20. 報酬
ルチルが落ち着くのを待って、一行は山を下りた。
街道を少しフェアカヴィルに戻ると、数台の荷馬車が待っていた。
「ルチル!」
「大丈夫でしたか!? 魔物は?」
チャーリーたちが駆け寄ってくる。エドが剣の柄を叩いた。
「きっちり、退治してきたぜ」
「そうでしたか……よくぞご無事で」
冒険者の彼は心底ほっとしたように息をついた。
ルチルはチャーリーに笑顔を返した。
「ありがとう、チャーリーたちがすぐに逃げて助けを呼んでくれたから、誰も怪我しないですんだ」
「おう。まじでよかった、ラッキーだったぜ」
聞けば、『銀の天秤』たちは街から隊商たちの護衛をして、ちょうどここまでやって来たところだったらしい。
森に差し掛かったところで馬たちが何かに怯え、それ以上進むのを嫌がったのだとか。
「やっぱ、動物は敏感なんだな!」
とはチャーリーのせりふである。馬と一緒にされたオニキスは、ひげをぴくぴく動かしていたが、賢明に口をつぐんでいた。
……サラマンダーは退治したが、馬たちはまだ落ち着かないようだった。これでは仕方ないと、隊商の長が街に戻ることを決める。
エドたちも同意した。
「そうしてくれると助かる。こっちもサラマンダーのことをギルドに報告したいしな」
荷馬車の向きを変えて、一行はフェアカヴィルに戻った。
*
日が傾き始めた頃、ギルドに帰り着く。エドたちに連れられて、ルチルたち駆け出し冒険者も職員への報告に参加することになった。
「サラマンダー……!? そんな魔物が、ルイバス山に?」
報告を受けた職員は驚きの声を上げた。エドが念を押す。
「やっぱり、あんな場所にいる魔物じゃないよな?」
「ええ、今まで目撃されたことはありませんね……」
「だよな。間違いだったらいけないから、念のために剥ぎ取ってきた。サイ」
「どうぞ、こちらです」
サイが小さな袋から、鱗のついた皮を取り出す。
赤く鈍い輝きは魔物が生きていた時のままである。
鑑定士が呼ばれ、すぐに確認がとれた。
「ええ、サラマンダーの鱗で間違いありません」
それからルチルたちは、サラマンダーに出会った時の場所や状況を詳しく聞かれた。
「疲れているところ、申し訳ありません。でも、魔物の縄張りが変わったとしたら、何かが起こっている可能性がある。できるだけ状況を把握しておきたいんですよ」
「そういうわけなら、協力せざるを得ねえな」
オニキスがぼりぼりと頭をかいた。
解放された頃には、もう夜になっていた。
話を書類にまとめてどこかに持って行った職員が、皮袋を持って戻ってくる。
「お疲れ様でした。こちらは、情報料と討伐報酬です」
「えっ、そんなのがもらえるんだ」
ルチルは思わず声を上げてしまった。
『銀の天秤』の面々に左右から声をかけられる。
「やったな、ルチル」
「これで、少し質のいい装備が買えるね」
「はっ、はい」
渡された皮袋は、だいぶずっしりしていた。




