表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/139

デストロイは止まらない




「うおおおっ!?」




連続して起こった爆発からかろうじて逃げ切り、地面にダイブしたボスはゴロゴロと転がりながら何とか体勢を立て直す。

全身砂まみれだが気にしている暇はない。

大慌てでその場から離れると、一瞬だけ遅れて地面が爆発した。

走るボスを追って、ドゴォン!ドゴォンッ!と立て続けに爆発が起こる。



「っぶねぇええ!!何なんだこいつ!」



ちらりと視線を向けた先では、全身をダイナマイトで包んだ謎の怪人がケタケタと笑いながら腕を振り回している。

怪人の腕が赤い光を帯びる度に、逃げ回るボスとエックス戦闘員達の周囲でド派手な爆発が起こっていた。



「いって!?ちょ、何とかならないんですかボス!」

「ちょい待ち!」



爆発に巻き込まれて盛大に地面にキスをした一号君が、顔を上げながらボスに泣きついた。

犬〇家していた二号君を引っこ抜いて脇に抱え、ボスは飛び退きながら紫の炎を怪人に放つ。



「おっと。危ねぇなぁ」



ひょいと身を躱して、ダイナマイトの怪人はボスの足元に手のひらを向ける。

直後、真下で瞬いた光がボスの視界の端に映った。



「ボス!」

「───ん大丈夫っ!ギリだけど!」



思わず叫んだ三号君に、黒煙の中から飛び出したボスは間髪入れず答えた。

直前で能力を発動して防御したおかげで、何とか直撃は免れたのだ。

二号君と二手に分かれて爆破を回避。

再び紫の炎を放つ。

今度は特大だ。



「はははっ!馬鹿がよォ!!」



怪人が自分の体を抱くように縮こまると、ボッ!と赤色のオーラが怪人の体を覆って燃え上がった。




────ドゴォオオオオンッ!!




今までで最大級の爆発。

凄まじい風圧を受けて、ボスとエックス戦闘員達は後退を余儀なくされた。



「くっ……!」



咄嗟に発動した風の能力で爆発の威力をこの場に留めなければ、周囲の被害はとてつもないことになっていただろう。

少なくともここの地形は大きく変わっていたはずだ。

それに、逃げ遅れた人々もタダでは済まなかった。

煙の中から姿を現した怪人は心なしか不満気な瞳をボスに向ける。



「ちっ、つまんねぇ事を……」



どうやら思ったより被害が少なかったことが気に入らないらしい。

もしくは、ボス達が一般人の避難優先で全く攻撃してこないので、シラケると思っているのか……。

この時点でボス達は理解した。

こいつは自分達と同じヴィランでも、自分達のようなエンジョイ勢ではない。

正真正銘、本物の悪役なのだと。



「おらおら!こいつはどうする………って、あぁ?」



怪人が調子に乗って連続爆破を引き起こそうとした寸前。

ピクリと反応して、振り返った。

防御の構えをしていたボス達もつられてそちらに目を向けると、そこには見覚えのある青年が立っていた。

ズンズンと、確固たる意志を宿した力強い歩みでこちらへと近付いてくる。



「……?」



()()()()の登場に一安心したボスだったが、ふと妙な違和感を感じた。

何だかボスの知っている()とは、少し雰囲気が違う気がしたのだ。

具体的にどうとは言語化出来ない。

けれど、どこか不穏な気配を纏っているような……。

硬い表情に、危うい感情を孕んだ鋭い瞳。

これは……?

