで炎を纏った拳が振るわれた。

だがやはり、空振り。

代わりに真横から繰り出された刺突が九尾の脇腹に突き刺さる。



「おや?」

「相変わらず、鬱陶しいのぅ!!」



なんと九尾は、エルムの刺突を腹筋に力を入れるだけで完全防御した。

ガチガチに固められた腹筋を貫くことは容易ではなく、九尾は僅かに作ったこの隙で片手剣の切っ先をわし掴み。

カウンターでえげつない足刀蹴りをエルムの腹にぶち込んだ。

体がくの字に折れ曲がって浮かび上がった。

ところがエルムは見ての通りピンピンとしている。

額に怒りマークを浮かべ、片手剣を斜めに振り上げる。

すると切っ先の軌跡に沿って純白の斬撃が飛び、九尾の胴体に命中した。



「ふんっ!ヌルいヌルい!!」



純白の斬撃は簡単に砕けてしまった。

九尾が突進する勢いに負けて粉々に砕け散り、残骸が風に攫われて消えていく。

彼女が振り被った右腕には膨大な紫の炎が凝縮されていた。

押し付けられたのは万物を燃やし尽くす妖狐の炎。

エルムの視界を一気に染め上げる。

爆発的に膨れ上がった炎はエルムを呑み込んでもなお、さらにその勢いを強める。

間髪入れず九尾は後ろ回し蹴り。

弾いたのは血の鎌だ。

見事に不意打ちを防がれてしまったミューラは、どことなく不貞腐れているように見える。



「むう……」

「くふふっ!お主、気配を消すのが下手じゃのぅ!不意打ちなんぞ向いておらんぞ!」

「うるさいのだ!ちょっとやってみただけなのだっ!!」



ズンッ、と地面に降り立った九尾とミューラ。

真正面から突っ込む九尾に対して、ミューラは手首を素早く掻き切り、噴き出した血で伸縮自在の刃物を構築した。

複雑な動きで伸びた血の刃を次々に砕き、ものともせず九尾は突き進む。

そしてまさに、双方の間合いが衝突するかと思われた刹那────。

背中に重みを感じると共に、九尾の視界がガクンッと下がる。

飛来したエルムが着地ついでに九尾の背中を足場にしたのだ。

悪意ある体重のかけ方で九尾を地面にめり込ませ、わざと足場に負荷のかかる力強い踏み込みで刺突の技を繰り出す。

かなり高度な嫌がらせだ。

そのまま素知らぬフリをしてミューラと切り結ぶ。



「っの……!!(わらわ)を踏み台にするでないわ!」



即行で復帰した九尾は腹いせのために右の拳を全力で握り締めた。

鍔迫り合いから離れたミューラが鎌を引くのと、背後で九尾が拳を引き絞ったのを確認したエルムは。

前のめりに突っ込んでくる九尾が炎を纏った拳を繰り出そうとした瞬間、またしても姿を消した。

必然、向かい合う九尾とミューラ。

互いにエルムの体が邪魔で把握しきれていなかった情報が、瞬時に脳裏を駆け巡る。

動き出しが僅かに速かった分、九尾側に()があるのは簡単に見て取れた。

よって、九尾はコンマ数秒で「標的違うけどまぁええか」とあっさり決断。

微塵も減速することなく最強の打撃をミューラにぶち込んだ。



「"震天"ッ!!」



炎を帯びた拳が咄嗟に割り込んできた鎌の柄に衝突した途端、驚くべきことが起こった。

()()()()()()のだ。

まるで鏡に拳をぶち込んだ時のように。

ビキビキッ……!!と細かな亀裂が広がり、歪んだ時空を元に戻そうとする強力無比な力が打撃の威力をさらに増大させる。



「むおおっ!?」



ガリガリと地面を削って後退したミューラは、その打撃とは思えぬ凄まじい威力を前に驚愕を露わにした。

腕が痺れているようだ。

「ふんっ」と自慢げに鼻息を鳴らす九尾であるが、不意に降り注いだ極光のせいで悠長に浸っては居られなかった。

純白のエネルギーを細かくではなく、一気に凝縮した極太のレーザーである。

立て続けに降り注ぐそれをヒョイヒョイと躱して空を見上げた九尾は、自然と口角を吊り上げた。

天に向けて剣の切っ先を掲げたエルム。

彼女の周囲には、数えるのも億劫になるほどの陣が大量に展開されていた。

どれも形容し難い幾何学模様で構成されている。

背後で回転する巨大な後輪にも同じような幾何学模様が刻み込まれており、その内容を窺い知ることは出来ない。



「くふふっ!面白い!!」



エルムがタクトを振り下ろすと共に放たれたのは、純白のエネルギーにより生成された弾幕の嵐だ。

隙間を見つける方が難しい密度の弾幕が一斉に地上向けて降り注ぐ。

なんだか某弾幕ゲームを彷彿とさせる理不尽さだ。



「おおっ、何なのだこれは!?凄いのだ!!」



九尾が全速力で飛び出した後ろで、ミューラもまた暗雲に閉ざされた空を彩る純白の弾幕に、すっかりとテンションがぶち上がったようで。

血の大鎌をブンブンと振り回して、自ら弾幕の中に突っ込んで行った。





なんか欠片も現代ファンタジー感が無くなってきた今日この頃。弾幕の密度はLunaticです。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

感想等々、何かしらのリアクションをいただけると、作者は大変喜びます。狂喜乱舞です。ぜひともお願いいたします!( ^ω^ )









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