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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
六章

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絶対にフラグじゃないですかやだぁ〜




「お前、我輩の物になるのだ!」



ボス、突如として幼女から告白されました。

……これは告白と言って良いのだろうか?

恋愛的な要素を欠片も感じさせない求めに、秘密結社Xのメンバーは漏れなく呆けた表情を晒してしまった。



「え……嫌だけど……」

「なにーーっ!?」



まるで雷に打たれたかのごとき大袈裟なリアクションで、受けた衝撃のデカさを物語るミューラ。

まさか断られるとは思ってもみなかったらしい。



「何故なのだ!?」

「いや、そんな急に言われても困るって言うか……。まずそもそも、どうしてミューラは俺が欲しいの?」



なんか言い方が鼻につくと自分でも思ったものの、そう聞くしかないのでボスは苦笑い気味にミューラに問う。

すると、ミューラはその薄い胸を存分に張って、自信満々にこう言い切った。



()()なのだ!」



清々しいくらいのドヤ顔である。

ふんすっ、と勢いよく鼻息を漏らして、ボスの両肩を左右の手でがっしりと掴む。



「だから、我輩の物になるのだ!ファントム!」



うーむ、これは困った。

助けを求めてガルハラの方に視線を向けると、彼は申し訳なさそうに眉を寄せて謝罪の言葉を口にした。



「私からご説明させていただきます。先程もお話したように、お嬢様は吸血鬼の王たる凄まじい力をお持ちです。ですが……」



僅かに言い淀むような気配を見せてから、ガルハラはこう言った。



「その力のデメリット………いえ、正確に言うと吸血鬼となった副作用として、定期的に血を摂取する必要があるのです。これは吸血鬼にとって必要不可欠な行い……。言わば水分補給のようなものだと考えていただければ。もちろん、必要な頻度は格段に下がりますが」



ふむ。

確かに創作上でも、吸血鬼は人々の生き血をワインのように嗜んでいる様子をよく見ることがある。



「通常の個体ならば血の好みはあれど、どんな血でも問題なく摂取出来るのですが……お嬢様は少し特殊な体質をお持ちでして。体が拒絶してしまうのです。相性の良い血でなければ」

「それは……死活問題ですね」

「はい」



人間で言うところの水アレルギーみたいな感じだろうか?

生きるに当たって必要不可欠なものが、体質の問題で容易には体に取り込めない。

それは想像以上の苦労をミューラに強いたことだろう。



「私共の血を吸うことでも日常生活くらいは送れるのですが、やはり肉体的な弱体化を余儀なくされ……」



そりゃあ、体質に合わないものばかり摂取していたら、健康面が悪化するばかりなのも頷ける。

それに加えて、体質に合わない血は漏れなく不味く感じるそうだ。

言わば、飲水が泥水しかないような状況だ。

"泥水を啜っても……"という言葉があるが、誰しも日常から好き好んで泥水を飲んで生きたいとは思わない。



「ところが、ファントム様の血は───」

「うむ!最高だったのだ!」



胸を張ったミューラが満面の笑顔を見せる。

ボスの血は、偶然にも彼女の体質に適合していたらしい。

確かにこれは「運命」と称して差し支えない奇跡だ。

ミューラがここまで興奮しているのも頷ける。



「ファントムが居れば我輩は最強なのだ!我輩の物になるならば、その対価としてなんでも望みを叶えてやるぞ?」

「太っ腹だね」

「だろう?それくらい、お前を気に入ったということなのだ!……あ、一応言っておくが血だけじゃないぞ!お前そのものが好きになったのだ!」



これまたストレートな告白だ。

彼女の境遇を聞いて、ミューラがどうしてもと自分を求める理由は理解した。

けれどやはり、彼女の物になることは出来ない。

あんまりなエピソードを聞いて、そろって滂沱(ぼうだ)の涙を流しているエックス戦闘員達をチラリと見てから、ボスは申し訳なさを滲ませた笑顔で答える。



「ごめんけど、やっぱりミューラの物になることは出来ない」

「むーっ!」

「けど、定期的に血を提供するくらいなら大丈夫だよ。さすがにほっとけないし」

「むぅ……!そこがお前の妥協点なのか」

「うん」



"秘密結社Xのボス"というこの立場から動くことは絶対にない。

けれど、仲の良い隣人として少しでも力になることは出来るのだ。

ガルハラは黙って主の言葉を待っている。

しばらく黙ってじっとボスの瞳を見つめていたミューラは、不意にニコッと年相応な笑みを浮かべた。



「ならば、仕方あるまい!」



ぴょんとボスのお膝から飛び降りて、視線でガルハラを呼ぶ。

実に様になっているその姿は、まさに力あるカリスマご令嬢と言った感じだ。



「ファントム!いずれ()()()()()のだ!その時はまた、血を吸わせて欲しいのだ!」

「うん。またね」

「うむ!」



精一杯の笑顔でぶんぶんと手を振るミューラ。

可愛い。

なんだか幼稚園の先生にでもなった気分だ。

背後に付き従うガルハラもぺこりと頭を下げた。

微笑ましい気分が秘密結社Xの面々に蔓延している。





────この時、ボスとエックス戦闘員の三人は想定していなかった。





子供故の無邪気さを。

そして、自分が吐いた言葉の意味することを。






最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

感想等々、何かしらのリアクションをいただけると、作者は大変喜びます。狂喜乱舞です。ぜひともお願いいたします!( ^ω^ )









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