23. 再会
防具屋を出て、次の店へと移動する。
この通りには、冒険者向けの店が揃っているようだ。
「武器に防具、魔法を使う人専用の品物に、罠専門店。あとは、高価な魔法具を並べてるお店もあったりね」
「マジックアイテム? どんなのですか?」
「ん〜、水が出てくる石とか、いくらでもものが入る魔法鞄は人気だね。あとは調教師がパートナーの能力を高めるって道具もあったり」
そう説明しながらレジーナはオニキスをちらりと見たが、果たして効果はあるのだろうか。
そんなこんなで歩いているとすぐに目的の店に着いた。
「道具屋?」
オニキスが看板に書かれた文字を読み上げる。
緑に塗られた店構えで、店名は大きく金の装飾文字でデザインされていた。
「うん。ギルドの売店にあったような品物を、もっと豊富に揃えた店だね」
さっそく中をのぞいてみる。ぱっと目に入ったのは水筒などの皮製品だ。
ちょっとした刃物や食器などの金物もある。
向こうのハンガーに掛かっているのは、ルチルが買った撥水の上着と同じものだ。
「あ、薬草。ポーションも」
入り口近くの台に、見慣れたものが置かれていた。
「それは最近増えた品揃えだね」
「へえ……」
薬屋の老婆が仕込んでいたものとまったく同じ小瓶である。手に取ろうとした瞬間、懐かしい声がかけられた。
「ルチルちゃん? オニキスちゃんも」
「──おばあさん!? どうしてここに」
店の奥の暗がりから現れた老婆は、間違いなくルチルが働いていた薬屋の店主だった。
ルチルたちのところまで歩いてくると、皺くちゃの顔をほころばせる。
「ここは娘夫婦の店なんだよ」
「なんだ、それで……」
「こんな近くにいたんだなあ」
「何か月ぶりかね? 元気そうでよかった」
「おばあさんこそ。……もしかして、この薬草とポーションは……」
「ああ、娘たちが、よければここで商売を続けてくれって言うからねえ」
「そうだったんですか」
瓶が同じなわけだ。
老婆は、ルチルの姿を上から下まで眺めて尋ねる。
「ルチルちゃんは、冒険者になったのかい?」
「うん、実はそうなんです。薬草集めとかもやってるんですよ」
「そうかいそうかい」
ふと気づいて、何度も頷く老婆をレジーナに紹介する。
「あ、こちら、私がこのあいだまでお世話になっていた薬師のおばあさんです。こちらは、冒険者の先輩」
「まあまあ」
「どうも、こんにちは。こちらのお店は、前からよく使わせてもらってます」
「そうかい、今後ともごひいきに。ルチルちゃん、頼れる先輩がいて安心だね。あんたはたまに無茶するからね」
「え、そ、そうかなあ……」
「ああ、わかるかも」
「やれやれ、自覚のないのは本人ばかりときた」
オニキスが肩をすくめて、老婆とレジーナがあははと笑った。解せぬ。
そこからレジーナの助言を受けつつ品物をいくつか選んで、お会計のときには店の奥から店主も出てきた。
「そうですか、お義母さんのお店の」
「はい、たいへんよくしていただきました」
「こちらこそお世話になったでしょう。義母が喜びますから、たまには顔を見せてくださいね」
「……はい!」
この店では、火の消えにくいカンテラに、ロープなどを購入した。
……そういえばエドと初めて会ったとき、縄を持っていたなあ、と思い出す。
たった数ヶ月前のことだが、こんな生活はあの頃には想像もしていなかった。




