20話 おもしれー女
私の学校生活は割と孤独です。
美紅は学校では他の仲良しグループと一緒にいることが多く、椛はあちこちから引っ張りだこ。
だから、お昼休みの時間とかはこうして一人でいることがほとんどです。
今日もいつも通り窓際の自分の席で頬杖をつきながら校庭を見下ろしていると、何者かが私の机に図々しく座ってきました。いじめでしょうか。
「何見てんだ? グラウンド?」
多分クラスメートなのでしょうが、よく知らない男子でした。私の真似をしてか校庭を覗き込んでいます。
「どちら様でしたか?」
「一緒にバッセン行っただろ」
あ、あー、椛に強制連行されたあの時にいた男子三人のうちの誰かでしたか。
で、その中の誰ですか、こいつ? 勝手に机に座られるの、普通に不快指数が高いんですけど。
あの時、一番不快だった奴……名前なんでしたっけ……ああ、そうか、磯野くん、じゃなくて。
「フグ田くぅん、机に座るのやめてもらっていいですか?」
「あー、わりぃわりぃ、神谷二号」
一ミリも悪いと思ってなさそうに言いながら、彼は机から降りました。
「何の用ですか。昼休みにぼっちの陰キャに話しかけてこい系の罰ゲームか何かですか?」
「おまえって自己評価高いのか低いのか分かんねーよな。いや、単純に神谷二号っておもしれーから、友達になりてーと思ったわけよ」
こ、こいつ、私のことをおもしれー女枠にしようとしている……?
何ですかこの展開は? 少女マンガか何かですか? おまえはモテモテなんですか? で、中々なびかない私をおもしれー女だと?
おもしれー男じゃないですか。
「特別にあなたの名前を覚えてあげましょう。名乗りなさい、おもしれー男」
「ドルジ」
「ドルジ!?」
「ああ、モンゴル出身なんだ」
「モンゴル出身!?」
「町内の相撲クラブに所属している」
「そんなヒョロガリなのに!?」
こ、こんなおもしれー男がクラスにいたなんて……。
「おい恭平、何してんだよ! 早く体育館行かねーと昼休み終わっちまうぞ!」
恭平と呼ばれたドルジが複数の男子に引っ張られます。
「え、え、あの、ドルジじゃないんですか?」
「んなわけねーだろ。やっぱおもしれー女」
今のは完全にバカにした「おもしれー女」でした。
前言撤回です。おまえの名前なんて覚えてやりません。
「榊恭平だ」
「フグ田ドルジくんですね、確かに記憶しました」
「まあそれでもいいや。なぁ、神谷二号も体育館行かねーか?」
彼が私を誘うのを見て、周りの男子たちがギョッとした表情をします。
「ドルジくんと遊ぶよりもここでグラウンドの蟻の数を数えてた方が有意義なのでお断りします」
「そりゃ残念だ」
ドルジくんはそれ以上しつこく誘ってくることもなく、そのまま他の男子とともに去っていきました。
一瞬少女マンガ的な展開になるのかと思いきや、ただのムカつくダル絡みをされただけでした。
別に学校生活に恋愛を求めているわけではないのですが、女子なら誰しも一度はおもしれー女ってやつになってみたいじゃないですか。知らんけど。




