まさかの助っ人登場!
3日に一度更新すると言ったな。
……あれは嘘だ。
あらゆる攻撃を反射する能力を持つ、金髪オールバックの男。
ただ彼が居るだけで、秘密結社Xの面々は予想以上の苦戦を強いられていた。
基本的にこっちが繰り出した攻撃は全て自分達に跳ね返ってくるのだ。
そりゃあまともに戦えるはずが無い。
数を使い、たまたま反射を免れた攻撃で地道に覚醒個体を倒してはいるが、押し寄せてきた総数から考えれば微々たるもの。
押し負けるのも時間の問題だろう。
かと言って何も考えずに暴れ回れば、それこそオールバックの男の思うツボだ。
制御してない攻撃がさらに予想だにしない反射の仕方をするのだ。
この乱戦の状況では確実に仲間の足を引っ張るに違いない。
ならば、どうすれば良いのか。
それを最初に実行したのは、やはり頼れる我らがボスだった。
「んよっと、はい一回休みぃ!!」
マト〇ックスを彷彿とさせる華麗な身のこなしで覚醒個体の攻撃を躱したボスが、振り返りざまにオールバックの男に手のひらを向ける。
すると、ヴンッ!と耳障りな音がしてオールバックの男が紫色のキューブに閉じ込められた。
いつもの強度全振りのブロックではなく、今回は"遮断"に特化させてある。
強度は落ちるが少しの間くらいは動きを封じられるはずだ。
視覚的にも遮られる内部からでは、覚醒個体へのサポートも出来ないだろう。
攻めるなら今だ。
「皆やっちゃって!超やっちゃって!これ維持すんのマジで大変だから!」
ブロックに向けた指をプルプルと震わせながらボスが叫ぶ。
近年稀に見る非常に切羽詰まった形相だ。
結構余裕がないらしい。
その時、戦場を一筋の稲妻が駆け巡り群がっていた覚醒個体を薙ぎ倒す。
「ボス、あと何秒持ちそうですか?」
「10秒!ガチで指攣る!」
「はやっ!?」
「いえ、充分ですぅ!」
10秒。
それがあのブロックを維持出来る時間だそうだ。
一号君の言う通り短い。
しかし彼女達にとっては充分だった。
直後、全身から青い稲妻を迸らせていたイリスの姿が掻き消える。
雷速に突入したのだ。
凄まじい速度で稲光が瞬き雷鳴が轟く横で、拳を打ち鳴らしたウルフちゃんも持ち前のフィジカルを遺憾無く発揮し、次々とと覚醒個体をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
味方ながらちょっと引いてしまうほどの快進撃である。
その後ろでは巨大ロボ・バビロンXがビーム〇ーベル片手に無双し、廃墟から掃射されたガトリングガンが低い唸り声を上げて土煙を巻き上げる。
銃火器はシンプルに強力だ。
己の発明に満足そうな表情を浮かべつつ、アームを動かしソアレ自身も応戦する。
しかし、この快進撃もそう長くは続かない。
10秒なんてあっという間だ。
「───昔から変わりませんね、貴方は」
紫色のブロックが砕かれた。
さすが元部下なだけあってボスの能力を熟知しているようで、覚醒個体二体に手伝わせ簡単に紫色のブロックから脱出した。
途端に反射の援護が復活したため、また迂闊に攻められなくなってしまった。
タイミングを逃したウルフちゃんが打撃を反射され、頬を抉る強烈な拳の威力に「ムキーッ!」と怒りの声を上げている。
やはり手札の知れた相手には、この戦法は有効ではないようだ。
ならば……。
覚醒個体の間をすり抜けてオールバックの男の元に向かい、ボスは紫炎を放つ。
「懲りませんね」
当然、命中したタイミングで反射される。
全く同じ威力の紫炎が今度はボスに迫る。
ところが。
「ふっ、リバース返し!」
ボスがそう叫んだ途端、命中したかに思われた紫炎が揺蕩い、進行方向を真逆に変えた。
なんと我らがボス。
オールバックの男の反射能力をコピーし、跳ね返された紫炎を再び跳ね返したのだ。
まさにリバース返しの如く。
返品された紫炎がゴウゴウと燃え上がりオールバックの男に迫る。
「……やはり、貴方ならばそう来るでしょうね」
オールバックの男も理解していたらしい。
またしても反射。
ボスがそれを反射。
また反射。
お手玉の無限ループが始まった。
その間に距離を詰めたボスが蹴りを繰り出し、さらに玉数を増やしていく。
「それ、もういっちょ!」
今度は雷が追加された。
荒れ狂う暴風が追加された。
色とりどりの攻撃が二人の間で行ったり来たりし、その数は次第に増えていくばかり。
中には視認出来ない打撃も含まれているので、集中していなければ反射を失敗し喰らってしまうかもしれない。
徐々に張り詰めた空気が二人の周囲を支配し始める。
「イリスさん!」
「ええ、今のうちです!」
目配せしたイリスとウルフちゃんが同時に動く。
ウルフちゃんが強烈なパンチを繰り出すと、それは反射されることなく大柄な覚醒個体の腹にめり込み、そのままお空の彼方までぶっ飛ばした。
どうやらオールバックの男はボスとの反射合戦に神経を割かれ、覚醒個体のサポートをしてる場合ではなくなったようだ。
「本来の使い手である私と、質の悪い模倣品に過ぎない貴方の反射。果たして最後までついてこれますか?」
無数に入り乱れる攻撃を全て反射しながら、オールバックの男は胡散臭い笑みを浮かべボスを見つめる。
確かにこれはボスにとっても諸刃の剣だ。
〈全反射〉について深く理解しているこの男に対して、ボスの反射能力はあくまで模倣。
言うまでもなく本家に比べれば多少の性能の劣化は否めない。
そして少しでもミスってキャパオーバーを迎えれば、一気に形勢は逆転するだろう。
一時たりとも気が抜けない中々に危険な一手なのだ。
「残念、律儀に最後まで付き合うつもりはないよ」
ボッ!!とボスの右腕に紫炎が宿る。
反射を繰り返す攻撃の群れを避け、ボスはオールバックの男の間合いに力強く踏み込んだ。
そして───。
────ドゴォオオオンッ!!!
鳴り響く轟音。
砂煙が勢いよく巻き上げられる。
だがしかし、待って欲しい。
ボスはまだ拳を繰り出してはいなかった。
あたかもボスの攻撃によって生じた現象のようだが、まだ紫炎を纏った拳は突き出す最中で静止していた。
突然の出来事にボスとオールバックの男はそろって動きを止めた。
双方にとって予想外の出来事だったらしい。
思わず固まる当事者達の前で、立ち込めていた砂煙がブワッ!!と押し退けられる。
「───くふふっ!妾、参・上ッ!!」
なんと、ズビシッ!!とポーズを取って仁王立ちするのは、古よりこの国に君臨する天下の大妖怪、九尾その人であった。
最初からクライマックスだぜ
・マトリックス………映画『マトリックス』より
・ビームサーベル………『機動戦士ガンダム』シリーズより
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