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これってお金になりますか?~雪竜とルチルの駆け出し冒険者生活  作者: 紫嶋桜花


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9. 組合

「……なるほど。家と仕事が一度になくなっちまったのか……。災難だったな」

「はい……」


 三人が帰るついでだというので、ギルドまで案内してもらうことにした。

 その道すがら、ルチルはかいつまんで事情を説明する。


「でも、今までは全然別の仕事をしていたんでしょう。なぜ冒険者を?」


 サイに尋ねられ、ルチルとオニキスが口々に答える。


「それは、冒険者ギルドなら、紹介してくれるって人がいたので」

「家も補助してもらえるって言うしな」

「ああ、それは大事だ」

「なるほど。冒険者は訳ありの者も多いので、必ずしも紹介が必要なわけではありませんが、あったほうがいろいろと円滑なのは事実です」

「どういう仕事をするのかは、わかってるの?」


 ルチルはちらりと肩のオニキスを見た。ふん、と顎をしゃくるので、自分の言葉で返事しなければならないようだ。


「確か、害獣退治とか護衛の仕事があるって聞きました」


 うんうん、とエドがうなずく。


「堅実なのはそのへんだろうな。他にも、採取や届け物なんかもあるから、そういうのからギルドの仕組みに慣れたらいい」

「はい」

「へえ」


 そんな仕事もあるのか。覚えておくことにした。




「おっと、着きましたよ」

「ようこそ、フェアカヴィルの冒険者ギルドへ」


 レジーナがにっこりと示す建物は、街の正門広場に面した三階建ての石造りだった。

 一階は開放的な作りで、フロアの半分は酒場になっているようだ。

 革や金属の部分鎧を付けた人たちがたむろって、賑わっている。


 反対側にカウンターが設けられており、何人かの担当係が座っているのが見えた。

 エドがそちらを示す。


「あっちの端っこで、入会の相談ができるぜ」

「あっ、ありがとうございます」

「おう。幸運を。……何かあったら、相談してくれよ。『銀の天秤(シルバースケイルズ)』って言ったら、ここらじゃ結構名が通ってる方なんだ」

「銀の天秤。皆さんのあだ名ですか?」

「そんなもんだ」

「パーティーを組んだら、その名前を付けるんですよ」

「へえ……」

「頑張ってね。応援してる」


 三人に見送られて、窓口へ向かう。

 オニキスがふよふよと尻尾を揺らした。


「銀の鱗(シルバースケイル)、ね」

「同じ響きだね。偶然」


 雪竜であるオニキスのうろこは白銀だ。



     *



「こんにちは、新規ご入会の方ですか?」


 教えてもらった窓口に行くと、若い女性の担当者に声をかけられた。

 ……まずは素直に伝えるのがよさそうだ。


「こんにちは。あの、まずはどういう仕事があるのか知りたくて」

「なるほど。では、実際にお見せしましょうか」


 担当者が立ち上がって、フロアの真ん中の壁にある大きな掲示板に案内してくれる。

 手のひらほどの、何か書き込まれた紙がたくさん貼りつけられていた。

 

「こちらが今ある依頼です。初心者の方向けのお仕事は、このあたりですね」


 言われた端のあたりの紙を、オニキスと二人でよく見てみる。


「薬草探し……あ、これ、おばあちゃんのところで触ってたやつだ。たぶんわかる」

「こっちは護衛か」

「おつかいもあるね」

「……地名がわからんな」


 二人はこの街、フェアカヴィルに住み着いてから、一度も外に出たことがなかった。

 つまり、地理にはだいぶ明るくない。

 担当者が補足してくれる。


「こちらで地図をご用意できますよ。護衛の場合は、護衛対象の方に道案内していただくこともありますし」

「そうか。……こっちは、討伐?」

「ゴブリンだって。知ってる?」

「そりゃまあ、わかるが……」


 ルチルには聞いたことのない言葉だったが、オニキスはさすがドラゴンの知識量と言うべきなのだろう。


「そのあたりは、初歩の討伐依頼として常時掲示しているものですね」

「常時? いつもあるってことですか」

「はい。力はさほどでもないのですが、繁殖力が高いため、定期的に駆除する必要があるんです。駆け出し冒険者には『まずゴブリンから始めろ』って格言もあるぐらいですよ」

「格言になるくらい」

「とはいえ、お一人の方向けではありませんが。パーティーを組んだり、この仕事のためだけに仲間を募ったりしてから受注されることをお勧めします」

「ははあ。仲間との連携も込みで、練習相手にしろってことか」

「そうなりますね」


 髭をふよふよしているオニキスに向かって聞いてみる。


「……どうだろう」

「そうだな……とりあえずどんな仕事があるかはわかった、が」

「案外、戦わなくてもいい仕事もあるみたいだね」

「そこはでかいがな」

「あと、結構もらえる」


 それぞれの依頼には報酬額も書いてあった。

 おつかい依頼は銀貨五枚(5アリアン)、護衛や採取は十枚(10)から二十枚(20アリアン)ほどである。


「20アリアンありゃ、ひと月は暮らせるがなあ」

「冒険に使う品や装備もありますので、まずは月に50アリアンほどを目標にされるといいですよ」

「ふむ」

「あ、そうだ。住宅補助があるって聞いたんですけど」

「はい、ございますよ。ギルドにご加入の方は、近隣の宿屋を無料でご利用になれます」

「無料!」


 それは、かなりでかい。


1アリアンは1000円ほどです。

20アリアン≒2万円

半アリアン≒500円

1コプル(銅貨)≒100円

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