↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これってお金になりますか?~雪竜とルチルの駆け出し冒険者生活  作者: 紫嶋桜花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/38

26. 一報

 その後は朝まで襲撃はなかった。

 夜が明けてから、様子を見に来た村長に報告がてらゴブリンの死骸を見せ、村長や居合わせた村人たちに大いに感謝される。

 一息ついて、やはり、巣の退治もということになった。


 バートがゴブリンの足跡をたどれるというので、最も日が高い時間帯に森に入った。

 ほどなく崖に開いた小さな洞窟が見つかり、近くにいたゴブリンの幼体二匹を戦士たちが始末する。

 しばらくあたりを捜索したが、もう何もいない気がする、とオニキスが言うので、村に戻った。


「これで、今回の依頼は終了?」

「そうだね。村長さんに終了のサインをもらって、ギルドに戻って報酬を受け取るんだ」

「そのあたりの流れも、おつかいと変わらないんですね。なるほど」


 その日の夜は村長の家のベッドを借りた。

 翌日早朝、奥さんが持たせてくれた昼食を手に、フェアカヴィルへの帰途につく。

 夕方にはギルドへの報告を済ませることができた。



     *



「こんな感じでいいのかな」


 報酬を手にして、ルチルはギルドを出る。

 今回の討伐依頼の報酬は銀貨三十三枚だった。端数の一枚は、薬草を消費したバートに回した。

 そういうふうに報酬をわけるんだな、というのも勉強の一環である。


「おう。うまく立ち回れたじゃねえか」


 オニキスはルチルの肩で尻尾を揺らしている。


「……場数を踏めば、もっとうまくオニキスの力を使えるようになる?」

「多分な。味方に掛けられそうな守護の技もいくつかあるし、強い魔物も相手にできるようになる」

「そっか」


 ルチルは手を開いたり閉じたりした。

 氷の息吹を出したときのことを思い出す。実質、感触などは何もなかったのだが。

 ルチルが放った技で、ゴブリンにとどめをさしたのだ。


 気をつけて使わないといけない力だな、と、改めて思う。

 ……ふと、それを預けてくれているオニキスの信頼を、ありがたく思った。

 すると、敏感なオコジョはちらりとこちらをうかがう。


「……どした?」

「いや……いつもありがとうね」

「なんだいきなり、よせやい」

「……なんでもない!」


 ルチルは走って宿まで戻った。



     *



 それからしばらく、簡単な討伐や護衛の依頼をこなす日々となった。

 たまには、採取の依頼にも向かう。チャーリーと一緒になることもあった。

 小さな子供たちの姿はなく、聞けば、今は街の中のおつかいに専念しているという。

 というのも、だ。


「ルチル、聞いたか? サラマンダーみたいな魔物が他にも出たって」

「えっ、本当?」

「まじまじ。だからしばらく小さいのは外に出さねーことにしたんだ。俺たちも気をつけような」

「そうだね……」


 他の冒険者からもそれとなく、護衛依頼が増えていると聞いた。

 受諾の手続きをしながら、世間話がてらギルド職員に確かめてみる。


「確かに、そういった風向きはありますね。皆さん不安なんでしょうね」

「そんなにいっぱい魔物が出てるんですか?」

「数は多くはないようですが、フェアカヴィルの周辺は長い間平和でしたからね……。それに、これ」


 職員が示したのは、掲示板の最上部に掲げられている赤い張り紙である。


「緊急依頼……?」

「はい。ルチルさんはまだ長石(フェルドスパー)級なので該当者ではありませんが、ギルドからこういったものが出される場合があるんですよ」


 紙には、周辺調査とある。


「今回は通常のお仕事のかたわらという形ですが、異状がないか見守ってもらっています。ルチルさんのお知り合いですと、『銀の天秤(シルバースケイルズ)』の皆さんにもお願いしていますね」

「あの人たちに……」



     *



 そんなやりとりをして、数日経った頃だろうか。

 ルチルはちょうど、仕事の報告のためにギルドにいた。


 何度か姿を見たことがある、立派な鎧の男たちが息せき切って駆け込んできた。

 鋭く叫ぶ。


「見つけた!! ──ワイバーンだ!!!」


 ギルドは騒然となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。