ボスが脳裏で考えを巡らせる中、その青年───ヒーロー仮面・アニマは、ゆっくりと右腕を真横に掲げた。

すると驚くべきことに、どこからともなく飛来した小型のマシーンが彼の腕にまとわり付き、禍々しい形状のアイテムへと変貌を遂げた。

その表面に埋め込まれた亀裂入りの球体をタップすると、ガキンッ!と耳障りな歯軋りのような音が響く。



「……変身」



アニマがぽつりとそう呟いた。

途端に球体から禍々しい漆黒の霧が溢れ出し、アニマの周囲を渦巻いて覆っていく。

よく見るとその霧には太陽光を反射する細かな欠片が含まれているようで、キラキラと鈍い光を放ちながら不穏な気配を漂わせる。

そして、漆黒の霧の奥で赤黒い双眸が鋭い光を放った。

次の瞬間、内部から四方八方に飛び出した透明な棘に切り裂かれて、黒霧が押し退けられる。

露わになったのは……。



()()アニマ……?」



ボスの言う通り、漆黒のアニマだった。

中間フォームことダイヤモンドクリスタルの豪華な装飾とは違い、限りなく無駄を削ったかのような流線型のボディ。

しかし肩幅と腹筋のように砕けた腹部の宝石は厳つく仕上がっており、今までのフォームの中でも特にバルクアップしている。

"かっこいい"と思っていた顔はよりスマートに、しかし不気味に変化していて、光を失った細かな宝石が散りばめられた端々のパーツはとにかく鋭い。

まるで触れようとするもの全てを拒絶しているかのようだ。



『ブレイクアップ───"デストロイジェム"……』



淡々とした機械音。

複眼が鮮明に光を帯びる最中も、変身したアニマは歩みを止めない。

ズンズンと突き進んで怪人に向かって行く。



「……お前を、砕く」



殺意を帯びたアニマの言葉は、驚くほど冷えきっていた。

冗談だと思ったのか、ダイナマイトの怪人はアニマを嘲笑する。



「砕く?はんっ、やれるもんならやってみなァ!!」



ボンッ!と手のひらで生じた爆発をトリガーに、爆発が連鎖し肥大化してアニマを呑み込む。

ところが。



「なっ!?」



黒煙から飛び出したアニマは無傷であった。

一切歩みのテンポを変えることなく、一歩ずつ的確に怪人との距離を詰める。

さらに爆破。

何度も何度も爆破。

けれどもアニマは止まらない。



「はあっ!」



ドゴォンッ!と重々しいインパクト。

アニマの拳が胸にめり込み、怪人は思いっきりぶっ飛ばされた。



「がはっ……!?な、なんだこのパワーは……!?」



たった一撃で膝をつかされたことが、余程信じられないらしい。

怒りで歯軋りしつつ立ち上がって、アニマに殴りかかる。

だがしかし、アニマはビクともしない。

怪人の腕を掴み、右拳を一閃。

さらに怪人の頬を殴り、ヤクザキックで蹴り飛ばした。

怪人はガリガリと激しく地面を削りながら後退し、ふらつきながらもかろうじて踏ん張りを見せる。



「……」



アニマが一度、変身アイテムの表面を叩いた。

すると、漆黒のエネルギーが渦巻いて両の拳に集束。

怪人の繰り出した拳を弾きつつ、懐に潜り込んで右拳を突き出す。



「ぐはぁ!?」



その威力は甚大だ。

怪人の体がくの字に折れ曲がり、僅かに浮かび上がる。

再度、変身アイテムをタップ。

さらに漆黒のエネルギーが増す。

右拳で殴ると、怪人は激しく吹き飛んだ。

三度目のタップ。

怪人の体が深く折れ曲がる映像がスローに見える程の速度で再度接近し、今度は左右の打撃二連撃。

そして四度目のタップ。

より漆黒のエネルギーが勢いを増して唸り声を上げる。

繰り出すのは渾身のアッパーだ。

純粋で、かつ圧倒的なパワーが土手っ腹にぶち込まれ、怪人の体が軽々と宙を舞う。

最後、五度目のタップ。

今までの合計値すら軽く上回る規模の禍々しいエネルギーが、アニマの右足に渦を巻いて集束した。



「───終わりだ」



地面が砕ける程の凄まじい踏み込みで、アニマは跳び上がった。

脚を抱え込み、天に向けて右の足裏を突き出す。




『デストロイ・フィニッシュ!!』




必殺のラ〇ダーキックが怪人の胸にぶち込まれ、許されざる罪人を強制的に天へと押し上げていく。

ダイナマイトの怪人は必死にもがくが、最後までその抵抗が意味を成すことは無かった。



「ぐあああああっ!!」



断末魔と共に怪人の体が爆ぜ、ドゴォオオオンッ!!と太陽を隠す程の爆炎が巻き起こった。

決着がついたのだ。

しかし、終始置いてけぼりだったボス達は未だに、一切の事情が把握出来ていなかった。

あの怪人が何なのか。

アニマの異様な姿は何なのか。

全てが謎のままだ。

けれど、一つだけ言えることがある。



「闇堕ちフォームお披露目回かぁ……」



ボスは、実に感慨深い思いでそう呟くのだった。




作者の世代は平成二期です。



・ライダーキック………『仮面ライダー』シリーズより



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

感想等々、何かしらのリアクションをいただけると、作者は大変喜びます。狂喜乱舞です。ぜひともお願いいたします!( ^ω^ )









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