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罪は燃えても灰となる。  作者: 今、この時を楽しむ。
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19 -勇者の剣-

お待たせしました。

黒い濁流のような水に体が飲み込まれていく。

セインにまとわりついていた瘴気も一緒に。

意識も一緒に飲み込まれていく。

心の中に吸い込まれていく意識とは裏腹に、あのどす黒い感情が湧き上がる。

だからせめて、俺を信じてくれるといったセインに言わなきゃいけない。


「セイ・・・ン!おれが・・・だめだったら・・・!まか・・せ・・・」


言い切る前に、目の前が黒に染まった。


★ ★ ★


深い暗闇だった。

視界は全部真っ黒で、上も下もわからない。

なんとなく覚えのある感覚に、カノンはどこかに呼びかける。


「居るんだろ、出て来いよ。」


直前まで飲み込まれそうだった怒りや憎しみに満ちたどす黒い感情が嘘のように、頭は冴え切っていた。

ほどなくして正面の方にぼんやりと何かが現れた。

あの嘲笑を含んだ声で、それは答えた。


「ククク、来るのが早いな。うれしいよ。」


そういって上機嫌な様子でひらひらと手を振った。

まぁ、顔は見えないが・・・

そいつに俺は質問をする。


「それで、瘴気が体に入ってきたのとお前とこうしてここで出会うのは関係あるんだろ?」

「お察しの通り。」


嘘をつく様子も隠す様子もなく、そいつは肯定した。

だが、とそいつは続けた。


「だが、別に瘴気関係なくお前とはここで会えるぞ?勇者の子よ。」

「どういうことだ・・・?」

「その問いには答えないでおこう、その方が面白そうだ。ククク・・・」


俺が疑問を浮かべたのが面白いのか、そいつは笑った。


「じゃあ、お前は誰だ。俺ばっかり知られてるのは不公平だろ?」


ふーむ、と少し考えた後そいつは答えた。


「そうだな、ではマオ。そういうことにしようか。」


そういうことにしようか、じゃないだろ。絶対今決めた名前だ。

内心そいつに突っ込みをすると、マオと名乗るそいつは続けて話す。


「ククク、もちろん今決めた名前だが呼び方なんてなんでもいいだろう?」

「わかってるならさっさと答えろよ、それともまた・・・」


はぐらかすのか?と聞こうとした時、段々と空間が明るくなっていく。

それに合わせてマオも段々と見えなくなっていく。


「今回は早いな?この感じは勇者の・・・成程成程、ちゃんと●●した●●だ・・・」

「また一人で納得しやがって、まだなんも答えてねぇぞ!おい!」


段々と明るくなる空間からマオの声が遠くなっていく。

マオが完全に消えかける瞬間、遠ざかるマオからの言葉は小さく、しかしはっきりと聞こえた。


「また近いうちに会うであろうよ。その時が楽しみだ。勇者の子、カノンよ。」


そういって完全に視界が光に飲み込まれていく。

意識が水面に浮かんでいくが如く、現実に引き戻される感覚とともに明るさに目を瞑った・・・



★ ★ ★


「はっ、俺は・・・」

「カノン!無事か!!!」


目が覚めたカノンにセインが声をかけた。

どうやら黒い水流に飲まれたときから何も起きてはいないようだが、また暴走してしまったのかと心配になってセインに尋ねた。


「あぁ、俺は大丈夫だ。それより、俺は正気だよな・・・?また暴走したとかは・・・」


セインは俺が正気なのを確認してほっとしたのか、安堵の表情で答えた。


「あぁ。警戒はしたがその様子なら大丈夫そうだな。体の方は平気か?瘴気を取り込んだように見えたが・・・」


確かに、あの時瘴気が体内に入ってくる感覚があった。

そして、クラリスを刺した時のようなどす黒い感情が浮かんでくる感覚もあった。

しかし、今回は不思議と気分に変化はなかった。

いや、俺自身に変化はないのだが明らかに違う点が一つあった。

エルドから託された白銀の剣がしっかりと光っていた。


「多分だけど、こいつが瘴気から守ってくれたのか・・・な?」

「多分って・・・勇者の剣だし、破邪の効果でもあるのか?」

「う~ん、でも弾いてくれたって感じでもなかったような・・・そんなことより、ミナの救出を!」


そう思って瘴気魔獣の蛇の死体の方へ目を向けた。


「こっちは大丈夫だ!ミナちゃんの息がある!」

「少し瘴気を吸っているようですが、浄化ができる範囲です。」


瘴気魔獣の蛇の腹部が切り開かれ、ミナが取り出されていた。

レオハルトは着ていたローブを脱いでミナへ掛けており、フィナが浄化をかけていた。

セインと一緒にミナの状態を確認すると、呼吸は安定しており怪我をしている様子もなかった。

ミナが無事なのを確認し、ほっとしているとトーマ、ユウトが興奮した様子で話しかけてきた。


「勇者さまの一撃すごかった!聖剣でズシャー!って!」

「聴いてた魔王との戦いみたいで、かっこよかった・・・です。ミヤを助けてくれてありがとうございました!」


興奮冷めやらぬ二人から向けられた憧れと尊敬の眼差しに、不思議と心が温かくなる。

ミオの時に向けられたミオの父親からの怒りや他の村人からの冷たい目線とは違う、温かく純粋な言葉。

そんな言葉に、カノンは勇者として一歩踏み出せたように感じた。

・・・その気持ちに合わせてか、白銀の剣もうっすら光を帯びたのだった。

瘴気魔獣との戦闘、終了です。

色々気になる部分はまたゆっくりと描いていきますので、気長にお待ちください。


続きが気になる、更新されたらまた見たい!

そう思ってもらえるように気ままに書き綴っていきます。

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