吾輩は猫である!
吾輩は猫である。
名前はミケ。
秘密結社Xの看板猫にして、ご主人様の愛情を一身に受けた真の正妻様にゃ。
好きなことは、こうしてご主人様のお膝の上で昼寝すること。
ふにゃぁ〜……極楽極楽にゃ〜……。
どんなに高級なベッドでも、ご主人様のお膝には絶対に勝てないのにゃ。
この寝心地は最高にゃ。
おまけにここだと、大好きなご主人様の匂いが近くて────に゛ゃあ゛あ゛〜〜……。
もう動きたくにゃい。
なんか今日は秘密結社Xの一日を紹介しろとか言われたにゃんけど、面倒だにゃあ。
このまま昼寝でも───にゃ?
……にゃ〜、人が気持ち良く昼寝しようとしてる時に何にゃ?
耳障りな音だにゃ〜……。
え?にゃににゃに?
「ちょっとミケさん、困りますって!尺押してんすから!」
って?
知らんにゃ。
お前が困ろうと、ミケにはなぁ〜んにも関係ないのにゃ〜。
………うるさいにゃあ、しっしっ。
あっち行けにゃ。
……にゃ?
にゃにゃっ、それは……!
………仕方ないにゃあ。
今日はご主人様に免じて、その願い聞いてやるにゃ。
ちょっと待ってろにゃ。
ミケは名残惜しい思いをしながらご主人様の温もりから身を剥がして、床に降りたにゃ。
「ありゃ。お散歩か?ミケ」
「そんなとこにゃ。ご主人様、また後で構ってにゃ」
「はいよ。いってら〜」
「にゃ」
手を振るご主人様に背を向けて、ミケは部屋を後にしたにゃ。
てしてしと短い足を動かして廊下を駆け抜けるにゃ。
……にゃあ〜、やっぱり移動するなら人型の方が楽だにゃ〜。
変化しとくかにゃ?
ん〜……でも人型だと、変なところがむず痒くなるからにゃあ……。
ご主人様成分が足りない今はちょっと控えておくかにゃ。
………にゃ?変化はダメです?
やかましいにゃ。
お前は黙って見てるだけでいいのにゃ。
「おや。ミケですか」
にゃ!
この女は……!
ちょうどいいにゃ、お前たちに紹介してやるにゃ。
この女はミケからご主人様を奪おうとする悪女なのにゃ。
ご主人様の秘書という立場を利用して、ご主人様を誑かしてる卑しい女なのにゃ!
隙あらばご主人様にベタベタくっ付いて……毎日毎日、とにかく鬱陶しいにゃ!
ご主人様の匂いにこいつの匂いが混じってない方が珍しいのにゃ。
絶対にミケのマーキングを上書きしようとするその執念は認めるにゃんが、そろそろ現実を受け止めて諦めて欲しいところだにゃ。
"イリス"という名前のその女が、いつも通りの冷たいジト目のまま近付いてくるにゃ。
何にゃ?
イリスが掲げた物体を見たミケは思わず固まってしまったにゃ。
不覚。
「……ほら、好きでしょう?」
なんとそれは、ミケが大好きな"猫じゃらし"のおもちゃだったのにゃ!
ミケは思わず、ふりふりと揺れる物体に視線が釘付けになってしまったにゃ。
「中々やりますね。では、これはどうですか?」
くっ、こいつ中々扱いが上手いにゃ!
ご主人様の次くらいには上手いにゃ!
まさかミケが猫じゃらしで遊ばれるなんて………屈辱にゃ!
でもちょっと楽しかったのにゃ……!
きょ、今日のところは引き分けにしといてやるにゃ……。
無表情のまま満足げな雰囲気を匂わせていたイリスと別れてから、しばらく通路を歩いたにゃ。
やって来たのは台所。
ここから甘い匂いがしたから、誰か居るのかと思ったにゃけど……案の定にゃ。
あれは後輩マスコット二匹にゃね。
何をしてるのかにゃ?
「………あれ、ミケさんだ。どうしたの?」
「ちょっと散歩中にゃ。お前たちは何してるにゃ?」
ハート柄のエプロンを着けたちみっこがミケに気付いたにゃ。
"チェリー"だったかにゃ?
