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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
三章

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36/45

立ち塞がる稲妻




「うおおおおおおっ!!」

「おおおおおっ!!」

「ふんぎいいいっ!!」



上からボス、一号君、三号君の気合いの声である。

念のため言っておくが、決してヒーローと戦っている訳ではない。

ヒーロー協会に侵入した後、エレベーターで最上階に上がろうとしたものの、まさかの昇降手段が全てシャットアウト。

唯一残されていたのは中央階段だけだった。

「え?階段(これ)使うの?三十階まで?」と突入の勢いとは裏腹に、明らかにトーンダウンして頬を引き攣らせたボス。

しかし、手段がこれしかないのだから仕方ない。

時間も無いのでダッシュで駆け上がること、約二十階程。

もはや正式な階数は覚えていない。

そこで、ボス達は扉も何もない平坦な壁にぶち当たった。

ソアレ(いわ)く、どうやら侵入者への防御システムの一つらしく、とんでもなく硬い鉱物を贅沢に使った最強の防御壁だそうだ。

驚くべきは、その壁が突然動き出し、徐々に通路を狭めていることだろう。

先程の気合いは、何とか迫り来る壁を押し返そうとするために迸ったものだった。



「いや無理っ!」

「困りましたね………雷も弾かれてしまいますし」

「私の風もイマイチっすね〜」



イリスが軽くパリッとやってみるが、銀色の壁は全く電撃を受け付けず傷一つ付かない。

また八咫烏(やたがらす)ちゃんも同様に試してみたものの、風が霧散するだけで破れそうにはなかった。



「でも……いった!?こ、これ、どうします?」



拳で殴ってみた二号君が、あまりの硬さに涙目になりながらソアレに相談している。

ソアレは少しだけ思案すると、懐から筒状の何かを取り出した。



「う〜ん………ダイナマイトとかどうだい?」

「却下ァ!この狭い空間で使ったら巻き添え喰らうわ!」



ボス、渾身のツッコミ。

間違いなく全員が巻き込まれる危険物の使用を認める訳にはいかない。



「てかどこでこんなの手に入れたんだよ……」

「ネット通販でポチッと」

「今のネット通販ってダイナマイト買えんの!?」



絶対それ正規のサイトじゃないだろ……と胡乱(うろん)な眼差しを向けるボス。



「ええいっ、とりあえずこれは没収!何か他にアイディアある人!」

「はい!」

「はい一号君!」

「炎で溶かすってのはどうですか?ソアレ様が鉱物って言ってましたし……」

「それだ!よっしゃあみんな、少し離れて───」

「……ちなみにだけれど、この鉱物は熱すると毒性のある気体を発生させるよ」

「「「………」」」



ピタリとボスの手が止まった。

動かぬ間に、また壁が迫りボスの指に触れる。

冷たい沈黙が場を満たした。



「どっ、どど、どうするっすか!?壁がもうそこまで……!」

「おおおおちけつ!まだ何か方法が……!」



おそらく一番動揺しているであろうボスが言っても説得力の欠片も無かった。

あたふたと下手なパントマイムを繰り返すボスに、やれやれと肩をすくませて前に出たのはソアレだった。



「ま、ここは任せておきたまえよ」



ソアレが鞄の中から取り出したのは、貝殻のような形をした機械。

凸凹した表面には何やら四桁の数字が並んでおり、今は全てゼロに統一されている。

それを三つほど壁に設置。

手元の機械を何やらポチポチッと操作して、赤色のスイッチを押し込む。

すると。



「これは………振動……?」

「そう。この鉱物、加工が難しいけど硬度は見ての通りお墨付きでさ。よく使われてるんだけど………特定の波長の振動にはめっぽう弱くてね」



ソアレが解説をしている間にも機械が発する振動は徐々に大きくなり、ある時を境にビシビシッ……!と壁に亀裂を生み始めた。

それは止まることなく広がって行き、そしてついに。



「……ほら、簡単だったろう?」



ズガァンッ!!と、あっさりと崩れ去ってしまった。

崩れた壁の向こうのホールから差し込む明かりは、まさに天より降り注ぐ明光。

ボスとエックス戦闘員達はひたすらに崇め奉った。

「ありがてぇ……ありがてぇ……」と、自分が生きている事実を噛み締めているようであった。



「…………やはり、来たか……」



壁の向こう。

広いホールのど真ん中で待ち構えていたのは、"三英傑"が一人、迅雷ヒーロー・イナズマだ。

加えて彼女の背後に二人のヒーローが見える。

あれは……。



「っ」



照明に照らされたその光景を前に、ボスは思わず息を呑んだ。

イナズマの背後に無言で佇むのは、体格の良い若い男二人。

不気味なのは、どちらも無表情でありながらハイライトの消えた瞳の奥に、何かおぞましいものを秘めているように感じるところだ。

まるで囚人かのように薄汚れた無地の服を着用し、胸元には五桁の番号がプリントされていた。

どちらも若いが、放つ雰囲気は異質そのもの。

引き結ばれた唇は動くことなく、ただ"敵"を凝視するのみ。

明らかにヒーローという風体では無かった。



「これはまた………面倒な連中だ」



言葉を失ったボスを気遣いつつ、ソアレが吐き捨てるようにそう言った。

あまりの不気味さに、エックス戦闘員達はビビるばかりである。



「……ボス、先を急いでください。ここは私が」

「おう」



立ち塞がったイリスがそう伝えると、ボスは短く答えて側面にあった階段の方に向かった。

イナズマは腕を組んだまま追おうとはしなかった。

ただ目を伏せて、何かを思案するだけ。

ボスを始めとして他のメンバーも全て上の階へと移動したのを確認してから、イリスは抑えていた雷を解放し体外に放出する。

今回は手加減などしない。

始めから能力を遺憾無く発揮して戦うことに決めた。

激しく迸る雷をその身に纏ったイリスは、デフォルトのジト目に鋭い殺気を込めて、イナズマを睨む。



「………随分と、面白い()()をお持ちのようで……」

「私とて、本意ではない」



イナズマは苦々しい表現で構えた。

合わせて背後に控えていた二人の男も洗練された動作で武器を取る。

片方はダガー、もう片方はメリケンサックだ。

あまりに隙の無さすぎる構えに強い違和感を覚えた。





───直後、イリスとイナズマの姿が掻き消える。





雷速の戦いが今、幕を開いたのだ。







イリスとイナズマ。因縁の戦いなのですが………不気味な男二人組が怪しすぎる……!!



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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