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「んじゃ、私はまだお仕事が残ってるから、フィンレイ、任せたよ!」
アシュリィちゃんはそう言って、跳んだ。単なる脚力でフィンレイの聖刻で下りた崖以上の高さまで飛ぶと、そのまま崖に着地したのか、見えなくなった。
「相変わらず、化け物か……」
フィンレイはそうつぶやくと、こちらに向き直った。
「あんま村長を甘く見んなよ。アレでもすごい御方なんだから」
その言葉には尊敬と畏怖が感じられた。俺もアシュリィという庇護欲を誘う幼女が見た目で判断してはいけない部類だと頭に刻み込んだ。
「い、いや。あの大ジャンプ見て甘く見れるヤツなんていない……ですわ」
「お前、敬語は俺にじゃなくて村長に使え」
「はい……」
フィンレイは頭をガシガシ掻くと、ため息を吐いた。
「村の案内か……」
フィンレイが着陸したのは村から少し離れた開けた場所だ。目の前には畑が広がっている。
「……これ、何植えてるの?」
途端にお腹がグーっと鳴る。水は飲んだが、結局何も食べていない。
「お前、品の欠片もねえな。偉いとこのお嬢さんみたいな身なりしてるけど」
「……ああ、一応旅人ってことになってるんですけど」
フィンレイが胡散臭そうな目でこちらを見る。俺も、今の状況が何なのかわからない。
「まあ、村長が決めたことに否はねえよ。今から村の案内もするし、その血塗れがケガってんなら治療もする。歩き方も若干おかしいしな。腹が減ってんなら、女衆に作ってもらえばいい。……でも、お前って死体とか見慣れてねえだろ?」
「……」
死体なら……、見慣れるものじゃないし、見慣れていいものじゃないだろ。
「この村じゃ、死体を目にするのなんて日常茶飯事だ。仲間がバタバタ死んでいって気が狂うやつだっている。それに……」
「村じゃないのか、ここは。なんで死人なんか出るんだよ!?」
「村、といってもここは特魔対策の直轄の村だよ。……特魔、ほとんど“悪夢”のことだけど」
「悪夢って何?全然わからない」
「悪夢っていうのは……」
フィンレイが口を閉じ、村の方を見た。悲鳴が聞こえる。
「どうゆうことだ!?」
フィンレイが村へ向かって走り出した。俺はその後を追う。
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