いつもはもうちょっと調子に乗った態度してるにゃんが……さすがに序列は分かってるみたいだにゃ。
殊勝な心がけにゃ。
「えっとね、お菓子作りしてるの!小雪ちゃんがボスさんに食べて欲しいんだって♡」
「えへへ……!」
もう一人のマスコット、"小雪ちゃん"と呼ばれたちみっこが照れくさそうにはにかんでるにゃ。
………可愛いじゃにゃいか。
聞いた話によると、この子も生死の境を彷徨っていた時にご主人様に拾われたそうにゃ。
同じ立場だから分かるにゃ。
この子もご主人様に惚れてるのにゃ。
つまりミケの敵にゃ。
でもなんでにゃ?
イリスほど敵対視出来ないにゃ。
子供だからかにゃ?
それとも……。
まぁ何でもいいにゃ。
「火元には用心するにゃんよ」
「「はぁい!」」
にゃ、元気な良い返事にゃ。
キッチンを出て次に向かったのはリビングにゃ。
リビングとは言っても、お前たちが想像するような一般的なリビングじゃにゃいけど……。
「うわっ!?なんだ今の!反則だろ!」
「へへ〜ん、残念でしたぁ!公式技ですぅ!」
やっぱり居たにゃ。
こいつらは秘密結社Xのいわゆるモブ戦闘員。
つまりザコにゃ。
まぁ謎の耐久力はあるみたいにゃんが、それ以外はパッとしない連中にゃ。
そのくせ、ご主人様とちょっと仲良さげなところがムカつくのにゃ。
「あ、ミケ。お散歩中?」
「にゃ」
胸元に"3"と書かれたこいつは、見ての通り"三号"と呼ばれているにゃ。
ゲームに夢中な二人と違って、唯一ミケに気付いて声をかけてきたにゃ。
見た目は一緒なのに、この違いはにゃんなのかにゃ。
「邪魔したにゃ」
見てても面白くないから、さっさと別のところに移動するにゃ。
「う〜ん、これくらいじゃ物足りなくなってきましたねぇ」
トレーニングルームを覗くと、そこには化け物が居たにゃ。
100tと書かれた巨大な鉄の塊を軽々と持ち上げて、困ったように首を傾げている人型の化け物が。
あれは秘密結社Xに居座る未知の存在にゃ。
ご主人様は狼の獣人とか言ってたにゃけど、絶対に違うにゃ。
新種の怪力の化け物にゃ。
ぶっちゃけ、あいつは怖いにゃ。
とにかく元気でウザイし……。
出会った時の言葉、今も忘れてないにゃ。
にゃにが「皆まとめて抱いてもらう」にゃ!
ご主人様に抱かれるのはミケだけで充分にゃ!
まったく……。
こいつに見つかると面倒にゃ。
さっさと別の場所に移動するにゃ。
「いやぁ、実に素晴らしい!!なんて魅力的な発・明・品!!さすが私!早速ボスで試し撃ちを───!!」
こいつは絶対に関わっちゃダメな奴にゃ!
正直、狼女よりもさらに怖い女にゃ!
なんでご主人様はこいつを仲間に入れたのにゃ!?
み、見つかる前に逃げるのにゃーーっ!
つ、疲れたにゃ……。
ああいうのを、人間は"マッドサイエンティスト"って呼んでるらしいにゃ。
「わっ、ミケさん?」
にゃ?
顔を上げると、そこには普通の女が居たにゃ。
"八咫烏"とか物騒な名前をしてるにゃんけど、それ以外はぶっちゃけ普通にゃ。
ただ……。
「お菓子、食べるっすか?」
「にゃ」
こいつはいつも気を利かせて、お菓子やおもちゃをくれたり、ご主人様が居ない時に代わりに構ってくれたりするにゃ。
普通にいい奴なのにゃ。
……まぁ、ご主人様には負けるにゃんけど。
仕方ないから、少しだけ撫でさせてやったにゃ。
八咫烏にお菓子を貰ってから、さらに適当に歩き回ったにゃ。
こんくらいで満足にゃ?
「うっす!ありがとうございます!」
って?
ったく、疲れたにゃ……。
お前、絶対に約束は守れにゃ?
「ミケ、おかえり」
「にゃあ〜。やっぱりご主人様の膝の上が一番にゃあ〜……」
最後にはご主人様の膝の上に戻って、優雅なお昼寝タイムに突入にゃ。
やっぱりここがミケの定位置なのにゃ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
感想等々、何かしらのリアクションをいただけると、作者は大変喜びます。狂喜乱舞です。ぜひともお願いいたします!( ^ω^ )




